明治ミルクチョコレート開発・設計のケーススタディ:伝統を守ること。現代に合わせること

写真:明治ミルクチョコレートの商品パッケージ
1926年に発売した「明治ミルクチョコレート」。

ロングセラー商品の品質保証は“変わらないこと”

時代と共に日本人の嗜好が少しずつ変化する中、その伝統をどう受け継いできたのか。明治の看板商品であるがゆえの、品質保証へのこだわりを見ていきましょう。

あえて変わらないこと、変えること

写真:明治ミルクチョコレートの商品パッケージ②
「明治ミルクチョコレート」は1926年に誕生して以降、レシピをいっさい変えていません。主な原料はカカオ豆とミルクと砂糖ですが、原料がシンプルだからこそ、明治が本格的に取り組んだ最初の板チョコである当商品は、そのレシピを拠り所として守ってきました。
「明治ミルクチョコレート」は “変わらないこと”がお客様に対するメーカーの務めであり、責任であると考えています。
しかし、一方で日本人の嗜好や味覚が時代と共に変化しているのも事実です。そこで開発チームが行っているのが、より良い原料にこだわることと、原料の加工技術を進化させること。その二つの取り組みによって、発売開始以来“変わらないこと”を守りながらお客様の期待や要望に応え続けています。

原料の品質の追求と加工技術の進化

「明治ミルクチョコレート」は「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」で定められている原材料の厳密な基準を満たした「純チョコレート」(ピュアチョコレート)であるため、原料であるカカオ豆の特性が味を大きく左右します。そのため、使用するカカオ豆の選択においては、産地や品種に加えてそのシーズンの作柄など、徹底的に品質にこだわっています。
また、ミルクも重要な味の決め手です。乳牛の飼養状況や地域によってもミルクの味は変化します。「明治ミルクチョコレート」にはその風味特性に最も良く合うミルクを選択しています。
一方、技術面も進化させてきました。昔に比べて日本人の口どけに対する感度は上がっているため、工場の設備や加工技術を進化させることで、「明治ミルクチョコレート」の口どけや滑らかさを日本人の好みの変化に合わせてアップさせています。

日本人の嗜好変化に合わせ味を微調整

原料そのものの質や加工技術を進化させることでロングセラーの品質を守ってきましたが、進化の方向性や商品に反映させるタイミング等の判断のベースになっているのが、基礎研究と市場調査の積み重ねです。カカオ豆研究や製法の研究を絶えず行ない、また市場調査ではさまざまな評価軸を設け、その時々の嗜好マップを作成しています。
90年という歴史で考えれば、「明治ミルクチョコレート」は三世代にわたる年齢層に食経験があると言えます。長年にわたり商品を愛してくださっている方の期待を裏切らず、一方で新たなお客様にもファンになっていただきたい。そうした幅広い方にご満足いただくために、微調整という進化を継続していくだけでなく、「明治ブラックチョコレート」や「明治ホワイトチョコレート」「明治ハイミルク」といった姉妹品を展開することでお客様のニーズにお応えしています。

スタッフからのひとこと

写真:專田 崇雄

品質とはお客様との約束

專田 崇雄チョコレート開発 担当

品質とはお客様との約束であり、裏切らないことだと思います。いつ買っていただいても絶対にガッカリさせないこと。喜んで食べていただけることが、私が考える品質保証です。
特に「明治ミルクチョコレート」は、原料や加工技術に磨きをかけながらも、先輩方が築いてきたものを次の世代に継承していくという大事な役目があります。伝統は開発できませんからね(笑)。

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