フィンランドのイースター、春の訪れ
初めまして。北欧フィンランドの首都、ヘルシンキ在住のラサネン優子と申します。このコラムではフィンランドから現地のチョコレート事情をお伝えします。
長い冬も終わりを迎え、フィンランドにもようやく春がやってきます。イースター(Pääsiäinen=パーシアイネン=復活祭)とは、イエス・キリストの復活をお祝いするキリスト教の日で、毎年カレンダーにより異なります。2022年は4月17日(日)がイースター、18日(月)がイースターマンデーでした。
イースター1週間前の日曜日には、子供たちが魔女やうさぎの格好をして、近所の家々を周ります。カラフルな羽毛を飾ったネコヤナギの枝を手に、幸せと健康を祈る呪文を唱え、そのお礼にお菓子をもらいます。 皆さんご存知のハロウィンによく似ています。
自宅や田舎のサマーコテージで家族と過ごす人が多いため、街は静かになります。インテリアには、色とりどりの羽、チューリップや水仙の花を飾ります。今年はテーブルに、春の花チューリップとうさぎのオブジェ、チョコレートを飾りました。
スーパーマーケットには卵の形をしたチョコレートが並びます。売り場はヒヨコやうさぎのオブジェ、羽毛などでイースターらしく飾り付けがされています。
フィンランドではイースターの時期のみ食べる伝統料理があります。それはグリルしたラム肉です。キリスト教の習慣でイースターの時のみラム肉を食べられるようになったそうですが、その理由ははっきりとわかっていません。
そして、イースターのデザートといえばMämmi (マンミ)です。Mämmi は、フィンランドならではの黒色をした珍しいスイーツです。フィンランド南西部の町で食べられるようになった歴史があり、イースターになるとスーパーマーケットの冷蔵エリアにたくさん並びます。手作りはせずスーパーで買うのが主流です。
ライ麦とモルトを発酵させたペースト状のもので、見た目、食感、味も独特です。フィンランド人でも好みがわかれます。クリームや砂糖をかけて食べるのが一般的です。私は電子レンジで温めてクリームを上からかけて食べるのが好きです。
今年用意したのは、Fazer社のチョコレートエッグ!
4月に入ると、スーパーマーケットには、さまざまなブランドから卵の形をしたチョコレートが販売されます。イースターは、生命の誕生を意味する「卵」と「ひよこ」、生殖能力の強い「うさぎ」がシンボルとされており、フィンランドでは鳥がイースター・エッグを運んでくるとも言われています。
今年のイースターエッグは、ファッツェル社(Fazer)の定番で私の大好きなチョコレートを選びました。今回は3種類ご紹介いたします。
まず、一つ目は「Mignon(ミグノン)」という商品名のチョコレートです。本物の卵の殻に、アーモンドとヘーゼルナッツの入ったチョコレートヌガーを詰めたものです。卵の殻を剥くと中からチョコレートが出てきます。ずっしりと詰まっており、食べ応えは十分です。
1896年に発売された定番商品で、イースターの時期に季節限定で、1個1,99ユーロ (約275円)で販売されます。4個入りは卵のケースに入れて販売されています。
二つ目は、小さな卵の形をしたチョコレートです。この時期、職場ではお気に入りのチョコレートエッグを持ち寄り、みんなで一緒にコーヒー休憩の時間に食べます。
最後に、大人気のムーミンのチョコレートエッグです。パカっと中をわるとムーミンのミニフィギュアが入っていて、毎年集める人も多いようです。
Fazerの紹介
最後にファッツェルをご紹介いたします。
ファッツェル社は1891年に創業した老舗の製菓メーカーで、2022年に131周年を迎え、フィンランドを代表する国民的なお菓子のブランドとして国内外で愛されています。近年では日本でも注目を集めているブランドです。
創業者カール・ファッツェルの名前を冠した、ミルクチョコレート「ファッツェル・ブルー」は定番商品で老若男女に人気です。
1922年以来、変わらぬレシピで作られ、フィンランド産の新鮮で濃厚なミルク を使い、程よい甘さとなめらかなくちどけで、私たち日本人にも馴染みやすい味でおすすめです。一粒食べると幸せな気持ちで満たされます。
スーパーにはファッツェル・ブルーの箱が並んでいます。クリスマスや誕生日のプレゼント、ホームパーティーの手土産に贈る人も多いです。定番のミルクチョコレートからブルーベリー味など、ライナップも豊富です。
贈り物にあわせて「おめでとう」「あなたへ」などメッセージが書かれた箱も特別に販売されたり、好きなメッセージをカスタマイズして入れることもできます。
「Suomi」とはフィンランド語で「フィンランド」という意味です。おみやげにもぴったりです!
ヘルシンキ中心部にはカール・ファッツェル・カフェ(Karl Fazer Café)が点在していますが、なかでも豊富なラインナップの本店がおすすめです。カフェとショップが併設されています。チョコレートやベリー系と種類豊富な菓子パンや、えびのオープンサンドなど朝食からランチまで楽しむことができます。観光やショッピングの合間におすすめしたい場所です。
毎年国連が発表する、世界幸福度ランキングで5年連続1位に輝いた国、フィンランドならではの「おいしいチョコレート」をぜひお試しください。
このコラムは私が書きました。
ガイド名:ラサネン優子 Yuko Räsänen
2015年よりフィンランド、ヘルシンキ在住。2011年夏に訪れたフィンランドの自然とライフスタイルに魅了され、現地企業で仕事を得て、単身移住。コーディネーションオフィスを経営。コーディネーターとしてメディアや企業視察など、フィンランド及びヨーロッパと日本をつなぐコミュニケーション全般に携わる。ライターとして、フィンランドの社会やライフスタイルなど暮らしの様子を日々発信している。yukorasanen.fi YouTubeチャンネル「北欧フィンランド暮らし Moi Finland」にて、ヘルシンキの街歩きや自然など、癒しの風景を美しい映像で配信中。