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2026年バレンタイン 振り返りレポート

2026年バレンタイン 振り返りレポート

2026年のバレンタイン、みなさんはどのようにチョコレートを愉しみましたか?大切な人への一箱、自分へのご褒美、偶然買ったひと粒など・・・今年は、誰かに贈るというより、自分自身でチョコレートを愉しむ、また、チョコレートを選ぶ時間そのものを愉しむ方も多かったように感じました。本記事では、ショコラコンシェルジュ®(チョコレートの案内人という意味)平田早苗が気になった2026年のバレンタイントピックス、トレンドについて解説します。

2026年バレンタイン 気になるトレンドとは?

①チョコレート菓子が人気

今年は、チョコレートを使ったケーキ、焼き菓子などを扱うブランドが多かったのが顕著な傾向のひとつです。例えば、カカオパウダーやカカオニブ、チョコレートを使ったクッキーの詰め合わせ(クッキー缶)、サブレやショートブレッド、ギモーヴ(マシュマロ)などをチョコレートでコーティングしたもの、チョコレートを使ったケークなど、多種多様なチョコレート菓子がバレンタイン催事場や街のショコラティエ(チョコレート専門店)、パティスリーなどに並んでいました。

大きく分けると、①コーティング系、②混ぜ込み系、③サンド系の3タイプですが、そこに使われる素材は、ホワイト、ミルク、ビターチョコレートと種類が異なるチョコレートや、カカオニブ、カカオパウダーなどの「カカオ素材」、そして、他の素材(フルーツ、ナッツ、キャラメルなど)との組み合わせにより、チョコレート菓子の世界がさらに広がった印象を受けました。

もちろんこれまでも、チョコレート系の焼き菓子は人気があり店頭に並んでいましたが、どちらかというとバレンタインのメインアイテムは板チョコレートやボンボンショコラで、焼き菓子はその脇を彩るサブアイテム、バリエーション商品的な立ち位置だったように思います。しかし今年は、チョコレート菓子の種類が豊富で活況だったのが、トレンドのひとつと言えるでしょう。

チョコレート菓子が増えた背景としては、カカオやチョコレートの価格高騰が一因と考えられます。原料の価格が上がっているなかで、チョコレートの使用量を抑えつつ、魅力ある・手に取りたくなる商品を開発するメーカーやブランドが多かったと思います。

ショコラティエに加えて、パティシエが手掛ける洋菓子ブランドや、焼き菓子の専門店、ベーカリーなども菓子を接点にバレンタイン市場に参入。その結果、チョコレートの専門店が手掛ける生菓子・焼き菓子だけではなく、焼き菓子やパンのブランドが作るチョコレート関連商品が増え、いろいろな方面からの展開により売場が賑やかになったように感じました。

チョコレートコーティングしたクマの形のギモーヴ(マシュマロ)
ショコラのガナッシュをサンドしたビッグサイズのマカロン。ショコラティエが手掛けるチョコレート菓子。
伝統菓子ファーブルトンにチョコレートを使った商品。パティシエが手掛けるチョコレート菓子。
チョコレートバージョンのマドレーヌやフィナンシェ

②柑橘ブームが継続中

数年前から柑橘ピールにチョコレートをかけた「オランジェット」の人気が高まっています。もともと「オランジェット」はオレンジの皮(ピール)を使ったチョコレート製品ですが、年々使用される柑橘の種類が増えていて、今ではオレンジ以外の様々な柑橘チョコレートを味わえるようになりました。この数年で消費者の関心も高まっている印象を受けます。

例えば、和歌山のデコポン、せとか、柚子や、鹿児島の文旦、愛媛の清見など・・日本国内で栽培されるいろいろな柑橘ピールに、ビター、ミルク、ホワイトチョコレートをコーティングしたものは、柑橘の風味の違いだけではなく、チョコレートとの組み合わせを愉しむことができます。また、種類によって皮の食感、柔らかさなども異なるため、ひとことに柑橘ピールと言ってもこんなに違うんだ!という発見や驚きがあります。

阪急うめだ本店のバレンタイン催事では、オレンジピールだけではなく柑橘を使ったチョコレート商品を「かんきつジェット」と呼び、数年前からそれらを集めたコーナーを設けていますが、徐々に定番化しているように感じます。これまでもファンが多い「オランジェット」ですが、柑橘の違いやチョコレートとの相性など、食べ比べや好みの風味を見つける愉しさ、柑橘の世界の奥深さに魅了され、その人気が続いていると思われます。

また、柑橘ピールチョコレート以外に、ボンボンショコラに関しても柑橘風味の展開がいろいろなブランドで見られました。国産の柑橘を使ったセット商品、海外産も含めて様々な柑橘を食べ比べることができるショコラのセット商品など、趣向を凝らした商品が目につきました。

