
チョコレートは主に、カカオマス、ココアバター(カカオバター)、砂糖、乳製品から作られており、カカオポリフェノールや食物繊維、ミネラルがチョコレートの成分として知られています。チョコレートの成分は製品ごとに違い、原料や製法で成分が変わります。 特に注目されるのが「ポリフェノール量」。 本記事ではチョコレートに含まれる成分と共に、明治のチョコレートを例にポリフェノール量の比較を行います。
チョコレートの原料とは
多くの人に親しまれているチョコレート。この記事では、チョコレートがどんな原料から作られているか、またその成分について解説します。
まず、チョコレートの主原料はカカオ豆です。カカオ豆を砕いて種皮を取り除いた胚乳部を「カカオニブ」といい、それをすりつぶしたものを「カカオマス」といいます。このカカオマスに「ココアバター(カカオバター)」と呼ばれるカカオ豆に含まれる脂肪分や、「砂糖」、「乳製品」(ミルクチョコレートの場合)を加えて粉砕し、練り上げたものがチョコレートです。
| カカオマス | ココアバター | 砂糖 | 乳製品(粉乳) | |
|---|---|---|---|---|
| ダークチョコレート※ | ○ | ○ | ○ | △〜× |
| ミルクチョコレート | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ホワイトチョコレート | × | ○ | ○ | ○ |
※ダークチョコレートはスイートチョコレート、ビターチョコレートと呼ぶこともある。

※チョコレートの科学P.77/大澤俊彦、木村修一、古谷野哲夫、佐藤清隆著/朝倉書店を参考に作図
チョコレートの原料の主な成分とは
上述のチョコレートの原料のうち、主原料となるのはカカオマスです。よって、チョコレートの成分としては、まずカカオマスの成分を知ることが重要になります。
カカオマスの成分

カカオニブをすりつぶしたカカオマスは、約50%以上が「ココアバター(カカオバター)」という脂質からできています。脂質の次に多く含まれるのはたんぱく質で、その他にも食物繊維やミネラルなど、さまざまな成分を含みます。カカオマスはカカオ産地によって各成分に差異がありますが、産地だけでなく品種や加工方法なども、成分値に影響を与えます。
このコラムの最後に、ガーナ産とエクアドル産のカカオマスの成分表を紹介しています。思ったより成分量が違うので驚かれるかもしれません。是非チェックしてくださいね。
→カカオマス成分表
①ココアバター(カカオバター)について

カカオマスの成分のうち半分以上を占めるのがココアバター(カカオバター)といわれるカカオの油脂分です。チョコレートを食べたときのなめらかな口どけや、チョコレートの香味が素早く口に広がるのは、ココアバター(カカオバター)の性質によるものです。ココアバター(カカオバター)は常温で固まっていますが、25度くらいでとけ始め、32~33度近辺でほぼ完全にとける性質があります。
また、ココアバター(カカオバター)にはチョコレートに欠かせない種々の香気成分があるほか、天然の抗酸化物質を含んでいるため他の油脂と違って酸化しにくいという優れた性質があります。
少し専門的な話になりますが、ココアバター(カカオバター)の95%以上は3種類の脂肪酸から構成されています。35%が不飽和脂肪酸のオレイン酸、34%がステアリン酸、26%がパルミチン酸です。ステアリン酸とパルミチン酸は飽和脂肪酸です。
②食物繊維やミネラル分
食物繊維が多いのはカカオマスの特長のひとつです。食物繊維の含有量は産地や測定法によって若干異なりますが、100g中に15~17g程度含まれています。
水溶性食物繊維は少なく、最も多いのはリグニン、次いでヘミセルロース、セルロースなど不溶性食物繊維です。
食物繊維というとゴボウをイメージする方もいるかと思いますが、ゴボウ100g中に含まれる不溶性食物繊維は3.4gです。同じ100g中で比較すると、カカオマスに含まれる不溶性食物繊維はゴボウの4倍以上ということになります。
カカオマスはカリウム、リン、銅、鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルを豊富に含有しています。
③ポリフェノール
ポリフェノールは植物が作る渋みや色素の成分の総称。1つの物質ではなく、下図のような構造を持つ物質の総称です。最近では、さらに研究が進み、カカオマスに含まれるポリフェノールは、フラバノールという基本骨格が1個から10個程度結合した物質(図右)であることがわかってきており、カカオフラバノールと言われています。
ポリフェノールは赤ワインやお茶に特に含まれていることが知られていますが、チョコレートの原料のカカオマスにも豊富に含まれていることがわかっています。カカオマスに含まれるポリフェノールは、主にエピカテキン、カテキンになります。

