明治が提案する朝の乳たんぱく健康法

朝のスイッチオン効果にも期待

朝食摂取により体温が上昇

同じ食事を3食摂取する場合でも、夜食ではエネルギーの大半が脂肪になるのに対し、朝食では心身が活性化してエネルギーとして利用されます。つまり、朝食は心身活動を起動するスイッチオン効果が高いことが明らかになっています。

健康を保つためには、日本人の食事摂取基準に策定されている各栄養素を摂取することが重要ですが、何時、どのような朝、昼、夕の割合で、どの順で摂取するかが健康寿命に大きく影響します。時間栄養学の研究が進むにつれ、朝食の重要性が明らかになってきました。現代の日本人は1970年代と比較してエネルギー摂取量は低下しているにもかかわらず、肥満者が増え、糖尿病をはじめとしたメタボリックシンドローム患者は増加しています。エネルギー摂取量が少ないのに肥満者が増加した背景として、生活リズムの乱れがあげられます。アメリカの研究では、朝食欠食者に肥満者が多いことが報告されています(Ma Y et al., Am J Epidemiol 158: 85-92(2003))。また、同一カロリー、同一献立を摂取した場合でも、摂取するタイミングにより、食事誘発性熱産生が大きく異なることがわかっています。関野らの報告では、毎食同じ献立で500 kcalの朝昼夕食または昼夕夜食をとった時の食事誘発性熱産生は朝食が夜食の約4倍も大きいことが示されました。朝食では心身が活性化してエネルギー消費が大きいのに対し、夜食ではエネルギーが消費されにくく、体内に脂肪として蓄積されやすいと考えられます。これは、同一栄養素の食事を摂取する場合でも摂取するタイミングにより栄養学的な効果が異なることを示す結果です。さらに、朝食は心身活動をスイッチオンする効果が知られており、朝食の摂取前後での体外への熱放出量を遠赤外線サーモグラフィーを用いて測定すると、朝食摂取により体温が上昇し、エネルギー代謝が増加することがよくわかります。

出典 関野ら, 日本栄養・食糧学会誌, 63, 101-106(2010)

食事誘発性熱産生とは:食物を摂取すると食後にエネルギー消費量が増大します。これを食事誘発性熱産生(DIT: Diet-Induced thermogenesis)と呼びます。DITは食物の消化、栄養素の吸収および貯蔵の過程で生じ、1日の総エネルギー消費量の10~15%を占めます。
早食いと肥満の関連性は古くから指摘されていますが、近年では早食いがDITによるエネルギー消費量の増加を抑制されることが報告されており、肥満と食事方法・DITの関係性が注目を集めています。

牛乳は朝食に最適な飲料

朝の牛乳により乳たんぱく質を補給することは筋肉づくりだけでなく、心身のスイッチオン効果も期待できることが明らかになりました。今日から朝食時に牛乳を摂取し、乳たんぱく健康法を始めてみませんか?

これまで説明しましたように、朝食にたんぱく質を摂取することは様々な重要な意義があります。朝食時に不足しがちなたんぱく質を補う方法として牛乳の摂取は最適です。コップ1杯(約200 mL)の牛乳には良質な乳たんぱく質が約6.8 g含まれています。乳たんぱく質の効果により筋合成が高まることが期待されるだけでなく、たんぱく質を多く含んでいることから、牛乳は野菜ジュースと比較して食事誘発性熱産生が高いことが知られています。つまり、牛乳は乳たんぱく質の効果により体温を高めて身体活動をスイッチオンする効果に優れた、朝食に最適な飲料であるということが言えます。

出典 中村ら, 牛乳栄養学術研究会委託研究報告書, 2010