だんだん寒くなってくると、例年インフルエンザが流行してきます。免疫力が低下していたり、予防を怠っていたりすると、気付かぬうちに感染してしまいますので、体調管理や予防はしっかりおこなっていきたいですね。
そこで今回はインフルエンザの感染経路と予防について、お話ししましょう。
インフルエンザの感染経路は2種類!
一般的にインフルエンザウイルスは、「飛沫感染(ひまつかんせん)」と「接触感染(せっしょくかんせん)」という形で、人から人へ感染するといわれています。
「飛沫感染」とは、くしゃみや咳をしたときのしぶきによって空気中にウイルスが飛び散り、鼻や口から他の人の体内へ入り込んでいく感染経路のことです。特に、学校や職場、電車の中など人が集まる場所での感染が多いようです。
「接触感染」とは、飛沫が付着した環境の表面(ドアノブ、手すり、つり革など)を触れることにより、手を介してインフルエンザウイルスが体内入り込み感染することをいいます。インフルエンザウイルスが付着したその手で目、鼻、口を触ってしまうと、粘膜を通して感染してしまいます。
飛沫感染を防ぐだけじゃない!マスクが予防に効く理由とは?
つまり、インフルエンザウイルスの感染は、「飛沫感染」と「接触感染」によるものなので、こういった理由のために、手洗いやうがい、そしてマスクをすることがインフルエンザ感染の予防に重要となってきます。
マスクを着用することで、口や鼻から体内へ入っていくウイルスの侵入をガードする効果があるのと同時に、マスクを着用するということは、のどが乾燥してしまうことを防ぐ効果もあるのです。
なぜならインフルエンザウイルスは低温で低湿度の環境を好み、増殖しやすくなります。つまり、マスクをすることで、のどの乾燥を防ぎ、のどの湿度が上がれば、インフルエンザウイルスがのどに付着してしまったとしても、増殖を予防する効果が期待できるのです。
ガーゼマスクは効果が薄い?どんなマスクが効果的?
マスクといっても、いろんな種類のマスクがあります。
マスクには大きく分けて、
1.ガーゼマスク(織布マスク)
2.不織布マスク
3.N95マスク(医療用マスク)
の3つがあります。
この3つのマスクの中でインフルエンザウイルス侵入の防御が不十分なマスクは「ガーゼマスク(織布マスク)」になります。インフルエンザウイルスの大きさは0.3ミクロン以下だといわれており、細菌よりも非常に小さいです。ガーゼマスク(織布マスク)の目はインフルエンザウイルスよりも大きく、インフルエンザウイルスの侵入を防ぐには不十分なのです。
一方、インフルエンザウイルスの侵入を一番防ぐものは「N95マスク(医療用マスク)」です。しかし、N95マスクは、高額であり、マスク構造の網目の密度が高いため呼吸がしづらく、長時間の着用には向いていない部分があります。そのため、私たちが日常的にインフルエンザウイルスの侵入を防ぐのに適したマスクは、不織布マスクといえるのではないでしょうか。
マスクは顔に合ったものを選んで
マスクのサイズは、鼻と口をきちんと覆い、顔にフィットするようなマスクを選びましょう。顔にフィットしないと、マスクの隙間からインフルエンザウイルスが侵入してしまうためです。
自身の予防のためはもちろん、自分がインフルエンザになってしまった場合に他人にうつさないためにもマスクをつけるようにしたいですね。
2002年医師免許取得、2012年医学博士号(甲)取得。
日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、インフェクションコントロールドクター、日本感染症学会感染症専門医、日本化学療法学会化学療法認定医・指導医、日本結核病学会抗酸菌認定医・指導医、日本アレルギー学会専門医、肺がんCT検診認定医