ミルクプロテインのチカラ!

ミルクプロテインセミナー

6.12ミルクプロテインセミナー | 第2部 マスコミセミナーたんぱく質摂取の重要性と
ミルクプロテインの可能性

「第2部 マスコミセミナー」では、まず一人目の演者として、食品たんぱく質の構造と機能などを専門に研究されている清水 誠 教授(東京農業大学)から「たんぱく質摂取の重要性とミルクプロテインの可能性」についてご講演いただきました。

日本人はたんぱく質が足りない

まず、清水教授から「先進国における栄養過多」と「途上国における栄養不足」が「栄養学における二重苦」として紹介され、「先進国でも栄養不足による健康問題が持ち上がっており、日本でその傾向が顕著である」と説明がありました。栄養面からみた現代日本の健康問題として、中高年の肥満増加、子どもたちの体力低下、高齢者の要介護リスクの増加、女性の「やせすぎ」などがあげられ、これらは食生活や栄養の問題と不可分であると説明されました。

東京農業大学 応用生物科学部 清水 誠 教授

とくに女性の「やせすぎ」の問題に言及し、近年増加傾向にある低出生体重児(2500g未満)について、成人後にメタボリックシンドロームを発症するリスクが高く、心血管障害による死亡のリスク因子にもなること、低出生体重児が生まれる原因の一つとして、母親となる女性の栄養状態が若い頃から悪いことが考えられる、と説明されました。
また、日本における栄養摂取の問題のなかでもたんぱく質の摂取量がこの20年間で低下を続け、若い女性でその傾向が著しいことが示されました。そして、たんぱく質の摂取不足は妊娠期、授乳期から成長期、成人期、高齢期と幅広い年代にわたって健康リスクをもたらすことを、具体的なデータに基づいてお話いただきました。

いずれの年代の女性でも、たんぱく質摂取量は減少傾向 特に20代女性ではたんぱく質摂取量の減少が顕著 1日当たりたんぱく質摂取量年次推移 女性・年齢区分別(1995年~2011年)

出典 1994~2002年:国民栄養調査, 2003年以降:国民健康・栄養調査(厚生省/厚生労働省)
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html)を加工して作成

では、なぜたんぱく質の摂取がこれほどまでに私たちの健康に関係するのでしょうか。清水教授は「摂取されたたんぱく質は消化・分解されアミノ酸として体内に吸収され、筋肉、骨、血液、臓器などカラダ全体を構成するほか、エネルギーの生産や脳・神経機能、免疫機能といった様々な生命活動に関与しています」とたんぱく質摂取の重要性を説明しました。私たちが口にする多くの食品にたんぱく質が含まれていますが、その栄養価は食品によって異なるとのこと。たんぱく質を効率的に摂取するために、牛乳に含まれるミルクプロテインが今、注目されていると説明されました。

ミルクプロテインの摂取が健康寿命を延ばし、QOL改善につながることを期待

ミルクプロテインは、人間の体内で合成できずに食事から摂取する必要がある必須アミノ酸のバランスが良く、特に筋肉合成を促進し、筋肉崩壊を抑制する機能を有するBCAA(分岐鎖アミノ酸)を豊富に含むことを特徴としています。ミルクプロテインの成分は、大きく「カゼイン」と「ホエイプロテイン」に大別され、これまでの研究からカゼイン、ホエイプロテインともに様々な生理機能を有することが明らかになっています。
一例を紹介すると、カゼインはカルシウムの運び屋として体内への吸収を助けます。またカゼイン由来のペプチドは、腸でのカルシウムの吸収を促進したり、血圧上昇を抑えるといった働きがあり、特定保健用食品の素材としても使われています。
ホエイプロテインはα-ラクトアルブミンやβ-ラクトグロブリン、ラクトフェリンといった成分を含みますが、これらはコレステロールの吸収抑制、血糖値の調節、抗炎症作用、免疫調節、脂質代謝改善など、多岐にわたる機能が報告されています。
また、ミルクプロテインの摂取による効能について、ミルクプロテインと筋肉の強化、脂質代謝の改善(肥満の予防)、糖代謝の改善(糖尿病の予防)、肝機能の改善(熱中症の予防)など、具体的な事例をあげてご紹介いただき、ミルクプロテインの摂取により「健康寿命の延伸」「QOLの改善」が期待できると説明されました。
さらに、清水教授はミルクプロテインの食品素材としての側面からの有用性にも触れ、「ミルクプロテインは原料となる牛乳から高純度・高品質で抽出することが容易で、様々な食品に加工しやすい。さらに安全性確保のための技術も確立され、歴史的にも長い食経験がある優れた食品素材です」と説明されました。

ミルクプロテインは、筋肉づくりにおいて欠かせない必須アミノ酸であるBCAAを豊富に含む

出典 日本食品標準成分表2010(文部科学省)
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1298713.htm)を加工して作成

ミルクプロテインのさまざまな機能性