健康・栄養

健康・栄養に関する目標 栄養に関する明治のコミットメント 健康な食生活への貢献 超高齢社会への対応 開発途上国における栄養改善 医薬品の安定供給 新興・再興感染症対策

貢献するSDGs

2 飢餓をゼロに 3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに

明治グループサステナビリティ2026ビジョン
活動ドメイン

健康・栄養

健康・栄養に関する目標

  • 【】内はKPIの対象範囲
  • 明治:(株)明治
    MSP:Meiji Seika ファルマ(株)
    KMB:KMバイオロジクス(株)
サステナビリティ活動KPI
(2021年度から)
基準年 実績 達成目標
2021年度 2022年度 2023年度
健康志向商品、付加価値型栄養商品、超高齢社会に貢献する商品の売上伸長【明治国内連結】 2020年度 -3.1% -3.1% 10%以上増加
2021年度から2023年度までの3カ年で食育を延べ70万人に実施【明治単体】 18.8万人 延べ44.3万人(2022年度:25.5万人) 延べ70万人
Key Drug※15剤※2の数量シェア拡大【MSP国内連結】 32.4%※3 35.2%※3 50%以上
新型コロナウイルス・ワクチンの上市を目指す【MSP、KMB単体】 2023年度中の上市を目指して対応中 上市

※1感染症関連学会が選定した、感染症治療の代表的な抗菌薬かつ安定供給が不可欠な薬剤

※22019年にKey Drugとして選定された10成分のうち、Meiji Seika ファルマ(株)が販売している抗菌薬数

※3Copyright © 2023 IQVIA. / JPM 2021年4月~2023年3月をもとに作成 / 無断転載禁止

栄養に関する明治のコミットメント

明治グループは創業以来100年以上にわたり、栄養をもって社会に貢献したいという思いのもと、「おいしさ、楽しさ」の世界を拡げ、「健康、安心」への期待に応えていくことに努めてきました。私たちが考える「栄養」は、一人一人が抱える健康課題の解決に貢献することはもちろん、おいしく食べることの喜びや充足感を満たすことも大切にしています。
そしてこれからの100年も、栄養でより一層世界に貢献していくために、明治が提供する栄養の考え方を明文化した「明治 栄養ステートメント」を定め、下記3つについてコミットしています。
・乳、カカオなどの自然素材を生かし、毎日の健康を支える“栄養”を提供します
・さまざまな「+1(プラスワン)の価値」で、心を満たす“栄養”を提供します
・“栄養”で、各国・各地域の生活者それぞれの人生を豊かにするお手伝いをします

栄養への取り組み

健康な食生活への貢献

栄養不良の二重負荷と微量栄養素欠乏への取り組み

今世界では、食べすぎや偏った食事による過体重・肥満、それに伴う非感染性疾患(NCDs※1)のリスク増加が問題視される一方、たんぱく質や食物繊維、ビタミンなどの不足による発育阻害・やせ・フレイル※2などへの懸念も高まっており、これら二つの相反する栄養課題に直面しています。
こうした課題の解決には、人々が栄養バランスのとれた食生活をより容易に行えるようにすることが必要です。そのために明治グループは、健康・栄養の課題解決に貢献する商品の創出に努めるとともに、明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)を活用した商品改良やお客さまへの情報提供に向けた取り組みを推進しています。

  • ※1不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患の総称。
  • ※2加齢とともに筋力が低下したり、認知機能が低下したりするなどの心身が虚弱化した状態のこと。

明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)の策定

私たちは、国際的な栄養プロファイリングシステム(Nutritional Profiling System: NPS)※3を参考に、2023年6月に、明治栄養プロファイリングシステム(Meiji Nutritional Profiling System: Meiji NPS)を策定しました。明治グループは、Meiji NPSを活用して商品の栄養価値を高める取り組みを進めるとともに、栄養価値についてお客さまに分かりやすく情報提供することで、より健康的な食生活の構築に貢献していきます。

※3Health Star RatingとNutrient-Rich Food Index 9.3など

健康志向商品の創出

多様化するお客さまの健康ニーズを捉え、食品・薬品で培った強みと、栄養・医薬分野の先進的知見を最大限に発揮し、新たな健康価値を提供します。2022年度は46品を上市しました。

