原料の安定調達の基盤はサプライヤーとの信頼関係

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原料を採用する際にキーになるのが安全性と継続性です。安全性はもちろんのこと、良い原料であっても安定的に入手できなくては、商品の製造を継続することができません。ゆえに調達機能における品質とは、規格に合致した原料をいかに継続的に確保できるか。そのためにはサプライヤー(供給者)との信頼関係が非常に重要になります。原料品質を維持向上し続けるためには当社とサプライヤーがどのようなコミュニケーションをしていけば良いのか。調達機能で行っているサプライヤーの選定・評価を始めとしたさまざまな取り組みをご紹介します。

基本は規格書の精査

使用する原料については、アレルギー物質、残留農薬、栄養成分、起源原材料などのさまざまな品質情報を規格書として明らかにしています。
原料の採用にあたっては品質保証部をはじめ関連部署がその内容を厳密にチェックします。当社が扱っている原料は数千種類にのぼりますが、品質管理や安全性の観点からこれらの規格書を十分精査した上で、購入する仕組みになっています。
 

信頼できるサプライヤーの選定・評価

原料の採用にあたっては様々な観点から厳密なチェックが行われる。

規格書に適合した品質の原料を安定的に調達するためには、信頼できるサプライヤーの選定が必要で、当社はそのための仕組みを構築しています。
新規にサプライヤーと契約する場合には、規格書に適合した原料を継続して供給ができるかどうかを判断するために、書面調査や実査を行います。加えて、サプライヤー自身の継続性である経営状態も大きな要素で、これらを総合的に判断して採用可否を決定しています。

また、継続して取引が行われている間も、サプライヤーに赴き安全と品質の視点で監査を行っており、問題があれば指導を行い、改善を求めます。 こうした取り組みを通じて、当社の品質に対する考え方を伝え、理解を得ることが大変重要だと考えています。そして何より、両社が定期的に顔を合わせることで、品質や安全に対する認識を常に高めています。
 

保管と工場への輸送も大事な品質管理

調達機能は原料を購入するだけでなく、特に海外産の原料は通関後倉庫に保管し、各工場に運ぶまでが大事な業務となります。そのため、倉庫や運送会社の協力体制が欠かせません。
もしも積み込み時に袋が破れたり、あるいは誤配送などのトラブルがあれば、その原因を調べて改善してもらっています。原料の品質や安全性を維持したまま、次工程である生産機能に引き渡すことが大切なのです。
 

スタッフからひとこと「品質はコミュニケーション」

購買的視点でいえば、品質はコミュニケーションによって作られると考えています。特にお取引先様(サプライヤー)と双方が良い取引をするためには、事前にお互いの状況を理解し合うことが重要で、それにはコミュニケーションが必要です。そのコミュニケーションを深めたり、有意義な情報提供を行うためにも、私たちができるだけ原料の専門家になることが大事だと思っています。
そしてお客様には、商品を安心しておいしく食べていただくのはもちろん、楽しさや幸せを感じていただけたら……それが私たちの一番の喜びです。

吉武 宏購買 担当

スタッフからひとこと「サプライヤーと二人三脚で品質向上」

明治とサプライヤーの関係は、単に原料の売買に留まらず、二人三脚で品質向上に取り組んできた戦略的パートナーであると思います。そんな関係から刺激を受けて私自身も業務にあたっています。
また一消費者として、スーパーなどで商品の原料表示を注意深く見るようになりました。これからも良質な原料を調達して、お客様の期待に応えていきたいですね。

山口 芳史購買 担当

スタッフからひとこと「良い製品は良質で安全な原料から」

一つの原料が商品になるまでは長い道のりですが、原料は製品品質と深く結びついています。私たちは、サプライヤーの工場などを訪ねた際に、気付いた点があれば遠慮なく指摘しますが、逆に参考となるような場面もあり、情報交換といったコミュニケーションの場でもあると感じています。
これからも「良い製品は良質で安全な原料から」を自身の肝に銘じ、日々の業務にあたりたいと思います。

菅 晴彦規格基準評価 担当

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調達機能 ケーススタディ

調達機能 ケース・スタディ 明治おいしい牛乳
原料乳の受け入れチェックと改善活動

当社が工場で受け入れている全ての生乳は、主に3つの検査項目を設けて品質を管理しています。

まずは脂肪分と無脂乳固形分を調べる乳成分検査、そして総菌数や体細胞数等を調べる衛生的検査。最後に風味をチェックする官能検査です。いずれも規定値をクリアしたもののみを受け入れています。

