明治おいしい牛乳生産のケーススタディ:ナチュラルテイスト製法と風味評価で確かなおいしさを

写真:明治おいしい牛乳の商品パッケージ
「明治おいしい牛乳」の生産においては、“搾りたての生乳のおいしさ”をコンセプトにした商品設計を、製品ひとつひとつに正確に実現することが大きな使命です。

ナチュラルテイスト製法と風味評価で確かなおいしさを

写真:ナチュラルテイスト製法の様子
“搾りたての生乳のおいしさ”を実現するためにナチュラルテイスト製法(2000年6月特許取得済)を確立し、繊細な風味の違いを評価できる「専門パネル」の育成に努めて品質管理を徹底しています。

“おいしい”を実現したナチュラルテイスト製法

牛乳が苦手な人にもおいしく飲んでいただきたい。そんな思いが開発当初からありました。苦手という人の主な理由は、乳臭さや口の中に残るべたつきで、その原因になっているのが“酸化”です。
一般に市販されている牛乳は加熱殺菌の処理が義務付けられていますが、高い熱をかけると酸化が起きやすくなり、生乳本来の風味に影響を与えていたのです。
そこで考え出されたのがナチュラルテイスト製法。生乳にもともと溶け込んでいる酸素の一部を事前に取り除くことで、130℃2秒の加熱殺菌中に酸化が起きにくくするという方法です。それにより、「生乳本来の自然でさわやかな香り、ほのかな甘み、まろやかなコクはそのままにすっきりとしたあと味」を達成することができたのです。
ナチュラルテイスト製法を用いて牛乳を製造するためには、特別の専用設備が必要になります。また、ナチュラルテイスト製法には溶存酸素濃度など、特有の管理ポイントがあります。
おいしい牛乳を生産する工場においては、これらについてモニタリングと記録を行い、検証と改善を継続しています。

毎日の風味チェックで品質を管理

おいしさにこだわった「明治おいしい牛乳」にとって、風味は最大のポイントです。そこで、特別に訓練を積んだ「専門パネル」と呼ばれる担当者がにおいや味の評価(官能検査)を行っています。 牛乳の原料は100%生乳。生き物である牛は、環境の変化やストレスなどがあれば乳の味にも影響が出ます。そのため、まずは工場で生乳を受け入れる段階で「明治おいしい牛乳」にふさわしい品質かをどうか、をチェックします。
さらに、製品になった段階で風味が基準を満たしているかを確認し、合格したものだけを出荷しています。
また研究所においては、「専門パネル」による官能検査に加えて分析機器による測定を行い、風味向上へのさまざまなアプローチを継続しています。

風味を見分ける“パネル”の育成

写真:「明治おいしい牛乳 専門パネル」の認定試験の様子

優秀なパネルを育てるためには地道なトレーニングが大事です。商品を設計・開発する研究所と商品を生産する工場では、さまざまな訓練を行っています。例えば、新鮮さが損なわれた生乳を人工的に再現し、“酸化した風味”が識別できるかをチェック。それを繰り返すことでその風味の特徴を舌と頭にインプットし、徐々に感度を上げていきます。
社内には「明治おいしい牛乳 専門パネル」の認定制度があり、「明治おいしい牛乳」の出荷判定は認定試験に合格した「専門パネル」が行っています。

また、パネルは官能検査直前に、味の濃い飲食物を控える等、味覚に関し細心の注意を払っています。さらに正確な判定を行うために、出荷判定の官能検査は複数人で実施しています。
地道なトレーニングや試験を繰り返し、官能検査の感度・精度を向上していくことで、品質管理に努めています。

スタッフからのひとこと

写真:小川 一平

いつ誰が飲んでも、それに見合うおいしさや感動を感じていただきたい

小川 一平市乳開発研究 担当

「明治おいしい牛乳」の担当になった時、先輩から膨大な資料を渡されました。付箋だらけの資料を見て、こんなにも科学的データをとっていたのかと驚きました。
「明治おいしい牛乳」は値段が少し高いですが、いつ誰が飲んでも、それに見合うおいしさや感動を味わっていただきたいと思っています。これからもその良さをさらに伸ばすよう努力していきます。
写真:遠藤 梓

どうしたら“おいしい”を具体的にお伝えできるか

遠藤 梓消費者科学研究 担当

「明治おいしい牛乳」が発売当時高校生だった私は「自らおいしいと言う商品ってすごい!」と思いました。この商品に関わるようになり、原料の調達から製造、その後の検査に至るまで、各担当者の思いが本当に熱いというのを実感しています。この思いを受け継いでいかなくてはと思っています。
現場での風味評価の指導や商品開発時の評価を担当していますが、お客様に「おいしい」をお伝えする方法を考えながら取り組んでいます。

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