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フランスのC.C.Cで2年連続ゴールドタブレットを受賞したカカオボーテとは?

フランスのC.C.Cで2年連続ゴールドタブレットを受賞したカカオボーテとは?

カカオボーテは、カカオから抽出した“カカオセラミド”入りの甘さ控えめのダークミルクチョコレート。美を意識する方々に向けて、2025年9月30日に発売されました。この「カカオボーテ」は、昨年秋のフランスのチョコレート品評会C.C.C.※1で最高位となるゴールドタブレットを受賞。ゴールドタブレット受賞は2年連続となります。その品評会へのエントリーを担当された(株)明治 商品開発研究所 カカオ開発研究部 部長/カカオクリエイターの宇都宮 洋之さんにお話を伺いました。※1:C.C.C.はチョコレート界で最も高い権威をもつフランスのチョコ愛好家クラブ「Club des Croqueurs de Chocolat(クラブ・デ・クロクール・ドゥ・ショコラ)」の略称。

「カカオボーテ」はどんなチョコレート?

まず、「カカオボーテ」はどんなチョコレートでしょうか?

「配合しているセラミドは、これまで有効活用されてこなかったカカオハスクから抽出した希少なヒト型遊離カカオセラミド。世界初、素材化したカカオセラミドがこの商品の一番の売りです。新しい素材で、うるおう日々に、美を意識する人におすすめのチョコレートです。」

チョコレートを食べながら、セラミドを補えるのは嬉しい限り。さらに、高甘味度甘味料は不使用で低糖タイプ※1のダークミルクチョコレートとのことで、甘さは控えめながら食べやすいというのも魅力です。
(※1:明治ミルクチョコレート比 糖類40%減)

「そしてもうひとつ、このチョコレートの特長はペルー産のカカオを使用していること。フローラルで、華やかな紅茶のような香りなんです。社内で最初にペルー産カカオを手掛けたのは私なんですよ。」と宇都宮さんは語ります。宇都宮さんは2006年から各国のカカオ産地で活動を開始し、「メイジ・カカオ・サポート」の立ち上げメンバーに。チョコレートの開発業務に携わる傍ら、カカオ産地に何度も足を運び、現地からの信頼も厚いそうです。こだわりを持って選んでいるペルー産カカオが、このチョコレートの味わいの軸になっているとのこと、実際にフランスでどんな評価を受けたのかが気になります。

フランスのチョコレートコンクール、C.C.C.へのエントリーについて

新しい素材を使った新しいチョコレートを、チョコレートの本場・フランスの品評会に応募したという宇都宮さん。どんな想いでエントリーし、またどんな評価を受けたのでしょうか?

C.C.C.とは?

「C.C.C.」は英語ではシーシーシー、フランス語ではセーセーセーと呼ばれている、ショコラ愛好家のクラブ。毎年秋に発行するガイドブックで品評結果を紹介しています。ボンボンショコラ部門とタブレット(板チョコレート)部門があり、その中で「金」「銀」「銅」の3段階で評価。タブレット(板チョコレート)型のマークで示されるため、たとえば金賞は“ゴールドタブレット”とも呼ばれます。

エントリーへの想い

「C.C.C.のタブレット部門ってエントリー数がそれほど多くないんです。他のメーカーやショコラティエが既に取り組んでいる事、できている事・モノ(チョコレート)ではなかなかエントリーできないんです。他社とは違うことをやらないと認めてもらえないかと。カカオセラミドをカカオから素材化したのは、明治が世界で初めてなので、そこがエントリーできる理由であり、評価されるポイントになるだろうと考えています。」と宇都宮さんは語ります。他社とは違う、明治ならではの独自の取り組みを大事にし、そこをフランス人がどう評価するかということで応募されているのですね。

C.C.C.での評価について

C.C.C.でどのような評価を受けたか、審査員からのコメントをご紹介します。

昨年評価を受けた2025年度版ガイドブックでは、「カカオボーテは美容サポート成分カカオセラミドの配合と、楽しさを兼ね備えた嗜好品として提案されています!チョコレートの世界におけるこの革命は、まさに美味しさから始まります。非常になめらかなテクスチャーが口の中で感動を起こさせてくれます。風味はこまやかに重なりあって、カカオ感、柑橘の上品な酸味、キャラメリゼされたヘーゼルナッツのような香味、ミルク感、そしてわずかな苦味が感じられます。長く続く余韻は繊細さとバランスを保ちながら、甘さ控えめで、ほんのりスパイシー、はじけるように爽やかです。」と記載があります。

そして2026年度版ガイドブックでは、審査員から「口に含むと、驚くほどとろけるようななめらかさがあり、マンゴスチンの爽やかさ、アーモンドのプラリネのような優しい甘み、そして、スパイスの温かみが続きます。カカオの香りは、本来のチョコレートとしての素朴さや官能的な魅力を含みます。」と、食感や風味に対する良い評価が記載されています。

