流動食·栄養食品開発・設計のケーススタディ:栄養成分の徹底管理と、味と食べやすさへのこだわり

写真:メイバランスの商品パッケージ
流動食は特定の栄養ニーズに合わせた食品です。

栄養成分の徹底管理と、味と食べやすさへのこだわり

さまざまな栄養成分をニーズに合わせて細かく設計し、それらの成分量が常温で長期にわたって維持できるようにすることが、流動食の開発における品質保証です。
また、一般の食品のようにおいしさや風味にこだわり、お客様に食べることを楽しんでいただけるための工夫も大切な品質である考えています。

開発設計で重要となる4つのポイント

写真:流動食の開発の様子

流動食を開発する上での考え方の柱は4つ。いずれも品質に関わる重要なポイントです。
1つ目は、基礎研究や臨床研究などの裏付けに基づいた栄養設計。当社の長年にわたる粉ミルクの研究を強みに、高齢者の臨床栄養研究をベースに、高齢者向け食品の栄養設計を行っています。2つ目は、患者様の胃に管で栄養を送るための流動食(=経管栄養食品)を患者様の容態に合わせ幅広く展開していること。例えば血糖管理をサポートするものや、腎疾患の方向けなどの病態に適した流動食をはじめとして、全部で100種以上のバリエーションがあります。3つ目は、食事を口からとることができても、食が細かったり通常の食品だけでは十分な栄養がとれない方向けの口から食べる流動食(経口栄養食品)の、味と食べやすさへのこだわり。4つ目は、医師や看護師、介護士など患者様をケアする方々のためにも、取扱いが簡単で手間のかからない商品設計です。
また、医師や栄養士など医療現場の方のご意見やご要望を伺いながら、打合せを重ねて、新商品の開発を行っています。

栄養成分がきっちり保障されることが第一

写真:栄養成分の検査の様子
流動食の組成は、一般の食品よりもはるかに細かく表示しています。エネルギー、タンパク質、各種ビタミン、ミネラル、ナトリウム、浸透圧、粘度……などの数値は利用者が判断する上でとても重要な情報だからです。
また、組成の検査は高頻度で行い、それぞれが規格の範囲内であることを確認するのはもちろん、より数値が真ん中に近づくよう、常に最適化に努めています。さらに、社外の専門機関による分析を行ったり、一度商品化したものも研究所で繰り返し検査を行うなどしています。
お客様の中には、流動食が唯一の栄養源という方も少なくないので、万全な検証体制を整えています。設計通りであることを実証していくことが、何より重要な品質マネジメントと考えています。

最大のハードルは常温保存で賞味期限が長いこと

写真:メイバランスの商品シリーズ
流動食の賞味期限はほとんどが半年以上と長く、しかも常温での保存が前提です。実際、冷蔵保存せずに栄養成分を保つことは、非常に高いハードルです。輸送中や保存中に分離や沈殿といった物性の変化が起こったり、光に弱いビタミンB群やCなどの成分を守るため、最適な原料、製法、容器、輸送法など、すべて考慮して開発設計を行い、それぞれの工程で厳重に品質管理を行っています。

スタッフからのひとこと

写真:鈴木 靖徳

商品の価値をしっかり保証していくこと

鈴木 靖徳栄養食品開発 担当

「健康寿命」と「平均寿命」の差は10年前後。その間は誰かのサポートを受けて生活する訳です。我々の使命は、栄養学的にサポートすることで病気を予防し、健康な状態を維持することで、この時間を縮められるかです。
闘病中は、食べることが楽しみという方も多いと思います。「食」は人間にとって根源的な価値なので、良い商品を作りたいと思います。私が栄養食品のお世話になる時に、「明治の商品に!」と言えるかが大事です。

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