赤ちゃんの便秘で悩んだことのあるママ・パパは少なくないでしょう。
なぜ便秘が起こるのか、どうすれば解消できるのか、
正しく理解している方はあまりいないかもしれません。
今回は、小児科医の工藤紀子先生を迎えて株式会社明治が開催した
「赤ちゃんの便秘解決フォーラム」の様子を取材してきました。
赤ちゃんのウンチができるメカニズムから、腸内環境を整える重要性、
そして便秘解消のための具体的な方法まで、
工藤先生の知見と参加ママたちのお悩みを交えて報告します。
工藤紀子
小児科医・医学博士・保育士/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/こころ新橋保育園嘱託医/東京インターナショナルスクール中目黒キンダーガーデン嘱託医
二児の母でもあり、育児や子育てに関するアドバイスも行っている。
赤ちゃんのミルク「明治ほほえみ」で知られる株式会社明治は、
赤ちゃんにとって最良な栄養を長年にわたり研究し、
赤ちゃんの健康・成長を応援し続けています。
今回は、ママ・パパがウンチや腸活について理解を深め、
赤ちゃんの健康に関する正しい知識を得るために、
小児科医の工藤紀子先生を招き、「赤ちゃんの便秘解決フォーラム」を開催しました。
私たちは食べる行為は意識的に行いますが、ウンチは無意識に作られますよね。どのようにして身体の中でウンチが作られているのか知っていますか? 食べたものは胃の中で撹拌され、さまざまな臓器から消化酵素が出て、小腸で水分や栄養が吸収され、最後にさらに大腸で水分が吸収されて、残ったものがウンチになります。
ではなぜ便秘が起こるかというと、ウンチをしたいけど我慢をしてしまうことが、原因のひとつです。本来私たちは、ウンチが下まで降りてくると、外に出したいシグナルが出ます。ですが、シグナルを無視してウンチを我慢してしまうと、どんどんたまっていき、たまったウンチによって腸が広がります。
腸が広がることでまたウンチをしたくなるけれど、それも無視し続けてしまうと、感覚がだんだん鈍くなってしまいます。そうすると、ウンチがたまっても外に出すというシグナルを受け取りにくくなり、どんどんウンチがたまってしまうのです。
たまに、一週間に一回しか出ないのが普通になっているという方もいますが、それは何度も我慢したことによって、大きなウンチになって初めて便意を感じるようになっているということ。このタイプを「ウンチ貯めこみ便秘タイプ」と呼んでいます。
もうひとつ、「ウンチ硬くて出せない便秘タイプ」の方もいます。身体の中の水分は、大腸で吸収されていくので、ウンチを出さずにいると、どんどん硬くなってしまいます。そうなると、ウンチを出すときに痛い。痛いからしたくなくて、どんどん貯めこんでしまう。これが悪循環になってしまうタイプです。
また、赤ちゃんの場合は便秘とは違い、ウンチを出すのが苦手な「乳児排便困難」という症状もあります。実は私たちがウンチを出すときって、おしりの筋肉はゆるめて、同時に腹筋には力を入れるという、高度なことをしているんです。だから、赤ちゃんのうちはそれがなかなかできない子もいます。
毎日快便だとスッキリして気持ちがいいですが、他にもメリットはあるんですか?
近年、いろいろな研究で、「腸が整っていると脳の発達によい」とわかってきています。そう聞くと不思議に思われるかもしれませんが、疲れてるときやストレスを感じたときに、おなかが痛くなったり便秘になったりしますよね。人はストレスを感じると、腸の動きが悪くなるのです。
逆に、腸の動きが悪くなると脳がストレスを感じることもあります。おなかが痛くなったら気持ちも不安になるし、脳と腸は密接に関係しているということなんです。
ではどうしたら腸内環境を整えられるかというと、おなかの中にいる善玉菌を育てる食物繊維とオリゴ糖を摂るのが、続けやすくおすすめです。食物繊維は、大体2歳までは1日に5g、それ以上は年齢+5gを摂ることを目安にしましょう。一度にたくさん摂るのではなく、毎日少しずつ摂り続けることが大切です。
さらには、ヨーグルトや納豆など、善玉菌が含まれる食べ物を掛け合わせて摂ることがよいとされています。たとえばチーズと雑穀が入ったおにぎりはコンビニでも売っていますが、とても理にかなった商品だと思います。おなかにいい善玉菌と、善玉菌を育てるエサとなる食物繊維やオリゴ糖をいっしょに摂ることを意識してみることは、とてもおすすめです。
実は、このような食生活が、小さい子の夜泣き対策にも効果があるというエビデンスも増えてきています。赤ちゃんの夜泣きの原因はひとつではありませんが、おなかが痛くて泣いているケースもあると言われており、赤ちゃんの腸内環境を意識してあげることで、夜泣きにも効果があるということなんです。
食事以外で赤ちゃんの便秘解消につながる方法はありますか?
