
友人と話をしている時、仕事で商談をしている時、相手の口臭が気になったことはありませんか? オーラルプロテクトコンソーシアムの調査によると、ビジネスシーンにおいて、約9割の人が「口臭を指摘できない」と回答しています。もしかしたら、自分も気付かないうちに周囲に不快感を与え、距離をおかれているかもしれません。
「口臭は、誰もが年齢とともに発生しやすくなっていくもの。しかし、悪臭の原因を減らせば、においを抑えることができます」と、教えてくれたのは医師の桐村里紗さん。マスクを外した時も笑顔でおしゃべりできるように、においの原因を減らす口臭ケアを始めましょう。
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口臭の原因は、主に口腔環境や腸内環境の悪化が原因とされています。代表的なものは歯周病。日本では35歳以上の約半数が歯周病の症状をもっているといわれています(厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査による)。歯周病とは、歯と歯茎の間のすき間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を起こす病気です。悪化すると、歯を失う原因になるだけでなく大病になる危険性も。また、腸内環境が悪化すると、食べ物の腐敗に伴うにおいが発生。これが吐く息として出ていきます。腸内環境を整えるには、食物繊維が豊富な食事や発酵食品を食べて消化を促すなど、食生活の改善も必要です。
一般的に年齢が高くなるほど口臭原因物質の濃度が高くなる傾向にあることがわかっています。口臭が少しでも気になったら、次のケアを始めましょう。
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歯周病の原因菌は、歯と歯茎の間や歯間など、ハブラシの届きづらいところに潜んでいます。糸ようじやフロスで歯間ケアをしたあと、口の中全体に水を行き渡らせてブクブクとうがいをすればキレイサッパリ!
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細菌が最も口腔内に増えるのは、唾液が減少する睡眠中。ここで細菌を増やさないようにすることが大切です。寝る前と寝起きの2回、しっかり歯みがきをするとよいでしょう。ちなみに食後すぐは、食べ物と唾液の流れによって細菌が最も少ない状態なので、唾液がしっかり流れるように食べかすを取り除くようにしましょう。糸ようじやフロスで歯間ケアがオススメです。
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◆ 起床時:歯みがき+口すすぎ
◆ 各食後:歯間ケア+口すすぎ
◆ 就寝前:歯みがき+口すすぎ
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マスクをしていると無意識のうちに口が開きっぱなしになり、口呼吸をすることに。すると口腔内が乾燥し、唾液が減少して細菌が増えてしまいます。唾液をしっかり分泌できるように鼻呼吸を意識しましょう。
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緑茶や紅茶に含まれるポリフェノール類には天然の抗菌作用があります。歯をみがく時間がないときはお茶で口をゆすぐのもよいでしょう。胃に入った口腔内細菌は胃酸で死ぬので、お茶はそのまま飲んでも構いませんが、胃酸分泌が悪い方や胃酸を抑制する薬を常用している場合は吐き出しておきましょう。
教えてくれたのは
桐村里紗さん/内科医。認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子栄養医学や生命科学などをもとにヘルスケア情報を発信している。近著に『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』がある。
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口腔ケアになる栄養素として、ビタミンCがあります。ビタミンCは、摂取するのも口腔内に使用するのもいいでしょう。例えば、歯周病は、原因菌が歯肉のコラーゲン繊維を破壊することで進行していきますが、ビタミンCはコラーゲン繊維の産生に不可欠です。ビタミンCたっぷりのブロッコリーとかぼちゃを使った豆乳スープをご紹介します。