主に乳酸菌やカカオ等素材の持つ健康機能を生かした商品、健康素材を添加することで機能強化を図った商品、お客さまの低糖質、低脂肪、低カロリー等時代にあった健康ニーズに対応した商品等、からだの健康への貢献を目指した商品。

2022年度の主な発売品
写真:
明治脂肪対策ヨーグルト
写真:
明治 フェムニケアフード α-LunA
写真:
明治吸収サポート 野菜と一緒にのむヨーグルト

乳酸菌、カカオの健康成分を活かした商品開発

乳酸菌の可能性に着目し、新たなプロバイオティクスの開発や健康成分カカオポリフェノールに着目した高カカオチョコレート商品の拡充を目指します。

写真:
明治ブルガリアヨーグルト
写真:
明治プロビオヨーグルトLG21
写真:
明治プロビオヨーグルトR-1
写真:
明治プロビオヨーグルト PA-3
写真:
チョコレート効果カカオ72%
中国での乳酸菌を通した健康な食生活への貢献

明治グループは、「明治プロビオヨーグルトR-1」「明治プロビオヨーグルトLG21」を2021年4月から海外で初となる中国で販売を開始しました。
中国の牛乳・ヨーグルト事業は、日本で培った技術や知見を活かして2013年から生産・販売を行っています。現在では、安全・安心・高品質のイメージが浸透し、上海を中心とする華東エリアの幅広いお客さまに支持されています。
中国では、2016年に発表された「健康中国2030計画」のもと、国民の健康増進が図られています。その健康意識の高まりを受けてヨーグルト市場も拡大しています。さらに、自らが持つ健康課題に対しての手軽で継続できる解決策として、乳酸菌への注目も高まってきています。

低糖質、低脂肪、低カロリー等の商品

お客さまの低糖質、低脂肪、低カロリーなど時代にあった健康ニーズに対応した商品の開発・提供を進めます。

写真:
明治ブルガリアヨーグルト
(脂肪ゼロ)
写真:
明治プロビオヨーグルトLG21
(低脂肪)
写真:
明治プロビオヨーグルトR-1
(低糖・低カロリー)
写真:
明治おいしい低脂肪乳
(低脂肪)
写真:
オフスタイル
(マーガリン)
(低脂肪)

商品を通じた過栄養状態を抑制するための取り組み実績(ESGデータ集へ)

ポーションコントロールに対応した商品

明治グループでは、お客さまが一度に食べきる量を自身に適したものに調整しやすくするために、各種商品にてポーションサイズのバリエーション(同一内容物で複数の内容量のもの)を展開しています。小容量サイズの品揃えにより商品選択の幅を拡げることで、過剰摂取を抑制し、お客さまの健康な毎日の実現に貢献していきます。

商品を通じたポーションコントロールの取り組み実績(ESGデータ集へ)

付加価値型栄養商品の創出

必要な栄養分の摂取、栄養バランスの改善等、食を通じた栄養改善が注目を浴びる中、明治グループでは、独自の栄養研究と栄養設計技術を活かし、お客さまが必要とする栄養分をバランス良く摂取できる商品を提供しています。商品そのものの進化は当然のこと、容量、形状、パッケージなども含め、トータル的な商品開発に引き続き努めていきます。2022年度は41品上市しました。

乳幼児、スポーツ競技者・愛好家、高齢者等を栄養的側面からサポートする商品で、明治グループ独自の栄養研究と栄養設計技術を活かし、必要な栄養分をバランス良く摂取できる付加価値の高い商品。

2022年度の主な発売品
写真:
ザバス プロテインバー チョコレート味/ソイプロテインバー ビターチョコ味
写真:
ザバス プロ アドバンスト ホエイプロテイン プレミアム チョコレート風味
写真:
タンパクトミルクチョコレート箱