ずらりと並ぶ柑橘ピールチョコレートのコーナー。百貨店独自の名前として「かんきつジェット」と呼んでいる。

様々な柑橘がありお気に入りを探すのも楽しい。
オランジェット、ゆずジェット、パンプルムースジェット(グレープフルーツ)など、つい食べ比べたくなる商品。
和の柑橘をテーマにしたボンボンショコラのコレクション
国産柑橘の香りを主役にした8種のボンボンショコラ。淡路島ライム、土佐文旦など様々な柑橘。
オランジェットとは?おすすめブランドもご紹介

③日本の素材

前述のトピックスでも国産の柑橘が広がっているトレンドについて触れましたが、今年はそれ以外に「日本の素材」とカカオ、チョコレートの組み合わせが多く見られました。

ショコラティエが手掛けるボンボンショコラでも、日本の素材にこだわった商品が多数ありました。例えばシェフの故郷や縁のある地域の素材と、それに合うカカオ産地を組み合わせたショコラのセット商品、日本各地の果物やお酒からセレクトし、ボンボンショコラに仕上げたセット商品など、まるで日本全国を旅するような気分で味わえるチョコレート。

チョコレートの原料「カカオ」は海外産の素材ですが、そこに、果物、山椒・塩などの香辛料や調味料、各地の日本酒やウイスキー、栗などの種実類、ハチミツやハーブなど、多種多様な国産素材を合わせるのは、日本人ショコラティエならではの繊細な感性や味覚が生かされているように感じました。

これまでも海外のショコラブランドでは、その土地のフルーツやナッツ、ハーブを使うなど、シェフの地元愛にあふれたショコラを見かけることが多くありましたが、今後は、日本人シェフが手掛ける日本の素材にこだわったショコラ、というものが定着してくるのかもしれません。

日本各地の素材をセレクトした「日本のおいしさ」シリーズの中の「茶」。静岡の烏龍茶、石川の加賀棒茶などお茶の食べ比べ。

④ここでしか味わえない、イートインの魅力

1月初旬ごろから、オンラインでバレンタイン商品を販売する百貨店やブランドもあり、確実にほしい商品は早めにオンライン予約、催事会場にはその場でしか楽しめないメニューをお目当てに足を運ぶ、という消費者も多いようです。

以前、何社か百貨店バイヤーの方々のお話を伺った際、「五感で愉しむ」というキーワードが聞かれました。オンラインで事前購入できる今、その場に行って作り立ての商品を味わうのは、新たなバレンタインの潮流になっていると思います。実際に、各百貨店を歩いたところ、会場限定のイートインメニューが拡充し、様々な趣向を凝らした魅力的な企画が多いと感じました。

百貨店では、いろいろなショコラスイーツの実演を日替わりで提供
シェフとの会話を楽しみながら、チョコ菓子とコーヒー・紅茶などのペアリングを楽しめる新しいイートインの企画
カウンタースタイルのイートイン。シェフの盛り付けを見ながら楽しめる。
その場でしか味わえないグラスデザート。
会場だから楽しめる、繊細な仕上げのデザート類
中には、デザートのコースを提供するお店もありました。

ソフトクリーム、アイスクリーム、クレープ、パフェなど、手軽に食べられるワンハンドスイーツの人気が続いている一方で、上記の写真のように、催事場のカウンターで「食の体験」をするという新たな楽しみ方も年々増えてきています。ショコラティエだけではなく、レストランやバー、カフェとのコラボレーションも広がっているのが最近の傾向。カカオ、チョコレートを使った料理やデザート、またドリンクとのペアリングを通じて新しい体験、発見をするなど、まさに「五感で愉しむ」のが最近のトレンドのひとつと言えるでしょう。

まとめ

今やチョコレートの世界は、板チョコレートやボンボンショコラに加えて、菓子やデザートなど本当に多種多様な広がりを見せています。この数年は特にクッキー缶のブームも根強くあるため、チョコレート系の焼き菓子人気はまだ続くと見ています。

お気に入りのブランドの新作を買う、素材の産地を意識して買う、会場でしか味わえない商品を堪能するなど、その愉しみ方はいろいろ。日替わりや期間限定の企画など、バレンタイン催事の会期中に何度も足を運びたくなる仕掛けが各所で見られたのも今年の傾向です。

2月14日にチョコレートを誰かに贈るというよりは、自分や親しい人と一緒においしいチョコレートを味わう“チョコレート月間”のようになってきていると感じた2026年のバレンタインデーでした。

平田早苗
平田早苗

管理栄養士、スイーツプランナー、ショコラコンシェルジュ®

大学卒業後、洋菓子関連の会社に入社し販売や商品開発に携わる。
その後2007年に独立、商品企画開発や店舗開発等のマーケティング、経営面でのアドバイスなど、スイーツやチョコレートのコンサルタントとして幅広く活動。2008年以降、サロン・デュ・ショコラ・パリをはじめ、世界各国のスイーツやチョコレート市場の調査を行うほか、カカオ産地も訪問。
ウイスキーとチョコレートが好きで、カルチャースクー等でショコラとウイスキーのマリアージュセミナーを多数実施。ウイスキー専門誌「ウイスキーガロア」のテイスターを務めるほか、日本で初となるスピリッツのコンペティションTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)の審査員も務める。

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