商品開発 サクセスストーリー

※「月刊化学」2012年5月号に掲載された記事です

※数値・図・表等は掲載当時のものになります

伝統技術と最新技術の融合

レシピづくりから分析・検査技術まで

 当社は菓子・乳業界のリーディングカンパニーとして,赤ちゃんからお年寄りまであらゆる年齢層に向けて,菓子,乳製品,健康・栄養食品など多様な商品を開発し,提供しています。筆者らの研究グループは,当社の乳製品事業のなかでおもにパンやトーストなどに塗布する家庭向けマーガリン製品全般に関する研究・開発を行っており,マーガリンのレシピづくりをはじめ新規の製造技術,分析・検査技術の開発なども手がけています。グループのメンバーは若手・ベテランを含む構成で,互いに刺激し合いながら意欲的に取り組める体制です。

さらなる低脂肪化の実現に向けて

 家庭用マーガリン市場は,近年のバター不足に伴う代替需要などの影響で一時的に拡大を見せていますが,消費量自体は徐々に落ちてきています(図1)。大容量で手ごろなファミリー向けのレギュラータイプマーガリンは市場規模が最も大きいですが,世帯の核家族化が進むにつれ,年々減少の一途をたどっています。
 一方,低脂肪マーガリンなどのヘルシータイプマーガリン市場は,レギュラータイプの約1/10と規模は小さいものの,昨今の健康志向の高まりや少子高齢化の流れなどから,今後の成長・市場の活性化につながる可能性があり,なんとか一石を投じたいと考えていました。しかし,それには従来の低脂肪マーガリンのスタンダードである,油分約40%の「ハーフタイプ商品」(五訂増補日本食品標準成分表のソフトタイプマーガリンと比較して脂肪分およびカロリーを50%カット)を大きく上回る低脂肪化の実現が不可欠でした。