乳たんぱく質って何?
乳たんぱく質とは、乳(にゅう)に由来するたんぱく質のことです。私たちの身近なものでは、牛乳や乳製品に多く含まれています。
乳たんぱく質は、約80%がカゼイン、約20%がホエイプロテイン(乳清たんぱく質)という、2種類に大別されます。ホエイプロテイン(乳清たんぱく質)は体内への吸収が速いのが特徴です。一方のカゼインはゆっくりと吸収されることが分かっています。
出典 日本食品標準成分表2020年版(8訂)(文部科学省)
乳類<牛乳及び乳製品>(液状乳類)普通牛乳(http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm)を加工して作成
P. Walstra, J.T.M. Wouters, T.J. Geurts Milk components. Proteins Dairy science and technology (2nd ed., pp.
63-108), CRC Press, Boca Raton, FL, USA (2006)
みなさんは、牛乳がなぜ白く見えるか不思議に思ったことはあるでしょうか。
同じ白い液体でも、例えば水に白い絵の具を溶かした場合、牛乳のように白くなりますが、時間が経つにつれて、絵の具がコップの下のほうに沈殿して、水と絵の具が分離して見えます。
一方、牛乳は時間が経ってもコップ全体が白いままです。この秘密は牛乳に含まれる乳たんぱく質のカゼインにあります。カゼインは、牛乳の中ではカゼインミセル(※1)という目に見えない程の小さな粒子として浮遊しています。このカゼインミセルがチンダル現象(※2)によって光を散乱させるために牛乳が白く見えているのです。
引用 Dairy Chem. and Phys」4P Figure 1-1
※1 カゼインミセル…乳たんぱく質に含まれるカゼインが集まった複合体。
※2 チンダル現象…液体や気体の中に粒子が散らばっている状態で光をあてた時、粒子が光を散乱させる現象。
牛乳を分離して、
2種類のたんぱく質を見てみよう
乳たんぱく質を見るには、牛乳に酢(酸)を加えてみるとはっきりします。実際にやってみると分かりやすいのですが、下に沈んで白く固まる部分と、固まらない上澄み部分の2つに分かれます。沈んだ部分がカゼインであり、上澄み部分がホエイプロテイン(乳清たんぱく質)です。
乳たんぱく質は、このように性質が異なる2種類のたんぱく質が含まれているのです。
乳たんぱく質は多様な成分の集合体
牛乳に含まれる乳たんぱく質は、大きく分けてカゼイン、ホエイプロテイン(乳清たんぱく質)から構成されることは前述した通りです。
実は、カゼインもホエイプロテイン(乳清たんぱく質)も、さらに細かい成分に分類することができます。これまでの研究から、乳たんぱく質に含まれる各成分は、健康なカラダづくりに欠かせない筋肉の材料として優れていることや、生命活動にかかわる様々な生理機能を持っていることが明らかになってきました。つまり、健康なカラダづくりに欠かせない様々な機能性成分の集合体であると言えるのです。