インフルエンザワクチンの効果を高める、乳酸菌のアジュバント作用について

2018.12.21 10:00 | 竹田 和由

Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(以下OLL1073R-1乳酸菌)には、これまでにヒト試験により風邪症候群罹患リスクの低減作用や、免疫力の指標となるナチュラル・キラー細胞(NK 細胞)の活性を高める働きが認められていましたが、併せて、インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があることをご存知でしたか?

インフルエンザワクチンについて

一般に、インフルエンザ対策にはワクチンの接種が有効とされています。ワクチンにより、あらかじめ体内にインフルエンザウイルスに対する抗体を作っておくことで、感染を予防するとともに、感染した場合の重症化を防ぐことができるのです。しかし、そのためには一定量以上の抗体の生成が必要であり、人によっては抗体の量が十分に増加せず効果が得られない場合もあります。

インフルエンザウイルスには様々な型があり、その年ごとで流行する型が変異します。そのため、年ごとに流行するウイルスの型を予想し、毎年新しいワクチンがつくられます。だからインフルエンザワクチンは毎年の接種が大切なのです。たとえこの流行予想が外れてしまっても、ワクチンを接種することである程度の予防効果があることや、感染しても症状が軽くすむことも、確認されています。

OLL1073R-1乳酸菌の摂取により、ワクチンの効果を高められる可能性がある

健康な方にインフルエンザワクチンを接種する3週間前から、OLL1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト、または酸性乳飲料を毎日摂取してもらい、その後も約6週間にわたり摂取を継続してもらったところ、酸性乳飲料を摂取した群と比べ、OLL1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルトを摂取した群では、ワクチン接種後にインフルエンザウイルスに対する抗体の量が有意に上昇したという結果を確認しました。(下図)

習慣的な乳酸菌の摂取とワクチンの接種で、この冬はインフルエンザにかかりにくい身体づくりを目指しましょう!

竹田 和由

1991年東北大学大学院歯学研究科博士課程修了。1991年南カルフォルニア大学医学部微生物学教室、1995年新潟大学医学部医動物学講座助手。1996年順天堂大学医学部免疫学講座助手、1999年同講師、2007年同准教授。また、2005年豪州Peter MacCallum Cancer Centre, Cancer Immunology Program 客員准教授併任。2014年より現職。
2000年には日本癌学会奨励賞を受賞。専門は、腫瘍免疫、NK・NKT細胞の機能解析。

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