たんぱく質摂取量低下に対応する「明治TANPACT(タンパクト)」

(株)明治は65年以上にもわたってたんぱく質を加工した商品の開発に取り組み、粉ミルクやヨーグルト、スポーツサプリメントなどを通してたんぱく質の価値を広げてきた歴史と実績があります。その知見をもとに、必須アミノ酸のバランスが良い乳たんぱく質を日常生活の中で摂取できる商品群として、新たに開発したのが「明治TANPACT(タンパクト)」です。食の楽しみを提案し、かつ一日のさまざまなシーンで手軽にこまめに乳たんぱく質を摂取できるよう多品目を展開し、低栄養課題の解決に貢献していきます。

写真:明治タンパクト

スポーツ栄養商品・乳幼児栄養商品・メディカル栄養商品

明治グループの栄養研究と栄養設計技術を活かし、必要な栄養分をバランス良く摂取できる付加価値の高い商品の提供を通じて、乳幼児、スポーツ競技者・愛好家、高齢者の皆さまを栄養的側面からサポートします。

写真:
ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100
ココア味
写真:
ヴァームアスリート
(スポーツ栄養)
写真:
明治ほほえみ
らくらく
キューブ
(粉ミルク)
写真:
明治ほほえみ
らくらく
ミルク
(液体ミルク)
写真:
明治メイバランスMiniカップ
(栄養食品)

商品を通じた低栄養状態を抑制するための取り組み実績(ESGデータ集へ)

高付加価値の乳幼児用ミルクを通して健全な発育に貢献

1923年日本で初めてビタミンB1を添加した乳児用ミルクを発売して以来、明治グループは乳幼児の健全な発育に貢献する乳幼児栄養事業を進めています。現在は乳児を対象とした母乳代替ミルク「ほほえみ」、幼児期に必要な栄養を補助する「ステップ」を中心に、乳幼児の健康をサポートしています。また、誰でも簡単にミルクを作れる「キューブタイプ」の粉ミルクを世界で初めて開発し、深夜の授乳や家族みんなでの育児に貢献しています。2019年3月には、常温でそのまま飲めて長期保存が可能な「液体タイプ」も発売。2021年4月には賞味期限を18カ月に延長しました。本商品は、「日常」と災害などの「非常時」の両方に役立つ商品として、2020年8月に乳児向け商品で初めてのフェーズフリー認証を取得しています。日常では外出時や夜間の授乳時に、また、頑丈なスチール缶と専用アタッチメントにより、非常時の乳児への衛生的な授乳をサポートします。

「日常時」と「非常時」のフェーズ(社会の状態)にかかわらず、適切な生活の質を確保しようとする概念のこと。

栄養へのアクセス

宅配サービス

明治グループでは、全国約3,000の特約店を通じてお客さまに直接、牛乳・乳製品等の宅配サービスを提供しており、約240万世帯のお客さまにご利用いただいています。健康のために毎日おいしく手軽に続けていただけるよう開発された、小容量タイプの機能性飲料や、習慣化を応援するチーズやカレーなど、店頭にはない宅配専用商品を多数ラインアップしています。
また、お客さまとの対面コミュニケーションを重視し、配達時の声掛けや地域の見守りサービスにも力を入れています。今までの「宅配センター」から「ウェルネスセンター」へ舵をきり、商品だけでなく簡単な運動まで提案の幅を広げ、地域の健康寿命延伸に取り組んでいます。

写真:
明治プロビオヨーグルト
R-1ドリンクタイプ
(宅配専用) 100g
写真:
明治プロビオヨーグルト
LG21ドリンクタイプ
(宅配専用) 100g
写真:
明治5つ星習慣 100ml
写真:
明治グルコサミン1500
&コラーゲン3000 100ml

健康な食生活・食文化の普及・啓発

お客さまの健康な食生活を支える企業として、商品の提供や食生活や食文化についての情報発信を行い、普及・啓発に努めています。

食育活動の拡充

食育活動実績

(単位:万人)

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
日本 19.6 21.2 9.7 18.8 25.5
海外 0.38 0.07 0.02 0.03 0
食育活動の推進とオンライン食育について