ポリフェノール量は製法によって違う?
カカオマスに豊富に含まれるカカオポリフェノールについて、もう少し詳しく見てみましょう。

ダークチョコレートとミルクチョコレートでは、使用するカカオマスの量が異なります。明確な定義はありませんが、一般的にはカカオマスが40~60%以上のものをダークチョコレートといい、カカオ分が70%以上のものは高カカオチョコレートと呼ばれます。
また、カカオポリフェノールはカカオマスやココアパウダーに含まれており、ココアバター(カカオバター)には基本的に含まれておりません。よって、ホワイトチョコレートにはカカオポリフェノールはほとんど含まれていません。
ミルクチョコレートのカカオ分はメーカーによって異なるものの、一般的にはダークチョコレートよりカカオマスの配合量が低いものが多い傾向です。カカオマスの配合量が少ない分、カカオポリフェノールが含まれる量にも差が出ます。ただ、カカオの品種による違いや、カカオの発酵条件による違い、ロースト条件による違いによってカカオポリフェノールにも影響があるため、同量のカカオマスが配合されているチョコレートだとしても、一概に同じポリフェノール量が含まれているとはいえません。
カカオ分を記載している商品も多くありますが、カカオ分はカカオマス、ココアバター(カカオバター)、ココアパウダーから水分を除いた総量を指します。ココアバター(カカオバター)にはカカオポリフェノールは含まれないので、カカオ分からはポリフェノール量は分かりません。また、原料のカカオによる違いやその後の製法による違いがあるため、カカオ分が高い=ポリフェノール量が多いとは限らないのです。ポリフェノールの量は商品パッケージに記載されている情報を参考にすると良いでしょう。
明治のチョコレートで成分比較
ここで、スーパーやコンビニエンスストアなど身近なところで購入できる(株)明治のチョコレートについて、ポリフェノールの量を紹介します。
チョコレート効果 CACAO72%はチョコレート1枚(5g)あたり127㎎のポリフェノールを含みます。同シリーズの85%は1枚(5g)あたり147㎎、95%では1枚(5g)あたり174㎎のポリフェノール量となります。
また、(株)明治が2025年9月に発売した「カカオボーテ」は、カカオセラミドとカカオポリフェノールを摂ることができるミルクチョコレートです。1枚(5g)あたり98㎎のカカオポリフェノールが含まれています。
| 商品名 | カカオ分・・・① | カカオポリフェノール量 |
|---|---|---|
![]() |
95% | 174mg/1枚5g |
![]() |
86% | 147mg/1枚5g |
![]() |
72% | 127mg/1枚5g |
![]() |
- | 98mg/1枚5g |
① カカオ分…カカオニブ、カカオマス、ココアバター(カカオバター)、ココアケーキ及びココアパウダーの水分を除いた合計量
ポリフェノールを摂るならどれがおすすめ?
原料や加工の条件によって、できあがりの製品のポリフェノールは異なるため、ぜひ実際にパッケージを手に取り、ポリフェノールの含有量について記載があるかどうかを確認してみてください。
またポリフェノールを摂りたいと思う方は、日常生活の中で習慣的に摂取すると良いといわれていますので、自分が続けられる好みの味わい、カカオ分を選ぶのもひとつのポイントです。
まとめ
日頃何気なく食べているチョコレート。カカオや砂糖が主原料ですが、実はミネラルや食物繊維、ポリフェノールなどいろいろな成分が含まれている食べ物なのです。
特にポリフェノール量は製法でも変わるため、ダークやミルクなどチョコレートの種類、風味やポリフェノールの含有量のバランスなどで、お好みのチョコレート製品を探してみましょう。
ぜひ今後はチョコレートを購入する際に、パッケージに記載されているポリフェノールの量にも着目してみてくださいね。
【資料】カカオマスの成分(ガーナ産とエクアドル産の成分の違い)
| ガーナ産 | エクアドル産 | |
|---|---|---|
| タンパク質 | 11.6g | 12.2g |
| 脂質 | 54.5g | 51.6g |
| 水分 | 1.0g | 1.2g |
| 灰分 | 3.2g | 3.6g |
| デンプン | 6.1g | 6.0g |
| ショ糖 | 0.26g | 0.97g |
| 果糖 | 0.06g | 0.12g |
| ブドウ糖 | <0.05g | <0.05g |
| 総食物繊維 ** | 16.9g | 15.3g |
| 水溶性食物繊維 | 0.9g | 0.9g |
| 不溶性食物繊維 | 16.0g | 14.4g |
| 食物繊維 *** | 17.2g | 16.7g |
| 水溶性難消化性多糖類 | 1.1g | 1.0g |
| ヘミセルロース | 4.0g | 4.2g |
| セルロース | 2.7g | 2.4g |
| リグニン | 9.4g | 9.1g |
| リン脂質 | 371mg | 400mg |
| β-シトステロール | 86mg | 74mg |
| トリグリセライド | 54.60% | 51.50% |
| リン | 407mg | 549mg |
| マグネシウム | 315mg | 348mg |
| カルシウム | 82.8mg | 89.8mg |
| 鉄 | 7.09mg | 5.62mg |
| 亜鉛 | 4.60mg | 4.98mg |
| 銅 | 2.59mg | 2.37mg |
| ガーナ産 | エクアドル産 | |
|---|---|---|
| ナトリウム | 0.4mg | 1.0mg |
| 塩素 | 8mg | 9mg |
| 硫酸根 | <0.05% | <0.06% |
| ビタミンA効力 | 20 IU | 20 IU |
| ビタミンB1 | 0.17mg | 0.18mg |
| ビタミンB2 | 0.13mg | 0.12mg |
| ビタミンB6 | 85µg | 70µg |
| ビタミンC | <1mg | <1mg |
| ビタミンE | 13.4mg | 12.3ng |
| α-トコフェロール | 0.8mg | 0.7mg |
| β-トコフェロール | <0.1mg | <0.1mg |
| γ-トコフェロール | 12.3mg | 11.3mg |
| δ-トコフェロール | 0.3mg | 0.3mg |
| ナイアシン | 1.11mg | 1.19mg |
| シュウ酸 | 0.46g | 0.48g |
| クエン酸 | 0.61g | 0.55g |
| リンゴ酸 | 0.03g | 0.04g |
| コハク酸 | 0.03g | 0.03g |
| 乳酸 | 0.13g | 0.11g |
| 酢酸 | 0.23g | 0.27g |
| タンニン | 3.31g | 3.98g |
| エピカテキン | 140mg | 360mg |
| カテキン | 31mg | 95mg |
| ケルセチン | 1.3mg | 1.1ng |
| 無水カフェイン | 0.09g | 0.25g |
| テオブロミン | 1.3g | 1.3g |
※カカオマス100g中の存在量
※※Proskyらの方法による定量値
※※※Southgateらの方法による定量値
表:カカオマスの成分(引用:第30回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム講演要旨集)













