知っ得!品質マメ知識 ヨーグルト編

乳酸菌

乳酸菌とは?

乳酸菌とは糖類をはっ酵してエネルギーをつくり出し、多量の「乳酸」をつくる細菌の総称です。その中でも、ヨーグルトを作る乳酸菌は最も身近で有用な働きをする細菌です。
乳酸菌を世界で初めて本格的に調べたのは発酵微生物学の始祖、フランス人のパスツールです。1857年に、乳の中に微生物が存在することを認め、乳酸酵母と命名しています。
その後、そのパスツール研究所の研究員となるロシア生まれのノーベル賞生物学者・メチニコフが、1900年代の初め、「ブルガリアに長寿者が非常に多いのはそこに住む人々がヨーグルトを毎日大量にとることによって、ヨーグルトの中の乳酸菌が腸内に住みつき、腸内腐敗菌の増殖と毒素産生を抑え、動脈硬化を防いでいる」と発表し、ヨーグルトが世界中に広まるきっかけになったといわれています。それを裏付けたのがブルガリア人の医学者、グリゴロフです。1905年、ヨーグルトの乳酸菌を分離し、伝統的なブルガリアヨーグルトがブルガリア菌とサーモフィラス菌の2つの菌種であることを発見しました。これが、今も変わらないヨーグルトの種菌です。

スターターが製品の個性を決める

ヨーグルトやチーズなどをつくる際に、はっ酵作用を引き起こすために添加する乳酸菌を「スターター」と呼びます。
国際規格では「ヨーグルトのスターターはブルガリア菌とサーモフィラス菌」と決められています。日本では菌の制限はないので、ビフィズス菌やアシドフィラス菌なども使われていますが、それだけでは風味の点で劣るため、ブルガリア菌やサーモフィラス菌を組み合わせるのが一般的なのだとか。
「スターター」は、風味や食感に大きく影響します。

ブルガリア菌とサーモフィラス菌

「ブルガリア菌」と「サーモフィラス菌」とはいったい、どんな菌なのでしょうか?
分類上は、ブルガリア菌は「桿菌」でサーモフィラス菌は「球菌」。この二つの乳酸菌は古来ヨーグルトづくりに使われてきた菌で、もちろん「明治ブルガリアヨーグルト」にも使われています。
おもに風味のよさを担当するのがブルガリア菌、舌触りなどのテクスチャーを担当するのがサーモフィラス菌です。
ブルガリア菌 サーモフィラス菌

二つの菌の共生作用

二つの菌を混ぜるのは両方のよい性質を得るためだけではありません。この二つの菌は乳のなかで共存しながら、長い歴史を歩んできました。そのため単独よりも一緒のほうが乳酸生成が活発化するという性質をもっています。正常な細胞分裂のために蟻酸(※)を必要とするブルガリア菌と乳たんぱく分解力が弱いサーモフィラス菌は、互いの弱点を補いあって増殖し、乳酸を大量に生成するというわけです。この「共生作用」でお互いの乳酸はっ酵を高め合い、短時間でおいしいヨーグルトをつくり出しているのです。微生物の世界って、なんとも不思議なものですね。

※ 蟻酸:サーモフィラス菌が代謝の副産物として生成する酸。

乳酸菌にはどんな働きがあるの?

なんと人の腸内には約100種類、100兆個の細菌が住みつき、人の健康にさまざまな影響を与えています。これらの菌は大きく、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分かれます。これらの菌が叢(くさむら)のように群がってつくる集合体を「腸内菌叢(ちょうないきんそう)」といいますが、人の健康にはこの腸内菌叢のバランス、つまり善玉菌と悪玉菌の力関係が密接にかかわっているといわれています。

善玉菌
消化・吸収を助け、病気に対する抵抗力をつけるなど、人体によい働きをする。
代表例は、ビフィズス菌やアシドフィラス菌など。
悪玉菌
細菌毒素をつくり、腸内腐敗や炎症を起こす物質や発がん性物質をつくる。
代表例は、大腸菌やブドウ球菌。
日和見菌
特によい働きも悪い働きもしないが、善玉菌が減って悪玉菌が増えると悪さをはじめる。