(株)明治の食育活動は、2005年の食育基本法制定を契機に2006年から開始しました。乳・カカオ豆などを題材として、生産者の苦労や製造工程、栄養価などへの理解を促す取り組みです。食に対する魅力や感謝の気持ちを醸成し、食への理解を通して「お客さまのこころとからだの健康に貢献する」ことを目指して活動しています。
本社と全国7拠点に食育活動専門組織を設置し、約60人の食育担当者が食育活動を行っています。中でも、小中学校の出前授業は2006年から開始し、2020年度に延べ1万校、100万人を突破しました。
また、近年では各世代に合わせたプログラムを用意して、「高校・大学」「企業」「シニア向け」など幅広い世代に向けたセミナーを開催しています。特に、最近注目されている「健康経営」をテーマに企業様従業員を対象としたプログラムは好評を得ています。
また、2020年度からはコロナ禍のなか、オンラインによる食育セミナーを開始しました。オンラインでのセミナー開催は、感染症拡大防止とともにいままでセミナーに参加いただけなかった離島など、エリアの拡大にもつながりました。今後、さらに内容を充実させ、子どもから大人まで幅広い世代の方々に向けて、活動を広げていきたいと考えています。

札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡

写真:
小学校への出前授業とオンラインセミナー
小中学校出前授業実績
  • 2022年度:1,394校 受講生徒数 144,197人
  • 2021年度:1,253校 受講生徒数122,917人
  • 2006~2020年度累計:約1万校 受講生徒数100万人

いずれも延べ数

食育プログラムの監修
  • 料理のレシピについて:江上料理学院(Egami cooking school) 江上 栄子院長
    「おすすめレシピ」:管理栄養士 満留 邦子 先生、女子栄養大学作成
    「世界の食と文化~いろいろな国の料理をつくってみよう~」:管理栄養士 伊藤 晶子先生
  • 乳製品の栄養素について:東北大学大学院農学研究科 名誉教授 齋藤 忠夫先生
  • 運動生理学について:信州大学大学院医学系研究科 特任教授 能勢 博先生
海外の食育活動

海外の明治乳業(蘇州)有限公司では、子どもたちを中心に食育活動を実施しています。乳牛や牛乳・ヨーグルトに関する知識、栄養に関する情報提供だけでなく、ヨーグルトを使ったアレンジ体験など楽しく学べるプログラムを行っています。

写真:明治乳業(蘇州)有限公司での食育活動

スポーツを通した栄養サポート

「成長期のカラダづくりや、個々の持つあらゆる可能性を引き出すために全国でスポーツ栄養講習会を行っています。望ましい食事の理解や正しいサプリメントの活用方法などを若い時期から身に着けることによって未来のスポーツ選手育成につなげています。
スポーツ栄養の情報発信を幅広く行い、若い豊かな才能を伸ばし、多方面で活躍できる、可能性あふれる世代と、その指導者の方々を、今後も「スポーツ栄養」の分野から応援していきます。

写真:スポーツ栄養講習会

(単位:万人)

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
スポーツ栄養セミナー参加人数 7.2 6.4 2.6 3.6 5.0

乳・乳酸菌・カカオに関する情報の発信・普及

明治グループでは、製品の主原料である乳・乳酸菌・カカオに関する情報について、各種学会、シンポジウムなどでその研究成果を適宜公表しています。また、一般のお客さまに対しては、「乳・乳酸菌・カカオ」のもつ健康へのよい影響について食育、工場見学などの機会を通じて分かりやすく解説しています。

関連サイト

栄養に関するポリシーおよび各種施策の展開

私たちは、国際的なガイドラインに則って制定した明治グループ食品栄養ラベリングポリシーや子ども向けマーケティングポリシーなど、各種ポリシーに基づいた施策を展開しています。

適切な製品パッケージの表示

明治グループは、お客さまが正しい商品選択により健康的な毎日を過ごせることを願い、商品パッケージ上に、「明治グループ食品栄養ラベリングポリシー」に基づいた分かりやすく的確な情報を提供しています。商品パッケージには、販売する各国・地域の表示規制に準拠した栄養成分情報や包材情報といった義務表示と、お客さまに商品を正しく選択していただくために必要な情報を適宜記載しています。

