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OLL1073R-1株が作る物質「EPS」の
マウスノロウイルスの増殖抑制効果を確認
〜12月5日 日本分子生物学会年会にて発表〜


2019/12/02

北里大学 北里生命科学研究所の片山 和彦教授と株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、マウスノロウイルス(ネズミノロウイルス:以下、MNV)に感染した免疫細胞に、乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(以下、OLL1073R-1株)が産生する菌体外多糖体(以下、OLL1073R-1株が産生するEPS)※1を与えて培養することで、培養液中のウイルスの増殖を抑制することを確認しました。またそのメカニズムとして、ウイルス増殖の阻止などの働きをする物質であるインターフェロンβ(以下、IFN-β)※2の産生が寄与していることを確認しました。

この研究成果を、12月5日、第42回 日本分子生物学会年会にて発表します。

今回の知見はMNVに対する増殖抑制効果ですが、ヒトへの応用も期待されます。当社は今後も日常からの感染予防、健康維持増進に寄与する研究を継続してまいります。

【内容】

■演題名

マウスノロウイルス感染モデルにおける乳酸菌産生多糖の抑制効果

■概要

免疫細胞の一種であるマウスマクロファージ細胞にMNVを感染させました。その後OLL1073R-1株が産生するEPSの関与を確認するため、存在下/非存在下でそれぞれ培養しました。培養の間、経時的に@上清中のウイルス量、AIFN-β の産生量、B細胞中のウイルス増殖の過程を阻害する物質である抗ウイルスタンパク質の遺伝子量、の3つを測定し、OLL1073R-1株が産生したEPSの存在下で培養した場合と対照を比較して、以下の結果を得ました。

  • ①上清中のMNV量が統計学的に有意に減少しました(図1)。
  • ②IFN-β量が、統計学的に有意に増加しました(図2)。
  • ③IFN-βの増加により誘導される、ウイルス増殖の過程を阻害する物質であるISG15、OAS※3等の遺伝子の量が有意に上昇しました(図3)。

以上の結果から、OLL1073R-1株が産生するEPSは、免疫細胞を活性化し、MNVの増殖を抑制することを確認いたしました。そして、そのメカニズムとして、免疫細胞におけるIFN-βを介した経路が関与することが示唆されました。

※1:菌体外多糖体(EPS)
菌体外多糖体とは、菌が作り出す、糖が鎖のようにつながったものです。また、OLL1073R-1株が産生するEPSは、これまでにもヒト試験により風邪症候群罹患リスクの低減作用や免疫力の指標となるナチュラル・キラー細胞(NK細胞)の活性を高める働き、インフルエンザワクチンの効果を助ける作用などが明らかになっています。

※2:インターフェロンβ(IFN-β)
IFN-βは、Ⅰ型インターフェロンに分類され、ウイルスの攻撃に応答して種々の細胞によって産生されます。ウイルス増殖の阻止や感染細胞増殖の抑制、免疫系および炎症の調節などの働きをする生理活性物質の一種です。IFN-βは、ウイルス性肝炎時の抗ウイルス薬や多発性骨髄腫等の抗がん剤として用いられています。

※3:ISG15、OAS
ISG15(interferon stimulated gene, 15 kDa)、OAS(2', 5'- oligoadenylate synthetase)共に抗ウイルス活性を持つタンパク質の一種です。抗ウイルスタンパク質は、ウイルスの分解やタンパク質合成の阻害等を介して活性を発揮します。

図1 MNV量の推移
図1 MNV量の推移
図2 IFN-β量の変化
図2 IFN-β量の変化
図3 感染15時間後のOAS、ISG15の遺伝子量
図3 感染15時間後のOAS、ISG15の遺伝子量