気温が下がり秋風が吹くようになると、インフルエンザの流行に備え、ワクチンの接種や体調管理を行うことが大切になってきますね。
今回は、症状が重くつらいインフルエンザに、できるだけかからないようにするための効果的な予防方法、予防接種についてお話ししたいと思います。
インフルエンザの感染経路
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症であり、主に以下の二つの経路により流行します。
1.飛沫(ひまつ)感染
インフルエンザに感染している人がくしゃみや咳をすると、唾液が周囲に飛び散ります。そのときに空気中に飛散したウイルスを周囲の人が吸い込むことで、他の人の体内にウイルスが入り感染します。
2.接触感染
インフルエンザに感染した人が手のひらで口を抑えると、手にウイルスが付着します。その手を洗わずに多くの人が触れるところ(電気のスイッチやドアノブ、つり革など)に触れるとウイルスが残ります。そして後から同じところを触った人が、自分の鼻や口に触れ、感染します。
マスク・手洗い・うがいによる予防
【一般的な予防方法】
1.マスクの着用:インフルエンザウイルスの入り口となる、鼻と口を覆うマスクを着用する
2.手洗い:流行時期にはどこにウイルスが付着しているかわからないので、手洗いを徹底する
3.帰宅後のうがい:気をつけていても、口やのどにインフルエンザウイルスが侵入する可能性は十分あるので、帰宅時には必ずうがいをする
マスク、手洗いでの予防を流行時期に実行しているかたも多いと思いますが、より効果的に予防するための
注意点を考えてみましょう。
【より効果的な予防】
1.着用するマスクについて
・マスクは清潔なものを使う
・鼻の上までしっかり覆うものを選ぶ
2.手洗いを徹底するには
・爪は短く切る
・指の間や手首、手の甲まで石鹸やハンドソープで丁寧に洗う
・洗い終わったらすぐに清潔なタオルやペーパータオルで拭き取り十分に乾かすこと
体調管理と生活環境による予防
インフルエンザウイルスは免疫が落ちている場合に感染しやすいので、 全体的な体調管理、生活環境の管理も非常に大切なことです。以下に注意し、インフルエンザをはじめとするいろいろな感染症にかかりにくい環境を心がけましょう。
1.体調管理
・睡眠を十分とる
・規則的な生活
・栄養バランスの整った食事
・疲れをためないこと
2.生活環境
・ストレスが強い環境を避ける
・インフルエンザウイルスは、乾燥している環境で増殖するため、空気乾燥させない(加湿器の使用や、濡れタオルを室内に干す)
・外出はあまり混まない時間帯を選ぶ(多くの人で混み合っているところは、感染の可能性が高くなる)
インフルエンザワクチンの働き
インフルエンザワクチンの接種について、毎年話題になりますね。実は、国内で使用されているインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスが身体に入ってきた時に感染をしないように完全に阻止する働きはありません。インフルエンザワクチンにもっとも期待できる効果は、インフルエンザにかかってしまったときに重症化を抑えることです。
ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかってしまった、という話をよく聞きますが、それでも比較的軽症で回復するため、ワクチンを接種しておくことは大いに意味のあることです。 特に抵抗力の弱いお年寄りや基礎疾患をお持ちの方は、アレルギーなど特別な理由がない限り、流行する前に毎年受けておくとよいでしょう。
2002年医師免許取得、2012年医学博士号(甲)取得。
日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、インフェクションコントロールドクター、日本感染症学会感染症専門医、日本化学療法学会化学療法認定医・指導医、日本結核病学会抗酸菌認定医・指導医、日本アレルギー学会専門医、肺がんCT検診認定医。