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パラチノース

1.パラチノースとは


パラチノース※は、はちみつに微量に含まれる天然の糖質です。グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)からなる二糖類であり、スクロース(ショ糖)に対して、Protaminobacter rubrum CBS574.77という微生物が生成するα-glucosyltransferase(sucrose isomerase)という酵素を作用させ、グルコースとフルクトースの結合位置を変える(α-1,2結合 → α-1,6結合)ことで作られます(図1)。
パラチノースとスクロースは互いに構造異性体の関係にありますが、パラチノースは還元糖、スクロースは非還元糖に分類されます。パラチノースの甘さはスクロースの半分程度ですが、外観や味質はスクロースと似ています。

スクロースおよびパラチノースの化学構造式

※パラチノースとは三井製糖(株)の登録商標であり、物質名としてイソマルチュロース、イソマルツロース等が用いられることがあります

2.パラチノースの安全性


パラチノースは、各種毒性試験により安全性が確認されており、日本国内では食品として製造販売されています。一般の炭水化物と同様に1日当たりの摂取量に制限はありません。また、パラチノースは消費者庁許可、特定保健用食品(虫歯の原因になりにくい食品)の関与する成分として認められています。

3.パラチノースの消化と吸収


パラチノースは小腸に存在するイソマルターゼという酵素によりグルコースとフルクトースに分解され、小腸内で完全に消化吸収されます。
パラチノースが体内のどこで、どのように消化・吸収されるかを調査するため、唾液、膵液、胃液、および小腸を用いたin vitroでの消化試験が行われています。その結果、パラチノースは唾液、胃酸、および膵液の消化作用を受けず、小腸に局在するイソマルターゼにより、ほとんど全てがグルコースとフルクトースに分解されることが確認されています。

4.カロリー


パラチノースは小腸で完全に消化吸収され、食物繊維としての働きがないこと、また糖アルコールではないことから、4kcal/gと表示されます。

5.摂取後の血糖値変化


パラチノースは小腸のイソマルターゼにより、グルコースとフルクトースに分解され消化吸収されます。この酵素反応はゆっくり進むため、パラチノースの消化吸収速度は遅く、スクロースの約1/5とされています。パラチノースは摂取した際の血液中へのグルコースの流入が穏やかであり、血糖値やインスリン分泌の急激な変化を引き起こしません。

5-1 血糖値の緩上昇性・インスリン分泌抑制


健康なボランティア10名に、50gのパラチノースまたは50gのスクロースを摂取してもらい、摂取後の血糖値および血中インスリン濃度の変化を調べるという試験が行われています。試験の結果、スクロース摂取後の血糖値(血中グルコース濃度)は摂取30分後にピークを示し、90分後にはほぼ初期値まで低下しました。それに対し、パラチノース摂取後の血糖値はなだらかに上昇し、ピークがスクロースよりも有意に低く、また120分後の時点でも初期値より高く維持されていました。血中インスリン濃度も血糖値と同様、スクロース摂取後は急激に上昇したのに対し、パラチノース摂取後はなだらかに上昇し、そのピークも有意に低くなりました。

パラチノース50g摂取後の健常者における血糖値および血中インスリン濃度の経時変化

また、2型糖尿病のボランティア10名を対象として、健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています。その結果、摂取後60分までの血糖値および摂取後90分までのインスリン濃度が、スクロースを摂取した場合よりもパラチノースを摂取した場合の方が有意に低く推移するという結果が得られています。

パラチノース50g摂取後の2型糖尿病患者における血糖値および血中インスリン濃度の経時変化

中国でも中国人の健常者および糖尿病患者を対象とし、75gのパラチノースあるいはスクロースを摂取してもらい、摂取前と摂取後180分までの血糖、インスリン、C-ペプチド、中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロールおよびHDLコレステロールを測定するという試験が行われています。その結果、健常者および糖尿病患者のいずれにおいても、血糖、インスリン、C-ぺプチドがパラチノース摂取後において低値で推移しました。
また、シドニー大学のデータベースでは、パラチノースのGIは32と算出されています。

5-2 他の糖質による血糖値上昇を抑制する効果


パラチノースは血糖値の急激な変化が生じないだけでなく、スクロースやグルコース、マルトース、デキストリン、可溶性デンプンなどと同時に摂取した場合に、これらの糖質の小腸での分解や吸収遅延することで、これらの糖質による血糖値の上昇を抑制する効果があります。

①スクロースおよびグルコースに対する血糖上昇抑制効果
スクロース25gとパラチノース25gを同時に摂取すると、スクロース25gを単独で摂取した場合と比較して、摂取後30分の血糖値上昇の抑制傾向がみられました。同様に、グルコースとパラチノースの同時摂取により、グルコースを単独で摂取した場合と比較して血糖値上昇が抑制される傾向が確認されています。

【引用】スローカロリーな糖質「パラチノース」ガイドブック Ver.4.0 糖尿病ネットワーク「スローカロリーの情報ファイル」事務局