「おいしい牛乳」に使用される生乳は、このような検査に加えて定期的に当社の研究所へサンプルを送付し、特別に訓練された複数のスタッフがにおいや味をチェックし、さらに細かな成分の分析を行います。そこで「おいしい牛乳」には適さないと判断した生乳があれば、生産者に対して改善の要請をします。

牛乳は水や添加物をいっさい加えない、100%生乳を原料とした飲み物なので、牧場で搾る生乳が商品の品質に大きく関わってきます。そのため生乳を調達する酪農部は、常に酪農家との連携を図り、乳質の維持・向上に努めています。

風味を守るための酪農家との取り組み

風味にこだわった「おいしい牛乳」は、牧場の協力なくしては品質を維持することができません。牧場主には搾った後に風味検査(味見)の励行をお願いしており、集乳車のドライバーも集乳前に風味検査を実施しています。もし何か問題があれば、その日の集乳は中止しています。

また、工場に集乳された生乳は複数の牧場の生乳が一緒に貯蔵される仕組みのため、毎日の集乳時に酪農家個別の生乳サンプルも一緒に入手します。工場や研究所の検査で乳質に問題があれば、サンプルを元に牧場が特定できるようにしています。その場合、牧場主に改善を依頼しますが、牛の飼料や飼育環境についての改善策を一緒に考えています。

さらに、病気で抗生物質等の動物医薬品を投与した牛は生乳の出荷停止期間が決められているため、酪農家はその使用を記帳するように取り組んでいます。

原料乳の品質改善、その成功例

牛乳の風味は牛の体調によっても変化するため、時には「おいしい牛乳」に適さない風味の生乳になってしまうこともあります。

ある牧場の例ですが、繰り返し調査をしても何が原因かわからなかったため、牛舎を24時間ビデオ撮影したところ、敷料(牛のベッド)がぬかるんでいるために牛が歩きづらく、餌を食べに行ったり水を飲みに行ったりするための移動が極端に少ないことが判明しました。そこで、敷料の改善をすることで、牛が快適に移動できるようにしました。結果、生乳の風味が良くなっただけでなく乳量もアップしました。

また、別の牧場では、本来横になっていることが多い牛が立ったままの状況であったため、ひとつの区画内の牛の頭数を減らす対策を取ったところ、全ての牛が落ち着いて横になるようになり、やはり風味が改善されました。牛のストレスはそのまま生乳の生産量や風味に影響します。

今後も当社の生乳検査を確実に実施すると共に牧場の協力を仰ぐことで、より良い品質の生乳調達を継続して目指していきます。

スタッフからひとこと「明治と酪農家は信頼し合える関係に」

「おいしい牛乳」は風味にこだわり、牧場で飲む生乳本来のおいしさを目指した商品です。言い換えれば、私達メーカーは生乳においしさを付け加えることはできないので、いかに牧場でおいしい生乳を搾っていただくかにかかっています。そのために私達もできる限りサポートをさせていただくし、酪農家の皆さんとは常に信頼し合えるパートナーでありたいと思っています。
私達にとって「品質」とは、安心しておいしく飲めること。「おいしい牛乳」はそのための努力や管理を続けているので、どうぞ安心しておいしく飲んでください。そして飲みながら、牛乳の原料は牧場の方々や牛達が365日休みなく働いて、一生懸命生産されたものだということも思い浮かべていただければうれしいです。

大川 光樹酪農 担当

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調達機能 ケース・スタディ カカオ
産地とのコミュニケーションが質の高い原料調達への第一歩

チョコレートの味の決め手となるのが、原料であるカカオ豆です。そのため海外の産地からいかに質の高いカカオ豆を調達するかが重要になります。最近では、より品質にこだわった明治オリジナルのカカオ豆を作ろうと、現地の農家と共にさまざまな研究も行ってきました。業界に先駆けたその取り組みをご紹介します。

チョコレートの風味は産地や品種・現地の発酵工程がキーポイント

チョコレートの主な原料は農作物であるカカオ豆です。カカオの木は赤道周辺の熱帯地方で栽培されています。カカオの実はラグビーボール状で、重さが250g〜1sにもなります。厚さ約1pの硬い殻をもち、その中のパルプと呼ばれる白い果肉が、チョコレートの原料となるカカオ豆を守っています。1つの実には30〜40粒のカカオ豆が入っています。

収穫したカカオの実からカカオ豆だけをすぐに取り出すことはできません。まず、パルプごと取り出して発酵させます。高温多湿の自然環境と天然の微生物が働いて発酵が進行します。カカオ豆を包んでいたパルプは発酵の過程で成分の変化によりほとんどが液化して消失し、カカオ豆が現われます。カカオ豆は発酵により化学変化が起こり、豆はチョコレート色に変化し独特の香りを放つようになります。