明治グループ食品栄養ラベリングポリシーにのっとった「ザバス ソイプロテイン100」のパッケージ

写真:
義務表示
  • 一括表示
    名称(品名)、原材料名、内容量、賞味期限(開封前)、保存方法、製造者、製造所の情報を記載しています。特に賞味期限では、多くの製品で印字内容を改変できないレーザー刻印を採用しています。
  • 栄養成分表示
    熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量を表示しています。また、容器包装表示でお客さまに食品表示基準に規定の栄養成分を訴求している場合、その栄養成分の含量も表示しています。
  • 容器包装識別表示
    資源有効利用促進法に基づき「識別マーク」を表示しています。
商品選択に役立つ表示
  • 栄養強調表示
    お客さまに明治グループの商品を正しく選択していただくため、製品に特徴的に配合する栄養成分を分かりやすく表示しています。
  • 任意表示
    製品の特徴により、お客さまが必要と考えられる成分情報を栄養成分表示近傍に表示しています。
  • アレルギー親切表示
    明治グループでは、アレルギーに関して義務である一括表示のほか、視認性を高めるため、別途アレルギー親切表示欄を設けています。消費者庁が規定する特定原材料および特定原材料に準ずるものを表示しています。
  • 製品の特長
    お客さまの健康的な日常生活に対して、製品が支援できる情報を表示しています。
  • 召し上がり方
    お客さまが喫食しやすいよう、さまざまな召し上がり方を表示しています。
  • 使用上の注意
    お客さまからいただいたお問い合わせや想定される事象について、その内容と注意を表示しています。
  • お客さまのお問い合わせ窓口
    お客さまの目に留まりやすく記載することで、食事と栄養や商品・サービスの開発・改善を通じてお客さまの満足と信頼を得られるよう努めています。

マーケティング・広告に関する従業員教育

責任あるマーケティングを推進するために、宣伝と広報に関わる従業員や希望する従業員に対して教育を実施しています。
今後はさらに教育内容を拡充し、従業員がお客さまへ商品に関する情報について適切にお伝えできるよう努めていきます。

教育内容と実績

(単位:人)

教育内容 2021年度 2022年度
明治グループ子ども向けマーケティングポリシー 130
明治グループにおけるSDGsロゴ・アイコンの使用に関するルール 29 156

超高齢社会への対応

超高齢社会に貢献する商品の創出

栄養に関する明治グループ独自の研究と設計技術を活かし、お客さまが必要な栄養分とエネルギーをバランス良く摂取できる商品を提供します。

おいしさと使いやすさを兼ね備えた栄養食品・流動食の開発

高齢になると、ものをうまく食べられなくなったり、消化機能が落ちたりすることで、栄養や水分を十分に摂れなくなることがあるため、低栄養に注意が必要な場合があります。おいしさと使いやすさを兼ね備えた栄養食品・流動食・介護食の開発など、ライフスタイルの変化による飲食するシーンの多様化に対応し、容量、形状、パッケージなども含めた、トータル的な商品開発に引き続き努めていきます。2022年は8品上市しました。

  • 写真:
    明治メイバランス Miniカップ
    (栄養食品)
  • 写真:
    明治栄養アップペースト
    (栄養食品)
  • 写真:
    明治メイバランスR
    (流動食)
  • 写真:
    明治インスロー
    (流動食)
  • 写真:
    かんたんトロメイク
    (とろみ調整食品)

低栄養啓発活動

高齢者の健康課題の一つとして、低栄養があります。明治グループでは高齢者が低栄養に陥るプロセスを説明し、いきいきとした毎日を送れるよう、啓発活動を実施しています。

医療・介護従事者や高齢者に向けた勉強会の開催

  • (株)明治の従業員が医療や介護に従事する専門職の方々や高齢者の皆さまに向けた勉強会を開催し、摂るべき栄養や食事内容、食事法などを説明しています。
  • 写真:株式会社明治の従業員による勉強会

明治栄養ケア倶楽部での情報発信

(株)明治ホームページにおいて低栄養に関する情報発信を行っています。

栄養ケア倶楽部 栄養ケア情報(低栄養とは)

開発途上国における栄養改善

開発途上国における栄養情報の発信・普及

開発途上国では貧困層を中心に、低栄養の課題があります。食に携わる企業として、栄養改善に取り組む関連団体と協力し、栄養情報の発信・普及により食生活への意識向上を図るなど、課題解決につながる取り組みを行っていきます。

