カカオの文化

ベルギーチョコレート(ベルギー産チョコレート)が有名な理由。歴史や王室御用達ブランドを紹介

ベルギーチョコレート(ベルギー産チョコレート)が有名な理由。歴史や王室御用達ブランドを紹介

ベルギーでは基本的にはカカオが採れないため、ベルギーチョコレート(ベルギー産チョコレート)とはベルギーで加工されたチョコレートのことを呼びます。この記事では、ベルギーチョコレートが有名な理由や歴史などについて解説します。さらにベルギー王室御用達のチョコレートブランドも紹介しますので、商品選びの参考にしてくださいね。

ベルギーチョコレートが有名な理由

ベルギーは、チョコレートが有名なイメージを持たれることが多い国。様々なブランドが個性豊かなチョコレートを作っています。最初に、ベルギーチョコレートが世界的に有名な理由を紹介します。

ヨーロッパにおけるチョコレートの歴史との深い関わり

16世紀から17世紀前半までは、ベルギー地方の大半はスペインの領土でした。スペイン人エルナン・コルテスがメソアメリカからカカオを持ち帰り、献上したのが時のスペイン王・カルロス1世です。実はカルロス1世は、ベルギーの古都・ゲント生まれ。そのため、スペインの修道院からの繋がりでベルギーにもカカオが伝わり、1635年には最初と思われるカカオの記録が残されています。つまり、イタリアやフランスなどと同じく、ベルギーにも早くにカカオが伝わっていたことがわかります。
ベルギーのチョコレート産業が大きく発展したのは、1885年に国王レオポルド2世が、アフリカ・コンゴを植民地としてカカオ生産を始めてからです。スイスのチョコレート製造技術を導入し、ベルギーでチョコレートの生産が増大しました。
それに先んじて、1857年にスイスからやってきたジャン・ノイハウスはブリュッセルで薬局とお菓子屋を始め、ビターチョコレートを作りました。その孫が1912年に世界で初めて、クリームやナッツのペーストをチョコレートで包むボンボンショコラを発明、これが一躍ベルギーチョコレートを世界的に有名にしたのです。また、同ブランドは1915年にチョコレートを入れる専用のボックス「バロタン」も発明しました。

ベルギー発祥のボンボンショコラ

ひと口サイズのチョコレートの総称であるボンボンショコラ。ベルギーでは「プラリーヌ」と呼ばれます。ボンボンショコラには、中身(センター)をチョコレートでコーティングするエンローバータイプと、シェルと呼ばれるチョコレートの殻に中身を流してチョコレートでフタをし、固めるタイプなどがあります。後者が、ベルギーで生まれた古典的な製法の1つで、ベルギー製法とも呼ばれています。

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ベルギー王室御用達チョコレートブランド

次に、ベルギー王室御用達のチョコレートブランドを紹介します。現在はベルジアン・ワラント・ホルダーズ・アソシエーション(1988年に正式に団体設立)が認可、5年ごとに見直しが行われています。現在 8つのブランドが王室御用達として認められています。ブランドごとに特徴を見ていきましょう。
※出典:ASSOCIATION OF THE BELGIAN WARRANT HOLDERS
https://www.dghb.be/en/index.php

ガレー(Galler)

1976年にベルギー・リエージュで創業した「Galler(ガレー)」。1994年に「ベルギー王室御用達ブランド」に認定され、ヨーロッパでは多くの人に親しまれているショコラトリーです。ラインナップはタブレット(板チョコレート)や、クリーム入りのバーがメイン。アフリカのカカオ農家をサポートする「ココア・ホライズン財団」プログラムにも参加しています。

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ゴディバ(GODIVA)

1926年、ベルギー・ブリュッセルでマスターショコラティエだったドラップス氏が、自宅の地下室を使い「ショコラトリー・ドラップス」としてチョコレートを作り始めました。その後、1945年に「ゴディバ」と改名しブリュッセルに1号店をオープンします。日本には1972年に進出、現在は日本で300以上の店舗を構えるブランドになりました。エンロービング(エンローバータイプ)とシェルモールディングという2種類の方法で様々なチョコレートを作っています。

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ノイハウス(NEUHAUS)

ボンボンショコラを発明したブランドがノイハウス。スイス出身の薬剤師、ジャン・ノイハウスが1857年にベルギーのブリュッセルで薬局を開きました。当時は薬をチョコレートで包んで摂取しやすくしていました。後に孫のジャン・ノイハウスJr.がシェルチョコレート製法を開発し、ひと口サイズのチョコレート「ボンボンショコラ」を作り出しました。さらに彼の妻がチョコレート専用箱「バロタン」を1915年に発明。現代のチョコレートボックスの起源となりました。

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ヴィタメール(WITTAMER)

1910年創業のベルギー王室御用達認定ブランド。創業者であるアンリ・ヴィタメール氏の「目の届く範囲だけに手作りの味を届けたい」という思いから、創業以来ベルギー本店で作り続けてきました。その後、1990年の大阪出店を皮切りに日本で展開、チョコレートだけではなく焼き菓子やケーキなども扱っています。日本の技術者がベルギーに出向き、製造方法などを習得しています。

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ピエール マルコリーニ(PIERRE MARCOLINI)

ピエール マルコリーニ氏が1995年に創業。1997年、ブリュッセルに最初のブティックをオープンしました。自ら農園を訪ねてカカオ豆を探し、ベルギーのアトリエに運んで選別から精錬までチョコレート作りのすべての工程を手掛けています。チョコレートのほか、アイスクリームやマカロン、焼き菓子なども手掛け、2015年にはベルギー王室御用達ブランドの栄誉を授かりました。

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ヴァンデンダー(VAN DENDER)

エルマン・ヴァンデンダー氏が手掛けるチョコレートブランドです。日本にはバレンタイン時期に催事出店していますが、本国では品質保持のため多店展開はせず、ブリュッセル・ルヴァン通りにある1店舗のみ。カカオ豆の加工から自社アトリエで一貫製造するハイクオリティな産地別の板チョコレートのほか、様々な種類のプラリネショコラなどを手掛けています。2008年にベルギー王室御用達ブランドとして認定されました。

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レオニダス(Leonidas)

1913年、ギリシャの菓子職人であるレオニダス・ケステキディス氏が創業。フレッシュなチョコレートをひと粒から気軽に楽しんでもらうために量り売りを始めました。創業後100年となる2013年にベルギー王室御用達の認定を受けました。人気のホワイトチョコをはじめ、現在もココアバターのみを使ったチョコレート作りにこだわっています。

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マダム ドリュック(Madame Delluc)

1919年にMary Dellucが創業したブランドで、ベルギーでは「Mary」という名称で呼ばれています。ガナッシュやプラリネ、キャラメル等様々な種類のプラリーヌは、職人による手作り。エレガントな箱に詰められ、芸術作品のような雰囲気が感じられます。1942年にベルギー王室御用達の称号を授与され、80年間保持しています。

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<まとめ>王室御用達のベルギーチョコレート(ベルギー産チョコレート)で憩いの時間を楽しもう

ベルギー発祥のシェルチョコレートやバロタンなど、現在のチョコレート業界の礎となっているベルギーチョコレート(ベルギー産チョコレート)。歴史の中でさまざまなチョコレートブランドが生まれ、世界中で広く愛されてきました。ベルギー王室御用達ブランドそれぞれの違いや個性を味わって、日々の暮らしに憩いのひとときを加えてみませんか。