開発・設計機能

全機能の土台となるコンセプト作りと具体化

当社の品質マネジメントシステム「Meiji Quality Comm」は、商品の開発段階から始まっています。
お客様にとっていかに価値のある商品を生み出すことができるか。そのために市場や消費者の調査を丹念に重ね、一方でこれまでのノウハウを生かした研究開発を続けています。商品のコンセプト作りは、その後の製造や流通などすべての機能を左右する重要なポイントです。そのコンセプト作りや設計に関わる具体的な取り組みを見ていきましょう。

1. 開発のスタートはお客様の声と研究者のアイデア

商品完成までには試食とディスカッションを繰り返す。

商品の開発には大きく分けて2つの出発点があります。
1つは市場のトレンドや消費者調査から探り当てたお客様のニーズ。もう1つは研究所が積み上げてきた独自の技術。この2つを基に、そのニーズに応えるためのアイデアを加えながら商品コンセプトを作っていきます。
1つの商品を作るにも原料や配合、形、食感などを変えながら何十もの試作品を作り、社内外で試食を繰り返します。包装材料も複数のタイプで保存テストを行った上で選定します。さらに、工場の設備設計なども平行して行い、ようやく商品設計へと入ります。

2. マーケティングリサーチでお客様にとっての“価値”を知る

お客様のニーズを探り、ニーズに合った商品を開発する上で、大きなヒントになるのが市場調査(マーケティングリサーチ)です。
その一つがグループインタビュー。例えば「ふだん買って食べているデザートの満足点、不満点は?こんなデザートがあったらどう思う?」といった質問を投げかけてニーズを探ったり、新商品やリニューアル商品の試作品を試食していただき、その感想を聞きながら試作品をブラッシュアップしていきます。
お客様のライフスタイルや価値観を幅広く知るための「生活者研究」も行います。幅広い年齢層の数千人を対象に、食生活や趣味、交友、ファッション、健康意識など生活全般に関する情報を集めて徹底的に分析。そこから得られた数々のデータを、商品開発に役立てています。
さらに、発売後のお客様の反応を確認することも、開発工程の重要な役割です。想定していたお客様と実際の購入者層を比べたり、味の満足度や購入回数などを調査。その実態を真摯に受け止め、さらに価値ある商品の開発やリニューアルにつなげていきます。
一方、お客様のニーズは時代と共に変化するものです。最近はスイーツ好きな男性が増え、男性をターゲットにした商品展開も広がっています。健康や美容、ダイエットといった機能を求める一方で、楽しさや癒しといった情緒的な価値を求められる商品もあります。こういったお客様のニーズの傾向を消費者調査でいち早く把握し、幅広い明治の商品に生かしています。

3. 商品パッケージは廃棄されるまでを想定して設計

お客様との最初のコミュニケーションとなるのが商品パッケージです。
そのパッケージに求められる要素は、大きく分けて3つ。「製品の品質保持」「使い勝手」「デザイン性(表現力)」です。
「製品の品質保持」については、食品のおいしさを長期保存できること。容器と中身の香りが互いに影響したり、光による変質が起こったりしないことが大切です。「使い勝手」は持ちやすさや開封しやすさといった取扱いの利便性です。「デザイン性」は味や機能などの特性をきちんと表現できているか、お客様が知りたい情報が伝えられているかなどです。
もちろんパッケージ自体に使用されている化学物質などの安全性もしっかりとチェックしています。商品パッケージは、流通から店頭での陳列、ご家庭での保存、そして廃棄されるまで、さまざまなシーンを想定したチェックリストに基づいて設計を行っているのです。
また、お客様相談センターに寄せられるご意見を参考に、既存のパッケージを改善することもあります。お客様の声には、品質や価値をさらに高めるヒントが多く隠されています。

4. 開発・設計における品質を支えるチェック機能

専門の調査員がにおいや味を調査する官能検査

品質保証のためには、さまざまな工程において検証作業が欠かせません。
新規で原材料を購入する場合、さまざまな調査を行い、採用時には原料購入規格書を基に、安全性を検証します。
産地をうたった商品であれば産地証明、遺伝子組み換えやアレルギーに関する情報なども取り寄せます。賞味期限まで風味や外観が劣化しないかといった保存性もテストしています。風味は、専門家による官能検査と分析機器を使った検査を行います。
商品パッケージに記載されたキャッチフレーズなどの文言も、根拠となる情報を必ず備えた上で商品化します。
検証とそこで発生した膨大な記録の確認、その作業を繰り返すことが安全な商品設計を支えているのです。

スタッフからのひとこと

写真:宇都宮 洋之

あらゆるお客様に喜んで買っていただけること

宇都宮 洋之チョコレート開発 担当

チョコレートの開発における品質保証のポイントは、香味、口どけ、さらにブルーム(表面の変質)や、持ち歩いても溶けないかといった保存性です。特に味の決め手となる原料のカカオ豆は、産地やカカオの品種にこだわり、現地での発酵や乾燥は当社独自のやり方を技術指導しています。

写真:山室 宗弘

裏付けとなるデータを必ず用意

山室 宗弘品質研究 担当

お客様に対して約束している品質を、私たちはいろいろな分析をすることで守っていかなくてはいけません。例えば、商品名についた「プレミアム」の意味や、パッケージに書かれた「サクッとほろっと」など食感を表す言葉についても説明ができるようにしています。とにかく何でも隠さずに言えることが大事なので、裏付けとなるデータを必ず用意しておくことが、品質を守る上で大事だと感じています。

開発・設計のケーススタディ