夏が過ぎ、涼しい秋を迎えるとそろそろ今年のインフルエンザの動向が気になってきます。
今回は、インフルエンザにかかりやすい方、あるいは重症化しやすいかたがインフルエンザにかからないための注意点についてまとめてみました。 今年のインフルエンザの流行時期もだんだん近づいてきています。体調を万全にして、この冬を乗り切りましょう。
乳児がインフルエンザにかからないために
乳児は身体が小さく、免疫も完成されていないので大人に比べてインフルエンザにかかると、症状が重症化しやすい傾向があります。インフルエンザ脳症や肺炎など、重篤な合併症を起こす可能性も高いので、特にインフルエンザの流行時期にはいつも以上に体調管理に気をつけることが大切になります。
【基本の注意】
・睡眠を十分とらせる
・栄養状態に配慮をする
・むやみに人ごみに連れていかない
帰省や旅行などでの生活環境の変化も疲れから免疫力を落とし、インフルエンザにかかる危険性を高くしてしまいます。
乳児がインフルエンザにかからないために特に気をつけなくてはならないことは、周囲の人が赤ちゃんの生活環境にインフルエンザウイルスを持ちこまないこと。赤ちゃんは、何でも目につくものを口に入れたり、自分の手をなめたりします。赤ちゃんと接触するかたの手洗い、うがいはもちろんのこと、ドアノブなど多くの人が触れる箇所は清潔にしておきましょう。
お年寄りがインフルエンザにかからないために
個人差はあるものの、年配のかたも加齢のために全般的に免疫機能が落ちていることが多く、インフルエンザにかかると重症化しやすい傾向があります。
もともと免疫力が低下しているところにインフルエンザに感染して体力を落としたためにほかの細菌の二次感染を起こし、肺炎などを併発してしまうこともたびたびあるのです。例年、インフルエンザがきっかけとなって肺炎などで命を落としてしまうお年寄りは決して少なくありません。
【基本の注意】
・毎年、適切な時期にワクチンを接種すること
・うがい、手洗いを常に心がけること
・人混みを避けること
本人はもちろんのこと、周囲の方々も徹底することを心がけましょう。不眠になりがち、食欲が低下しがちなお年寄りですが、元々弱っている免疫をそれ以上落とさないように、生活に軽い運動を取り入れたり、偏らない栄養豊富な食生活を意識したりすることも、とても大切なことです。
妊娠中のかたがインフルエンザにかからないために
妊娠しているかたは、お腹の中で赤ちゃんを育てるために身体に様々な変化が起きており、そのため免疫力が低下し、インフルエンザにかかりやすく、かかると重症になりやすい傾向があります。
妊娠中は、予防接種が受けられない、抗インフルエンザ薬は服用できない、と誤解されていることが多いのですが、いずれもそうではありません。むしろ、妊娠中にインフルエンザにかかって重篤になると、胎児に悪影響を及ぼすという説もあります。妊娠中のインフルエンザの予防接種は、産婦人科の主治医と相談して可能なら接種しておくとよいでしょう。
持病のあるかた
持病のあるかたは、インフルエンザには特別な注意を必要とする場合があります。特に、糖尿病など免疫力に影響する基礎疾患をお持ちのかたは、インフルエンザウイルスに感染しやすく、重篤化しやすい面があります。健康なかた以上に予防接種、手洗い・うがい、生活リズムや栄養面など健康管理が大切です。インフルエンザにかかる前に、 かかりつけの医師にインフルエンザについての諸注意を確認しておきましょう。
2002年医師免許取得、2012年医学博士号(甲)取得。
日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、インフェクションコントロールドクター、日本感染症学会感染症専門医、日本化学療法学会化学療法認定医・指導医、日本結核病学会抗酸菌認定医・指導医、日本アレルギー学会専門医、肺がんCT検診認定医。