先ほどもお話ししたようにウンチを出す行為は意外と高度なことで、9カ月頃までの赤ちゃんは、上手にできない子もいます。
うまくできない赤ちゃんの場合は、とにかく練習をするしかありません。赤ちゃんがいきんでいるときに、お腹に力をいれやすいように膝を持ち上げてあげて、「こうやってやるんだよ。がんばって!」と声をかけてあげながら、習得させていきましょう。
また、タイミングも大切です。ウンチは自分の好きなタイミングで出せるわけではなく、意思とは関係なく出したくなる2種類の「反射」があり、それをうまく使うと出しやすいです。
ひとつめは、ごはんを食べたあとです。胃・結腸反射といって、食べ物が胃の中に入ってくると自然とウンチをしたくなる反射です。もうひとつは姿勢・結腸反射といって、寝た状態から起き上がると便意を感じるというもの。
この2つの反射を使いやすいのは、朝起きて、朝ごはんを食べたあとなんです。だから、朝ごはんは食べるほうがいいし、ウンチをしてから保育園や学校に出かける習慣がつくと、毎日のリズムが整います。
子どもが便秘気味のとき、水分が足りてないのかなと思って、ミルクの量を足したりしますが、それは効果はありますか?
たしかに真夏の暑い日などであれば、汗をたくさんかくので、それが便秘につながることもあります。ただ、その場合は脱水状態になっているときです。脱水が原因であれば水分をとることで便秘の解消につながりますが、脱水ではない場合は、水分をたくさん摂ってもおしっこの量が増えるだけです。
逆に下痢症状のある方が、「飲み物を飲むとウンチが出やすいから、飲まないようにしている」と言うことがあります。でも、食べたり飲んだりすることで胃・結腸反射があって便意を感じるのは自然なこと。赤ちゃんはよくミルクを飲みながらウンチをしたりしますよね。もちろん飲んだものがそのまま出ているわけではなくて、半日から一日前のものが出ています。
下痢だからと言って水分を控えさせるのではなくて、下痢だからこそこまめに水分を摂ることが大事です。水分を控えて下痢が止まるとしたら、それは脱水症状になっているだけです。継続して水分を経口摂取することは続けましょう。
子どもが数日ウンチが出ないときがありますが、どのくらいで便秘だと判断するのでしょうか?
一週間に2回以下だと便秘だと言えます。他にも便秘のサインとしては、1~3歳の場合はウンチをするときにものすごくいきんで時間がかかるのに、少ししか出なかったり。また、痛くて泣いていたり、うさぎのウンチみたいなコロコロしたものしか出なかったり、ウンチに血がついていたりする場合も便秘といえます。
3~6歳の場合は、部屋の隅に隠れてウンチをしているときにも便秘の可能性がありますね。また、便意があるけれどうまく出せなくて、おしりが気持ち悪いと感じているときの特徴的なポーズがあります。
立っているときに両足をクロスして力をいれていたり、床に体育座りをしておしりを床に押し付けていたり、このような様子が見られたときは便秘を疑ってみましょう。
病院を受診したほうがいい目安はありますか?
はい。便意がないのにウンチが漏れて下着が汚れていたり、排便時に出血があるとき。ウンチをしたあとにおしりを痛がるとき。便秘症状が2カ月以上続くときなどは、受診をしたほうがよいです。ひどくなると、ウンチをしたときに肛門から腸が出てしまうことがあります。その場合は指で押したら元に戻りますが、必ず病院に行ってください。
先ほど便秘にはタイプがあるとお話しましたが、病院ではタイプに合わせた治療を行います。「ウンチ硬くて出せない便秘タイプ」は、酸化マグネシウムなどを使い、ウンチを柔らかくする治療をします。「ウンチ貯めこみ便秘タイプ」の場合は、ラキソベロンなどの薬を使い、おなかの動きを活発にする治療をします。いずれも小さい子どもから使うことができます。
薬に頼ってしまうと、クセにならないんですか?と心配される親御さんは多いですが、ならないので心配ありません。それよりも、便意を感じても出さずに、ウンチをためこむ状態がクセになるほうがずっとよくありません。ウンチをするのは痛くて苦痛ということではなく、スッキリして気持ちいい、と感じるようなサイクルを作ってあげる必要がありますよ。
いろいろとウンチについてご説明してきましたが、大事なことは、子どもの便秘に気付いてあげること。赤ちゃんのうちは気が付きやすいですが、子どもが自分でトイレに行っておしりを拭くようになったら、親が意識していないと子どもの便の状態を把握できません。また、ウンチに関する困りごとがあっても、他人と比較できることではないので、子どもにとってはそれが普通だと思ってしまいますよね。
小学生の子どもへのアンケートでは、便秘状態がある子は、イライラしやすかったり勉強に集中できなかったりというデータもあり、就学児になってからも便秘対策はとても大切です。そのためには、便秘のお子さんにはウンチが出たらカレンダーにシールを貼ってもらったり、「今日はウンチした?」と、日頃からウンチの話題を当たり前にできる環境を作るのがよいです。
ウンチをすることは生きていくうえで自然なことなので、ウンチの話を汚い、恥ずかしいなどと思わないように、小さい頃から家庭内で当たり前に会話をすることが大切です。それが思春期になったときでも身体のことで困ったら相談したり、自然にいろいろな話ができる親子関係にもつながりますよ。
今日は腸活の大切さを実感しました!