カカオの文化

イタリア SALAME DI CIOCOLATO(チョコレートサラミ)

皆様CIAOです。

あっという間に今年も12月、もうすぐクリスマスですね!

イタリアでは1年で一番大事なお祝い事(カトリックですのでキリストの誕生を祝います)なので、大変力が入っております。
(それくらい働いてくれたらよいのに、と呟くイタリア在住日本人。笑)
各都市、街中も綺麗なイルミネーションで盛り上がってきます。

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さて本日はそんなお祭りごとに登場するちょっと変わったチョコレートを御紹介したいと思います。

その名も、サラミのチョコレート!

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正に見た目はサラミ、ベーコンや生ハムと一緒に並べたら、誰もチョコとは疑わない生々しい演出です。

実は普段は余り見られず、クリスマスや復活祭(都市にもよりますが)などのイベントが近くなるとこのチョコを求める人が多いようです。まな板の上に包丁と一緒に乗せて友達をだましたり、子供たちを驚かしたりなど、食べる前のエンターテイメントも楽しめます。

お味はというと見た目は奇抜ですが、ザク切りしたビスケットやナッツ(サラミの脂肪部分に見立てています。)入りの美味しいお菓子でカカオ、卵、バター、砂糖にラム酒などのアルコールを入れるのがオリジナルですが、子供が食べる場合にはお酒の代わりに牛乳をいれます。

地方によってレシピや名前が違うお菓子

チョコレートのサラミは今こそイタリア全土でそれぞれのレシピで作られるほどポピュラーなお菓子ですが、そのルーツははっきりしておらず、ポルトガル若しくはスペインがオリジナルという説もあります。 イタリアでも北なのか若しくは南のシチリア島発祥説もあり(レシピが違えば違うお菓子としてすべてがオリジナルとも言えますが)農林水産省発行の伝統的な農産物のリストにはシチリア島のお菓子として登録されています。

エミリアロマーニャ州ではこのチョコレート無しに復活祭は終わらない、と言われておりこの時期によく食べられます。復活祭には卵の形をしたイースターエッグチョコが沢山出回り、その余ったチョコレートをこのチョコサラミの材料として使うという理由もあるようです。

ピエモンテ州では本物のサラミに限りなく近くするため、サラミ用の網ネットで包んだり、小麦粉を振って粉を吹かせたり、と演出にもかなりの力をこめます。その品質も、同州特産のジャンドゥーヤチョコレートと地元産の高品質なヘーゼルナッツを使った高級菓子となり、名前もなぜかパパのサラミと呼ばれています。(サラミはパパの好物だからか?)

シチリア島ではトルコ人のサラミと呼び方が変わり、ルーツは不明ですがその色がトルコ人の肌の色に似ているからではないかと言われています。シチリア島内でも街によってレシピが違うほど多様で、特にアボラでは特産のアーモンド、ブロンテではピスタチオがピエモンテのヘーゼルナッツナッツの代わりに入ったり、ラム酒の代わりにマルサラ酒を入れるのがシチリア風レシピです。

チョコレートとサラミの関係は、歴史的にも繋がりがありました

1891年代イタリア料理のレシピ本 (台所の科学と美食の芸術)を残した有名な料理人ペレグリーノアルトゥージは著書の中に、ミリアッチというお菓子を紹介しています。

そこには主要な原料は豚の血と書いており、伝統として冬の始まりに豚の血を蜂蜜やサパという甘味料と混ぜ、新鮮もしくは干した果物、砂糖付けにした果物の皮、香料やビンサントのようなリキュールにチョコレートを混ぜたものがあったとあります。これがチョコレートサラミの発祥ではないかと言われています。

豚は食いしん坊な動物ですし、豚肉製品の中でもジューシーで美味しいサラミに例えたこのお菓子が紛れもなく魅力的なのは言うまでもありません。

レシピ

典型的な作り方は、バター、卵、溶かしたチョコレートを混ぜ合わせ、そこに刻んだビスケットやナッツ、ラムを入れサラミの形に整えて、冷蔵庫で冷やします。卵は生で使うので出来るだけ新鮮なものが良いでしょう。 お子様用にするにはラム酒の代わりに牛乳、もしくはオレンジジュースにするとより風味が増します。地方によっては、ラム酒の代わりにジンやマルサラなどのアルコール(味、風味が変わりますね)又ホワイトチョコレートを使った場合は、中に入れるものをビスケットではなく色のついたドライフルーツなどにします。(形はあくまでもサラミ 笑)材料の質の高さと、演出っぷりで審査しますと、個人的にはやはりチョコレートの首都ピエモンテに軍配が上がると思いますが、いかがですか?

私のおすすめレシピをご紹介いたします!今回は(クリスマスの食べ過ぎを予想して)成るべく健康的なものを!ということで、本日はバターや卵を使わないビーガン用レシピで作ってみました。

所要時間30分(冷やす時間は除く)

材料

  • ・ブラックチョコレート 160g(カカオ70%前後がお勧め
  • ・ビスケット 180g
  • ・豆乳などの植物性ミルク 60ml
  • ・植物油 40ml
  • ・クルミなどのナッツ類 40g

作り方

(1)先ずは主役のチョコレートを溶かします。

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(2)温かいチョコレートにミルクと油を混ぜ合わせていきます。

(3)少し温度が下がったところに、砕いたビスケットとナッツ類を投入し、混ぜ合わせます。

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(4)オーブンシートを広げ、材料を乗せて丸めてサラミの形に成型し、そのまま冷蔵庫で2,3時間冷やします。

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固まったら出来上がり!

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混ぜあわせて冷やすだけという簡単さですので、是非皆様も今年のクリスマスはチョコレートサラミに挑戦してはいかがでしょうか?

クリスマスが近くなり、イタリアのEATALYにもチョコレートサラミが並んでいました。

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それでは皆様素敵なクリスマスと新年をお迎えくださいませ。 アウグーリ!

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このコラムは私が書きました。

ガイド名:FURUKAWA/ SACHIE

大学で経済学部を卒業したにも拘らず、接客業に目覚め国内線客室乗務員として働くが、人生一つでも多くの国を見たいという好奇心から、再び英語留学。しかし英語は役に立たないイタリアでバスガイドという仕事に就くこととなり渡伊。 知識も語学力もないまま辿り着いたイタリアという国に、魂を奪われ在住24年となりました。イタリア人以上にイタリアを愛し、ほっぺたが落ちるイタ飯と、自然と芸術に囲まれたこの国の尽きない魅力をお伝えしたいと思っています。