「栄養改善事業推進プラットフォーム」への参加

(株)明治は、「栄養改善事業推進プラットフォーム(Nutrition Japan Public Private Platform:NJPPP)」に参加しています。
このNJPPPは、日本政府が2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて世界的な栄養改善の取り組みを強化することを表明した「新興国・途上国を含む各国の栄養改善のため、官民連携を通じた包括的ビジネスを含む事業の国際展開を進める」枠組みです。2015年に国際連合で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」にある健康・福祉の推進や飢餓の撲滅など複数の課題解決に貢献する取り組みを行っています。

栄養改善事業推進プラットフォーム

ベトナムにおける女子労働者の栄養改善事業

2030年までに65万人の女子工場労働者に栄養教育を実施

近年、ベトナムでは女性の栄養不足が社会問題となっています。なかでも、妊産婦や授乳婦、労働者の栄養改善に課題を抱えています。こうした課題の解決に貢献するべく「女子工場労働者の栄養改善事業」に取り組んでいます。これは、(株)明治の栄養士が工場で働く女性従業員に向けて栄養教育を行い、栄養強化ミルクの提供を通して栄養状態を改善してもらうことを目的としたものです。これまで、複数の日系大手メーカーの工場で栄養改善セミナーを実施し、あわせて370人の女性従業員の方々が受講しました。
ハノイ医科大学の協力を得て栄養調査を実施し、栄養教育と食事の指導によって、血中の鉄や亜鉛、カルシウムの増加などの改善効果が認められています。この成果は、2020年11月に開催されたハノイ医科大学60周年国際シンポジウムにて、同大学のNguyen Thuy Linh医師によって発表されました。今後、こうしたエビデンスをもとに栄養改善事業をさらに拡大し、2030年までに65万人の女子工場労働者の方々に栄養教育を行うことを目標としています。

写真:
栄養士による栄養改善セミナーの様子
写真:
栄養改善セミナーとともに、栄養強化ミルク「MEILIFE(メイライフ)」を提供

医薬品の安定供給

安定供給に関する取り組み

医薬品事業では、リスク評価を実施し、不測の事態にも柔軟に対応できる供給網の整備のために日本国内外にわたる生産体制の増強など、信頼性ある製剤の安定供給への体制を整えています。

日本国内外生産拠点の最適化による安定供給体制の整備

日本国内と海外(タイ・インドネシア・インド)の生産拠点を最適化し、安定した供給体制を整備していきます。

Key Drug 5剤の安定供給体制を強化

海外原薬メーカーの製造トラブルにより、国内ではセファゾリンの供給停止に端を発し、多くの医療機関で感染症治療薬(抗菌薬)の安定供給に不安が生じました。感染症治療は抗菌薬の安定的な供給なくしては成り立たないことから、感染症分野を研究領域とする5学会※1は、2022年3月、臨床的に重要かつ安定供給が不可欠な薬剤(Key drug)を32薬剤に拡大し、Meiji Seika ファルマ(株)からは13薬剤※2が選ばれました。
感染症治療の中心的な役割を担う社会的責任を全うすべく、品質確保と生産拠点の最適化を図り、安定供給体制の強化に引き続き努めていきます。

写真:安定供給が不可欠な薬剤 キードラッグ生産現場
  • ※1日本化学療法学会、日本感染症学会、日本臨床微生物学会、日本環境感染学会、日本小児感染症学会
  • ※2ペニシリンG、アンピシリンナトリウム/スルバクタム、タゾバクタム/ピペラシリン、メロペネム、バンコマイシン、セフジトレン ピボキシル、アミカシン、アモキシシリン、アンピシリン、クラリスロマイシン、ミカファンギン、カナマイシン、レボフロキサシン
抗菌薬の安定供給

Meiji Seika ファルマ(株)は、ペニシリン系抗菌薬の共通原料である6-APAを岐阜工場で生産する準備を進めています。この原料の国産化により、現在、海外からの供給に依存している6-APAの安定的な確保が実現できます。2025年の生産開始を目指しています。

