【効果ある?なし?逆効果?】インフルエンザに対する市販の風邪薬について

2015.11.24 12:00 | 吉田菜穂子

急に発熱して、頭も痛いし、関節も痛い…。インフルエンザが流行る季節になり、このような症状がみられたとき、いつもの風邪かもしれないと思い、市販の風邪薬を試しに飲んでいるという人は少なくありません。
実際にインフルエンザを発症していた場合でも、発熱後12時間以内は、病院における検査でインフルエンザウイルス感染が陰性であると判定されてしまうケースもあるのですが、発熱後12時間以上経ってから病院にかかるとした場合、受診までの間、市販の風邪薬は飲んでもいいのでしょうか?

風邪薬はインフルエンザに効果があるの?

市販の風邪薬(総合感冒薬)は製薬会社によっていろいろなバリエーションがありますが、解熱・鎮痛薬に咳止め、鼻水止め、痰切り薬が配合されているものが多くみられます。いずれも対症療法といって、それぞれ、熱や痛み、咳、鼻水や鼻づまり、痰の切れをよくするための薬です。
インフルエンザは通常の風邪と比較して、咳や鼻水よりも、関節痛、筋肉痛、頭痛が強く出ることが多いため、市販の風邪薬を使用することにより、それらの痛みが緩和されるという印象を抱くことがよくあります。しかし、次に述べるように、風邪薬の使用には注意が必要なのです。

風邪薬を安易にインフルエンザに使うのは危険!

インフルエンザの合併症の一つとして、乳幼児に生じやすいライ症候群というものが知られています。これは、肝臓の細胞に含まれるミトコンドリアと呼ばれる部分がダメージを受けることにより、肝機能障害による症状や精神神経症状(嘔吐、錯乱、麻痺、昏睡、けいれん)をきたすものです。30%が死に至るという恐ろしい合併症ですが、インフルエンザのみならず水ぼうそうにも合併するといわれています。
そして実は、インフルエンザにかかっているときに解熱鎮痛剤であるアセチルサリチル酸を用いると、このライ症候群を起こしやすくなることが知られているのです。したがって、急な発熱に全身のだるさや痛みを伴うとき、アセチルサリチル酸を含む風邪薬を使用することは望ましくありません。なお、成人でライ症候群が起こることはまれで、起きても2週間程度で回復するとされています。
また、インフルエンザに伴って脳にダメージが生じるインフルエンザ脳症(けいれん、意識障害、異常行動)も乳幼児に起きやすいのですが、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸と呼ばれる解熱鎮痛薬の服用により重症化しやすいとされています。これらは、頭痛、腰痛、月経痛などの症状緩和の目的で、医療機関で処方される薬です。

まずは病院に行くことを心掛けましょう

前述の通り、発熱後12時間以内は病院における検査でインフルエンザウイルス感染が陰性であると判定されてしまうこともありますが、症状などを見てインフルエンザ感染と判断されることもあります。
インフルエンザではないと思い込み、市販の風邪薬を個人の判断で使用することはリスクを伴いますので、インフルエンザが流行している時期の急な発熱、関節痛などの症状が出たら、まず病院に行くことを心掛けましょう。

吉田菜穂子

群馬大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科内科学専攻修了。東京大学医学部附属病院等で内科及び心療内科の診療にあたったのち、早稲田大学生命医療工学研究所客員准教授等の研究職を経て、現在は嘱託産業医として勤務。料理・野菜・栄養学への関心が高く、日本野菜ソムリエ協会認定・野菜ソムリエの資格を取得。

  • Facebookでシェア
  • tweetする
  • はてブに追加

この記事を見た人にオススメ

人気の記事ランキング