- 代表取締役:
- 井上 泰典
- 本店住所:
- 〒627-0004
京都府京丹後市峰山町荒山339-1
- 電話番号:
- 0772-62-0526
- FAX番号:
- 0772-62-0576
今回訪問させていただいたのは、京都府の「丹後乳販」さん。現在、京丹後店、宮津・与謝野店、福知山店、舞鶴店の4店舗を経営されている。「丹後乳販」さんの宅配エリアである京丹後市や与謝郡は京都の北端に位置し、日本三景である天橋立や若狭湾を望む「海の京都」と言われるところ。京都からは、JR九州のななつ星のデザイナーが手掛けた京都丹後鉄道の特急車両「丹後の海」で3時間弱。京都駅から変わりゆく景色を望みながら車窓より天橋立が見えた次の「与謝野駅」で下車し、そこから車で丹後乳販さんの宮津・与謝野店へは10分ほどで到着した。
国道沿いの見通しの良いお店はガラス張りが印象的なエントランスの広い駐車場と冷蔵庫を備えた立派な店舗。
「社長、今日はよろしくお願いします」と挨拶をするとにこやかな表情で出迎えていただいたのは社長の井上泰典さん。「すみませんね、遠いところわざわざ」そんなやり取りにかしこまった感はなく、都市部から離れたこうした地域でも宅配店と明治の絆を感じる。
まずは現在に至るまでのお店の歩みについてお聞きした。
「宅配店の成り立ちは、私のおじいさんの代にさかのぼります」77年前の昭和14年に峰山牧場を開業し、自家処理を行う牛乳の製造販売業を行っていた。お父さんの代の頃には、屋号を峰山乳業へと変え明治の特約店として量販店に牛乳などを卸す事業が中心になっていった。ところが、事業環境の変化で量販事業が立ち行かなるという事態となり宅配事業へと転換し、その間に屋号も現在の「丹後乳販」になったという。井上社長はまさにその量販事業から宅配事業へと変わる時期に事業を継いでこられた。
その当時を振り返りながら「宅配を始めたころは以前からいたスタッフも含め10名程度で、自宅兼宅配店という形で行っていましたね」
宅配店にはこうした2代目、3代目と言われる方は少なくない。その多くは先代がある程度の宅配契約軒数やノウハウを蓄積したものを引き継がれていることが多いが井上社長の場合、宅配事業として引き継げるものが少ないのに加え、宅配エリアの市場性という点でとても大きなハンディを負っていた。
「うちの場合、都市部などとは違って点在する集落が宅配エリアだから大変なんです」
しかし、井上社長の地道な努力によりそうしたハンディを乗り越えてお客様を徐々に増やし、点在する集落をカバーしてきて今日の「丹後乳販」を築き上げた。しかし、それでも遠いところでは、80km先のお客さまのところまで届けているという。
ここまでお客様と店舗を増やすまでには、営業や配達を実践するスタッフの育成や教育はどのようにされているのか、その点を伺ってみると。
「そうですね、特別なことはしていないと思うんですが、当たり前のことを当たり前にやるだけではだめで、当たり前のことを進化させることを意識させています」 「うちのスタッフは良くも悪くもホームランバッターはいません、でもつなぐ野球ができるスタッフがそろっています」それに続けて「うちのお店の売りは“人”なんです」という。
お客さまの多くは集落で決して便利とは言えない生活環境の方が多い。そうしたお客さまと信頼関係を築くには会話や言葉がとても大切になることを意識させているという。
そのため年に2回、各店舗対抗で宅配の成果を競うコンクールを行ったり、毎月各店舗のセンター長の合同会議を行い、それを持ち帰って各店舗で勉強会を兼ねたスタッフ会議が行われるといった仕組みが徹底されている。
井上社長は宅配店としての使命も含め、当たり前のことを徹底してもらうには「繰り返し、言い続けることなんです」と。