- 明治栄養ケア倶楽部トップ >
- 栄養ケア情報/低栄養について >
- こんな人、こんなときにご用心
低栄養について
こんな人、こんなときにご用心
いつの間にか食事量が減っていませんか?
高齢の方の中には、「あまり動かないし、小食でいい」「メタボ予防がいちばん大事」と考える人も多いようです。でも、そんな思い込みには要注意。以下に、低栄養になりやすいケースを紹介します。
①食べ物の好ききらいが多い人や偏食の人
もともと好ききらいの多い人は、高齢になるにつれ、食べられる食材がさらに限られ、栄養がより一層偏りがちに。朝はパンだけ、昼はおそばだけ、という単品の食事で満足してしまう人も注意が必要です。
②高齢者だけの二人暮らしや独居の人
高齢夫婦の二人暮らし、あるいは独居の人は、家族と同居している人と比較して低栄養の割合が2倍高いという報告もあります参考*1)。買い物の大変さや経済的事情などの要因が考えられます。
③メタボを警戒して
油脂や卵を過度に控えている人や粗食の人
一般に「成人はメタボに注意!」といわれるため、
食べないほうがいいと考えて、
油脂や卵、肉、ごはんの摂取を
必要以上に控えてしまうケースも要注意です。
④がんや胃腸疾患などの治療中・手術後の人
呼吸器系の病気の人や在宅酸素療法を受けている人
病後は体力回復のために多くの栄養が必要です。また、呼吸器の弱い人は呼吸をするにもエネルギーを使います。しかし、病中・病後は食欲が低下するため低栄養になりやすくなります。
⑤糖尿病や腎臓病などで食事療法をしている人
持病があって食事指導を受けてきた人は、体調不良で食欲が落ちているときにも、同じ食事を続けてしまいがち。結果的に、必要な栄養まで不足してしまうことがあります。
⑥下痢やかぜなどの後
下痢や発熱があると、水分やエネルギー、ミネラルなどが不足しがちになります。その状態が長く続き、なかなか体調や食欲が回復しないと、低栄養に陥ることがあります。
⑦うつや認知機能の低下がみられる人
うつや認知症によってものごとへの意欲が低下すると、食べることへの意欲も失われることがあります。周囲がそのことに気づかないときちんと食事が摂れず、低栄養を招くことがあります。
そのほか、消化器系の病気が原因の場合、薬の副作用による食欲不振なども低栄養の原因になることがあります。
低栄養がロコモを引き起こすことも
「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)」とは、足腰などの筋肉や骨、関節が弱って歩行や立ち座りが不自由になる状態をいいます。進行すると自力で動けなくなるリスクが高くなるため、日本整形外科学会でも予防を呼びかけています。ロコモ予防には、たんぱく質やエネルギーをしっかり摂ること、歩くなどの運動を習慣づけることが大事です。
- *1)「 体力科学」vol.54,No.1,2005:地域在宅高齢者における低栄養と健康状態および体力との関連(權ら)
- *2)『 高齢者の栄養管理』細谷憲政監修・杉山みち子他著 2005年(日本医療企画)
- *3)『 在宅での栄養ケアのすすめかた』全国在宅訪問栄養食事指導研究会編集 2008年(日本医療企画)
- *4)「 臨床栄養」vol.118,No.6,2011.5,臨時増刊:病院・施設・在宅を結ぶ高齢者の栄養ケア(医歯薬出版)
- *5)「 介護予防マニュアル(改訂版)」より「栄養改善マニュアル」平成24年3月(厚生労働省)
- *6)「 健康日本2(1 第二次)」(厚生労働省)
- *7)「 日本公衆衛生雑誌」vol.55,No.7,2008:低栄養と介護保険認定・死亡リスクに関するコホート研究(東口ら)
- *8)『 健康長寿診療ハンドブック』日本老年医学会編集 2011年(メジカルビュー社)
- *9)『 低栄養予防ハンドブック』熊谷修監修 2004年(地域ケア政策ネットワーク)
- *10)『 サクセスフルエイジングをめざして』東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター)2005年第2版
- *11)『フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント』一般社団法人日本老年医学会 2014年
- *12)『Timed Up & Go Test (TUG)について』一般社団法人日本運動器科学会 藤野整形外科医院院長 藤野圭司