発酵後のカカオ豆は水分を多く含んでいるため、現地で乾燥させ、乾燥が終わったカカオ豆が日本など世界各地に運ばれます。
チョコレートの味を決めるのは、この原料であるカカオ豆です。農作物のため、産地や品種によって風味に特徴がありますが、その風味は豆を現地で発酵させる段階で生じます。そのため、より高品質なカカオ豆を追い求めた結果、原料の購入に留まらず、原料そのものを農家と一緒に作っていこうというプロジェクトがスタートしました。実際にカカオ豆の産地に赴き、地域を選び、発酵や乾燥の条件を変えるなどの工夫をしながら、当社にあった風味のカカオ豆の開発を進めています。

良いカカオ豆を作るための試行錯誤

カカオ豆は発酵のやり方で風味は驚くほど変わります。ブラジルの農園のプロジェクトを例に挙げるとカカオの収穫、選別、発酵、乾燥、輸送方法などについて現地の農協と共同で研究しさまざまな風味のカカオ豆を作りました。もちろん発酵させた豆をチョコレートに加工しないと風味は判断できません。そのため、農家一軒一軒のカカオ豆を日本に持ち帰って実際にチョコレートを作り、それぞれの農家にフィードバックして、問題点を一緒に改善してきました。現地と日本を年に何度も往復し、4年間でテストしたカカオ豆のパターンは100以上にのぼります。

その結果、商品開発部がコンセプトとしていた、フルーティな香りで少し酸味のある、これまでの当社にはないタイプのカカオ豆が完成。現在「チョコレート効果」など当社の主力製品に使われ始めています。

現地で一緒になって生産方法を考える

調達の工程で重要になるのが、当社が求める品質の原料をいかに安定的に入手できるか。今、高品質のカカオ豆は世界中のチョコレートメーカーに注目され、激しい競争にさらされています。

ブラジルのカカオ豆のプロジェクトで最も大変だったのが、各農家の意識を統一することでした。そのために、当社のやり方を一方的に押し付けるのではなく、まずはこれまでの現地のやり方を理解し、当社の求める品質を説明しながら、新たな生産方法を導入していきました。さらに定期的に現地を訪ね、生産者とのコミュニケーションを密にしています。

ブラジルに限らず他の産地でも、その年にとれたカカオで作ったチョコレートを必ず現地にフィードバックして食べてもらっています。産地と強固な信頼関係を築くことが、何より質の高い原料調達につながっていると考えています。

スタッフからひとこと「カカオで多くの人たちに幸せになってもらいたい」

一般の方がカカオ豆を見る機会はほとんどないので、チョコレートは工業製品という感覚があるかもしれません。でも実際は農作物であり、私たちはカカオ豆を細かく調査、研究しながら原料にするカカオ豆を選んだり、作ったりしています。そのベースにあるのが、お客様に喜ばれる商品を提供していきたいという思いです。自分たちは日本のトップメーカーであるという自負があるので、常に新しい商品を世の中に出していきたいと思っています。
また、お客様がチョコレートを食べる状況はそれぞれです。友達と過ごす楽しいひと時もあれば、リラックスしたい時、疲れている時などいろいろでしょう。私自身、そんな身近なチョコレートの原料となるカカオに携わっている限り、カカオで多くの人たちに幸せになってもらいたいという思いを、これからも持ち続けたいと思っています。

鈴木 敦カカオ豆研究 担当

スタッフからひとこと「人と人との距離感を縮めることが品質向上につながる」

食品は原料に対する理解が大切で、そのためには原料を作っている人たちを知ることが必要不可欠です。チョコレートの消費国である日本とカカオの生産国との距離はどこもとても離れていて、飛行機で片道約2日間。そして、カカオ豆を作っているのは日本とはまったく違う習慣や考え方を持った人たちです。私が常に心がけているのは、まずは彼らの文化や生活を知ること。その上で、お互いにとって納得のいく生産方法を開発していくことです。
カカオ農家の方たちは自分たちが育てたカカオがどんな商品になるか見たことがありませんでした。そこで各農家でとれた豆を日本でチョコレートにして持参したところ、家族総出で喜んで食べてくれました。産地と地理的な距離を縮めることはできませんが、人と人との距離感を縮めることはできます。それが品質向上につながると思うので、これからもその距離を縮める努力をしていきます。

崎山 一哉カカオ豆研究 担当

 

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