たくさんのつらい症状が現れるインフルエンザ。
特に38度を超え、時に40度に達するような高熱は、本当に体力を奪いますよね。
多くの方は、熱が下がったらもう大丈夫だ、と思いがちですが、でもちょっと待って。
インフルエンザからの回復は、熱が下がった時点ではありません。
特に抗インフルエンザ薬を内服することが一般的になってから、インフルエンザにかかっても1~2日で熱が下がってしまうことも多いのです。しかし、インフルエンザを発症する前日から発症後一週間までは、ウイルスを排出して周囲の人につらいインフルエンザを感染させてしまう可能性があるのです。
これは、熱が平熱に戻っていても同じことなのです。そのため、ウイルスをまき散らしてオフィスや学校にインフルエンザを大流行させてしまわないよう、自宅療養をするようにしましょう。
休養と栄養補給で身体のダメージも癒して
熱が下がっても、インフルエンザは身体に多大な負担をかけますから、身体の回復にも十分に気を遣ってあげましょう。
消化の良い食べ物、例えば、おかゆやうどんなどをメインの食事として、極端に辛いものや脂っこいものなどは体に負担をかけるので、体調が回復するまでしばらくは控えたほうがよいでしょう。
ビタミンやミネラルも十分補給し、疲れた体を労わってあげましょう。体調的に問題がなさそうであれば、入浴もOKですが、熱すぎるお風呂や長風呂は避け、脱衣場もよく温めてから入浴します。髪なども濡れたままにせず、よく乾かして体が冷えないようにしましょう。
また、自宅療養中はもちろん、十分に安静を保つことが非常に大切です。リラックスしてのんびり、寝たり起きたりして過ごすようにしましょう。
インフルエンザ直後は禁酒&禁煙を
もう一つ大切なのが飲酒を控えること。お酒が好きな方は、熱が下がるとつい飲みたくなるかもしれませんが、インフルエンザ感染により肝臓などの臓器にも負担が既にかかっていますから、これ以上肝臓を傷めつけるようなアルコールの摂取は厳禁です。どうしても飲みたい、という場合はごく少量にとどめ、深酒をするようなことは絶対に避けてください。
タバコに関しても、気道に刺激を与え、息苦しさを招くなど、インフルエンザからの病み上がりには特に好ましくありません。この機会に、できれば禁煙するように心がけましょう。
熱が下がっても、インフルエンザから完全に回復したわけではありません。このことを自覚して、不調を長引かせないよう、しっかり休養しましょうね。
2002年医師免許取得、2012年医学博士号(甲)取得。
日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、インフェクションコントロールドクター、日本感染症学会感染症専門医、日本化学療法学会化学療法認定医・指導医、日本結核病学会抗酸菌認定医・指導医、日本アレルギー学会専門医、肺がんCT検診認定医。