カカオの文化
カールおじさん、カカオ産地へ行く ~アグロフォレストリー(ブラジル編)~

メイジ・カカオ・サポートを応援するカールおじさんが、ブラジル・トメアスーのカカオ産地を訪問しました。 カールおじさんが「アグロフォレストリー」の取り組みを見学するのは、前回の記事で紹介したガーナに続き2件目です。森林減少対策として注目されている「アグロフォレストリー」について、現地で実際の農園の様子を見学するとともに、特徴や現状などさまざまな話を聞いてきました。ブラジル現地での取組みについて、本記事で詳しくご紹介します。
アグロフォレストリーとは
アグロフォレストリー(Agroforestry)とは、農業(Agriculture)と林業(Forestry)という2つの言葉を組み合わせたもの。自然の生態系にならい、多種の農林産物を共生させながら栽培する農法で、ブラジル・トメアスーでは1929年に移民として渡った日本人が後に広めたのが始まりでした。アグロフォレストリーは農家の経営安定に繋がると共に、生物多様性の保持や二酸化炭素(CO₂)削減効果が期待され、環境対策の1つとして世界的に注目を集めています。
2006年に(株)明治(以下、明治と記載)が始めた独自のカカオ農家支援活動「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」では、産地に直接足を運び、産地が抱える様々な課題に合わせた支援を行っています。前回のガーナに続き、カールおじさんが今回訪問したブラジルもMCSの対象国のひとつです。
明治は、2011年にブラジル・トメアスー農園限定のカカオ豆を使用したチョコレート「アグロフォレストリーチョコレート」を発売しています。



トメアスーの歴史と「CAMTA」とは
今回カールおじさんが訪れたのは、ブラジル北部のトメアスーという場所。ここでは1929年から日本人の移住が始まりました。過酷な労働や日本とは異なる気候条件に加えて、熱帯の風土病である悪性マラリアが発生するなど、移住者にとっては大変厳しい環境でした。そのような地で、移住者が経済的に自立するために1931年に前身の「アカラ野菜組合」が創立され、1949年に「CAMTA(トメアスー総合農業協同組合)」に改称されました。
トメアスーでは、入植時はカカオを育てようとしたがうまくいかず、なんとか米と野菜を栽培し、販売しながら生活をつないでいました。その後、1933年にシンガポールからわずか2本のコショウの苗が持ち込まれ、これが大きな転機になりました。生産量が伸びたことと、世界的なコショウ相場が高騰したことが重なり、トメアスーに大きな富をもたらし、町の繁栄に繋がったのです。
しかし、単一栽培によりコショウに病害が発生、壊滅的な被害を受けて人々の収入も減ってしまいました。この反省から、ひとつの作物に頼るのではなく、どのようにしたら作物の栽培や収入を安定化させることができるかを検討。アマゾンの自然の生態系に倣って、農地に複数種の樹木や果樹を混植する農法が築かれていきました。

アグロフォレストリーの誕生
こうしてブラジル・トメアスーでの独自のアグロフォレストリーが生み出されました。カールおじさんが見学した畑では、カカオを中心にアサイーやコショウ、バナナ、ブラジルナッツ、マホガニー、ヤシなど多様な種類が栽培されていました。畑といっても、樹がうっそうと生い茂り見た目は雑木林のようです。植える際には、樹木の生長に適切な間隔を空けるなど管理されていますが、その後は下草刈りや剪定などは行うものの、あまり手をかけずに栽培しているそう。それぞれ収穫の時期が異なることで、効率的かつ持続的に収入が得られ、いわゆる「収入の多角化」に繋がっています。
二酸化炭素(CO₂)削減効果や、生き物の棲家としても重要な役割を果たしているのもアグロフォレストリーの特長。地球温暖化の解決策として期待されている所以です。
1軒の農家ではまとまったボリュームにならなかったとしても、前述のCAMTAが取りまとめて流通させることにより、収益性をアップさせる仕組みもあるとのこと。
また、現地には果樹を冷凍保存できる設備と合わせてジュース工場も整備されています。収穫したあとの果物を無駄にしないよう加工品にするなど、効率的な流通が考えられていることに驚きました。
経済性が高い農法といわれるアグロフォレストリーの背景には、日本から移民した人々によって構築された仕組みがあることがわかりました。


明治とのパートナーシップ
明治では、2009年からブラジル・トメアスー地域への支援を実施しました。CAMTAと共同で研究し、最適な発酵方法を指導するなど、様々な技術的な支援を行っています。実はブラジル全体でみると、ベースビーンズ(チョコレートのベースやブレンドに欠かせない役割の豆)が多く生産されている産地ですが、トメアスーのカカオはひと味違います。品質が良いことに加えて発酵法も工夫していることにより、「フレーバービーンズ」といえる香りや味の良さがあるのが特長です。
明治独自の取り組み「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」としてもブラジルを支援し、日系移民を中心としたCAMTA組合員の皆さんが真面目に栽培している高品質のカカオ豆を持続的に購入しています。さらに2023年からは、カカオ・サポート基金という明治社員による募金活動による支援金を追加。カカオの苗木を現地農家の方々に寄贈しています。
このように、明治とのパートナーシップは、2009年から15年以上にわたり続いています。
寄贈した苗木はしっかりと成長し、2年半ほどでカカオの実が収穫できているとのこと。カールおじさんも、品質の高いカカオの栽培が持続的に行われている現地の様子を目の当たりにしました。トメアスーには苗木の育成施設もあり、ここでもCAMTAが農業技術指導をするなど、重要な役割を果たしているのです。
カールおじさんが現地の方々に聞いたところ、「個々で苗木を育成するのは難しいので、苗木を贈ってもらえるのは嬉しい。大切に育てたいし自分たちも頑張らないと。」と話してくれました。



まとめ
昨今、サステナブルな意識の高まりにより、アグロフォレストリーに対する興味や関心も増してきています。なかでもブラジルにおけるアグロフォレストリーは、時代と共に成長し、完成されたものとなっていて、世界でも先進的な事例として注目されています。
メイジ・カカオ・サポート(MCS)で様々なカカオ産地を支援している明治として、今後も発酵方法をはじめ各産地で得られた知見を活かし、持続可能なカカオ栽培の支援やさらなるカカオ産業の発展に貢献していきたいと考えています。
皆さんもぜひ、アグロフォレストリーのカカオやチョコレートを見かける機会があったら、手に取ってみてくださいね。









