カカオをカルチャーに。

2021/9/1メキシコ

メキシコ(11)カカオドリンク3

Hola! こんにちは!オアハカのHirokoです。オアハカ州のカカオドリンク(全19種類)について紹介するシリーズ。第2弾の今回からはそれぞれの村のお祭りなど特別な時に振舞われる飲み物です。その村でしか飲めないものがほとんどで、あまり触れる機会がないので、私も味を知らないものばかりなのですが、BIJC(Biblioteca de Investigación Juan de Córdova:フアン・デ・コルドバ研究図書室)の調査を参考に、まずはオアハカ州南部からリストアップしていきます。
今回は飲み物や材料の写真が手元に少ないため、その地域で受け継がれている美しい刺繍や織物の写真で村々をイメージしてみてください。

<オアハカ州の地図>番号は本文中のカカオドリンクのリスト番号です。

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4. UPU ブプ

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Bupu自体がこの地域のサポテカ語で『泡』を意味する言葉。以前紹介したアトーレ・ブランコに泡を注ぎ足した飲み物です。復活祭の最中のいくつかの催しや葬祭、村の祭りなどの特別な場で供されていたものが、15年前ごろからはフチタンの市場でいつでも売られるようになりました。フチタンはすごく暑いところなのですが、冷やしたもの、温かいもの両方あるそうです。味と香りと泡立ちをよくするために、地元でguie'chaachi'と呼ばれるプルメリアの生花が材料としてカカオと一緒に摺り混ぜられているのが特徴です。この地域では民族衣装に大判の鮮やかな花柄刺繍があしらわれてとても華やかなのですが、飲み物にも綺麗な花を入れるところがオツですね。
【地域】 Juchitán de Zaragoza フチタン・デ・サラゴサ村

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Bupuを作ってくださったFrancisca Rasgado Vázquezさん。手前にあるのがベースとなるアトーレ・ブランコです。フチタンの女性のトレードマークともいえる大きな花柄のウィピルと耳に挿したプルメリアがよくお似合いです。

【材料】アトーレ・ブランコ(水、トウモロコシ)、カカオ豆、黒糖、プルメリアの花

5. CHAW POPOX チャウ・ポポシュ

2月2日の聖燭祭のために蝋燭を彫ったり、カンデラリアの聖母のお供えを奉納したりといったセレモニーや村の祝祭(結婚式や通夜)で供されるカカオ入りの泡立てたアトーレで、見た目は上記のブプと似ています。泡立ちをよくするために、材料にncheedと地元で呼ばれる蔓草の樹皮を磨り潰したものを入れるそうですが、どんな植物なのか気になります。

【地域】San Mateo del Mar サン・マテオ・デル・マル村
サン・マテオ・デル・マル村は太平洋に突き出した砂洲でできた細長い半島の真ん中にある村で、Huave(ワベ)語という他と類似性の少ない絶滅の危機にある言語を話す先住民の村です。

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距離的には前述Bupuのフチタンを近いのですが、まったく別の言語を話す違う部族です。

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カニやサソリなどユニークなモチーフを織り込んだサン・マテオ・デル・マル村の綿織物。

【材料】カカオ豆、トウモロコシ、砂糖、Ncheed(ンチェード)と呼ばれる蔓草、水

6.KOO'B BCHI'N コオ・ブチン

南部山岳地方のサン・バルトロ・ヤウテペック村で話されているサポテコ語で、Koo'bはアトーレ、Bchi'nは泡を意味します。その名の通り、泡立ちのあるアトーレで、その泡が濃い焦げ茶色であるのが特徴。Yagduu'y(ヤグドゥウイ)と呼ばれる温帯高山性の蔓植物の根っこを使うことで泡の持ちがよくなるらしいです。ちなみにこの村でYagは木のこと、duu'yはカカオのことを指すので、Yagduu'yは直訳すると『カカオの木』ということになりますが、実際にはこの飲み物のようなカカオの利用と関連付けられた植物ですね。色々なお祭りごとに用意されるのですが、特に求婚という大切な場面で振舞われるそうです。
【地域】San Bartolo Yautepec サン・バルトロ・ヤウテペック村

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手染めの糸で細かい幾何学模様を織り込んだサン・バルトロ・ヤウテペックの手織物。ほとんど芸術品といってもいい憧れの織物です。

【材料】アトーレ・ブランコ(水、トウモロコシ)、カカオ豆、砂糖、Yagduu'y(ヤグドゥウイ)

7. TUTA SIVA トゥタ・シバ

これまではサポテカ語地域の飲み物が多かったのですが、ミステカ語を話すコミュニティでは初めて見つけたカカオの飲み物で、前回紹介したチャンプラドに似ているそうです。結婚式のミサの後に新郎新婦が家に戻ってきたときや、初聖体拝領のお祝いのときに供されることが分かっています。この地域のミステカ語で『カカオのアトーレ』という意味を持ちます。

【地域】Yutandayoo ユタンダヨオ村
この村はSan Pedro Jicayan(サン・ペドロ・ヒカヤン)という自治体に属すのですが、Jicayanという地名には、『Jicara(ヒカラ)というお椀に使うひょうたんのような植物のできる場所』という由来があります。

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Jicara(ヒカラ)の実。この実を縦に半分に切って、中身を刳り貫いて皮を器に使う。古代から使われてきた重要な容器で、カカオドリンクを飲むときにもよく使われます。

【材料】
詳細不明ですが、水、トウモロコシ、カカオ豆、砂糖?

ベースで使う材料は似ていても、地域によって泡立ちを良くしたり、泡持ちを長くするために独特の材料を混ぜているのがとても興味深いです。資料が少ない飲み物もあって、写真がないのが申し訳ないですが、まだまだ続きますので、頑張って調べてみます。

参考資料:BIJC(Biblioteca de Investigación Juan de Córdova:フアン・デ・コルドバ研究図書室)
Bupuの写真:©bebidasdeoaxaca
織物の写真:Grandes Maestros del Arte Popular de Oaxacaより、筆者が撮影

このコラムは私が書きました。

ガイド名:Hiroko Sato
出身地:東京

オアハカ在住14年目。世界遺産検定1級。大学時代からメキシコについて専攻し、卒業後旅行会社に勤務。移住後はオアハカを中心にメキシコ全般のガイド、テレビ番組や出張のコーディネーターなど多く経験あり。

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