写真:ペニシリン系抗菌薬の共通原料6-APAの生産準備中の岐阜工場

感染症パンデミック発生に備えたワクチンの生産体制を整備

KMバイオロジクス(株)は、厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」の助成金を受け新型インフルエンザ発生に備えたワクチン生産設備を整備しており、日本国民の約半数に当たる5,700万人分のワクチンの生産・供給を担うことになります。
また、経済産業省の「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」の採択を受け、感染症パンデミック発生に備えたワクチン製造設備を整備します。この整備により、有事の際に国内でワクチンを円滑に生産できる体制を構築することができます。

シングルサプライ製品の供給

ヒト用のまむし、はぶといった蛇毒などの抗毒素、A型肝炎ワクチン、ならびに動物用の炭そワクチン、診断薬など国内で唯一、KMバイオロジクス(株)のみが製造している製品が数多くあります。

日本国内ではKMバイオロジクス(株)のみが製造している製品で、他社では製造していないため代替製品がないもの。

オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の開発・供給

明治グループ全体では、合計10製品で13のオーファンドラッグ指定を受けており、うち9製品が製造販売承認を取得(1製品は承認申請中)、治療の選択肢が限られていた疾患の治療に貢献しています。(2023年8月末時点)

日本において対象患者数が5万人未満であり、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、厚生労働省が指定した医薬品。

主なオーファンドラッグ
  • 難治性てんかん:2012年に、発症頻度が4万人に1人と推定され、乳児期に発症する難治性のてんかんであるドラベ(Dravet)症候群の治療薬「ディアコミット®ドライシロップ」「ディアコミット®カプセル」を発売しました。2011年に同疾患を対象として希少疾病用医薬品の指定を受けています。
  • 脳腫瘍:正常脳組織への浸潤性発育を特徴とする悪性脳腫瘍の治療では、いかにして腫瘍細胞だけに選択的な傷害を与えるかが課題とされていました。光線力学療法(PDT)は、正常組織への影響が少なく、身体への侵襲を軽減する治療法として知られています。光線力学的療法用剤である「注射用レザフィリン100mg」は2013年、悪性脳腫瘍の適応で希少疾病用医薬品の指定を受け、2013年に適応を取得しました。
  • 食道がん:食道がんにおいては、化学放射線療法(CRT)または放射線療法(RT)後の局所遺残あるいは再発した場合の治療法が望まれていました。光線力学的療法用剤である「注射用レザフィリン100mg」は2014年、この適応においても希少疾病用医薬品の指定を受け、2015年に適応を取得しました。
  • 組織片対宿主病(GVHD):慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)は、白血病を含む血液がんの治療として行われる造血幹細胞移植後に発症する合併症であり、治療選択肢が限られる疾患です。2023年6月に承認申請を行った「ベルモスジルメシル酸塩」(一般名)は、新しい作用機序で免疫調整作用などを発揮し、この疾病に奏効することが期待されます。同剤は2023年5月に希少疾病用医薬品の指定を受けています。
  • 電撃性紫斑病:プロテインCと呼ばれるタンパク質が先天的に欠損している患者さんは、電撃性紫斑病という皮下出血と出血性壊死を繰り返す重篤な疾患を発症する場合があります。
    「注射用アナクト®C2,500単位」は献血血漿から精製したプロテインCを活性化させた製剤で、電撃性紫斑病の治療に用いられます。同剤は1993年11月に希少疾病用医薬品の指定を受けています。
  • インヒビター保有血友病:血液凝固反応に関わる第VIII因子、第IX因子に対する抗体(インヒビター)を生じた血友病患者さん(血友病A及び血友病B)は、止血機能がうまく働かず関節内や筋肉内などに出血を起こす場合があります。「バイクロット®配合静注用」は献血血漿から精製した活性化第VII因子と第X因子を有効成分とする製剤で、インヒビター保有血友病患者さんの止血治療や出血予防に用いられます。同剤は2014年5月に希少疾病用医薬品の指定を受けています。
  • ギラン・バレー症候群(GBS):自己の免疫が末梢神経を障害することで手足の麻痺などを来たす神経疾患です。「献血ベニロン®-I 静注用」は献血血漿から免疫グロブリンを精製した製剤で、ギラン・バレー症候群の急性増悪期治療に用いられます。同剤は1996年4月に希少疾病用医薬品の指定を受けています。