フランス人と日本人の味や香りの表現は違うものの、宇都宮さんはフランスのコンクールにエントリーする意味合いを次のように話してくれました。

「弊社では、ここ何年か海外での販売比率が上ってきているんです。販売エリアも増えていて、東南アジアからインド、中東、ヨーロッパ、またアメリカに広がって来ています。更なる広がりと定着のため、フランスでの嗜好性や、評価されることは重要だと考えています。」

そして、2年連続で最高位となるゴールドタブレットを受賞したポイントとして、カカオ産地へのこだわりに触れました。「香りと味わいが評価されましたが、これはペルーの中でも特別な地域のカカオによるもの。弊社ではもう20年以上使っているペルー産のカカオです。ペルーのカカオというと皆さんが一般的にイメージする風味がありますが、弊社が使っているのは同じペルー国内でも他の地域とは違う風味があり、そのカカオがカカオボーテの風味の軸になっているんです。」

日本とフランスでの違いは?

「フランス人の中には、ミルクチョコレートを好まないという人もいます。ダークチョコレートの消費率は45%なので、チョコレートといえばショコラノワール(ダークチョコレート)というお国柄です。」とのこと。そのような食文化のフランスの方々にカカオボーテを評価いただいたのはプラスになる、と宇都宮さんは話します。

お話を伺う前は、「カカオボーテ」のように一般的なダークチョコレートと違うタイプの商品がフランスでどう評価されるのか、チャレンジのようにも感じましたが、「フランスの方々は、日本人よりもカカオやチョコレートに関しては生活の中での親和性があって、せっかく食べるなら美容サポート成分が入っているチョコレートのほうが良い、という好意的な反応もありました。」

どんなシーンで食べるのがおすすめ?

最後に、いつ、どんな風に食べたら良いか質問してみました。

いろいろなカカオ、チョコレートをご存知の宇都宮さんは、カカオ分の高いダークチョコレートの魅力にも触れたうえで、「このカカオボーテは、“カカオセラミド”を食べてもらいたいので、食べやすいダークミルクというタイプにしています。ミルクを配合していますが、甘すぎず、食べやすさを訴求した商品ですので、日常でチョコレートを食べるシーンで楽しんでもらえたら良いと思います。」とのこと。

特に、美容を意識する方々は、砂糖の摂りすぎを気にされる方もいるようで、そういった人の嗜好も意識しつつ、低糖タイプ(明治ミルクチョコレート比糖類40%減)に仕上げたそうです。

具体的なシーンとしては、「例えば食事と食事の間に、ちょっと小腹が空いたなとか、口さみしい時など、せっかく何か食べるならセラミドが摂れるものを選ぶ、といった感じで、いつものおやつを置き換えてみるのも良いのではないでしょうか。いろいろなシーンで気軽に食べてほしいですね。」

その時の気分やシーンによって高カカオのチョコレートを選んだり、セラミド入りを選んだり・・と選択の幅が広がるのは、日常生活の楽しみが増え、嬉しい気持ちになります。

まとめ

フランスのC.C.C.で高い評価を受けたカカオボーテは、特別なペルー産カカオの華やかな風味を楽しみつつ、カカオセラミドが摂れる新しいチョコレート。美容やウェルネスへの関心が高まるなか、日々の生活で手軽にカカオの魅力を取り入れることができる新しい提案です。

可能性を追求する人。

宇都宮洋之(うつのみや・ひろゆき)


商品開発研究所 カカオ開発研究部 部長/カカオクリエイター。

1993年に入社。カカオやチョコレートの製造部門や技術部門を経て、カカオの研究や商品開発を行う研究所に配属。2006年からカカオの産地で活動を開始し、「メイジ・カカオ・サポート」の立ち上げメンバーに。現在はチョコレートの開発業務に携わる。カカオ産地に何度も足を運び、現地からの信頼も厚い。

2022年~は、「ひらけ、カカオ。」のスローガンのもと、カカオの豆の品質のみならず、カカオの機能成分に着目したカカオ全体の価値向上や、アップサイクルにも取り組んでいる。

平田早苗
平田早苗

管理栄養士、スイーツプランナー、ショコラコンシェルジュ®

大学卒業後、洋菓子関連の会社に入社し販売や商品開発に携わる。
その後2007年に独立、商品企画開発や店舗開発等のマーケティング、経営面でのアドバイスなど、スイーツやチョコレートのコンサルタントとして幅広く活動。2008年以降、サロン・デュ・ショコラ・パリをはじめ、世界各国のスイーツやチョコレート市場の調査を行うほか、カカオ産地も訪問。
ウイスキーとチョコレートが好きで、カルチャースクー等でショコラとウイスキーのマリアージュセミナーを多数実施。ウイスキー専門誌「ウイスキーガロア」のテイスターを務めるほか、日本で初となるスピリッツのコンペティションTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)の審査員も務める。

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