医薬品アクセスの向上

開発途上国や新興国における医薬品アクセスの向上を目指し、各関連団体と連携した取り組みを進めていきます。

メドライク(Medreich)からユニセフ(unicef)を通じた医薬品の提供

インドのメドライクLimitedは2015年2月にMeiji Seika ファルマ(株)のグループ会社となりました。メドライクLimitedはインド国内に5つの工場とグローバルな販売網を有しており、大手医薬品メーカーの受託製造も行っています。メドライクLimitedの欧州の販売・マーケティングの拠点であるメドライクplcは、ユニセフに抗生物質アモキシシリン(Amoxicillin)を供給しています。今後もメドライクLimitedはユニセフを通じて医薬品のアクセス向上に貢献していきます。

unicef:United Nations International Children's Emergency Fund

メドライク ホームページ

メドライクの紹介

新興・再興感染症対策

薬剤耐性(AMR)に関する取り組み

医薬品事業においては、1946年のペニシリンの製造開始以来、感染症領域を医療用医薬品事業の中心に据えて、開発、製造、販売を行ってきました。各種感染症に対して抗生物質をお届けするとともに、流行のピークに合わせた情報提供や、医療機関に対し適正使用を推進するための情報提供活動に努めます。

抗生物質の適正使用に向けた情報提供

写真:「Stop AMR」をキーワードにしたポスター

明治グループの取り組みの一つに、関連団体と協力して行う啓発活動があります。日本製薬工業協会の「AMR スチュワードシップ」のプロジェクトメンバーとして参加し、「Stop AMR」をキーワードにしたポスターと動画を制作しました。医療関係団体にポスターの掲示や動画放映を依頼して一般市民への啓発を図るとともに、医療機関に対しても薬剤耐性に関する情報提供活動を行っています。また、AMR対策には欠かせない、人、動物、環境の衛生に関する分野横断的な課題に対し、関係者が連携してその解決に向けて取り組むという「ワンヘルス・アプローチ」の啓発に加え、会員企業の取り組みを紹介しています。

日本製薬工業協会 薬剤耐性(AMR)
産業動物における薬剤耐性菌研究ーワンヘルス・アプローチ

動物から人へ、人から動物へ伝播可能な感染症(人獣共通感染症)は、全ての感染症のうち約半数を占めており、医療・獣医療の現場に従事する方々だけでなく、環境や食品を通じて一般社会へ容易に侵入し国際的に伝播します。そのため、畜産農場における抗菌薬の適切な使用は、獣医および人間の医療現場におけるAMRの世界的な蔓延を防ぐために強く求められています。
明治アニマルヘルス(株)は、麻布大学に寄附講座「AMRサーベイランスラボラトリー(AMRSL)」を設置し、産業動物における薬剤耐性菌に関する共同研究を行っています。AMRSLでは全国の感染家畜や飼育環境から検体を採取し、分離株の薬剤感受性や耐性遺伝子の有無を調査します。これらの基礎データを蓄積し、各種薬剤に対する菌株の感受性を総合的にプロファイリングすることで、AMRのまん延抑制策を模索していきます。

AMRサーベイランスラボラトリー

バンコマイシン耐性菌による感染症抑制への取り組み

抗菌薬の不適切な使用などを背景に薬剤耐性菌※1による感染症のリスクが世界規模で拡大しています。一例として主にMRSA※2感染症治療薬として使用されるバンコマイシンの頻用により、バンコマイシン耐性菌による感染症が発現しています。この耐性菌の増加を抑えるべく、厚生労働省、日本感染症医薬品協会と製薬企業により「バンコマイシン研究会」が設立されました。Meiji Seika ファルマ(株)は2002年の研究会設立以来、幹事会社として関わり、バンコマイシンの適正使用に向けた数々の取り組みを主導しています。関係団体などと連携して薬剤使用量を継続的に監視することで、薬剤耐性の変化や拡大の予兆を把握し、これらの調査結果を厚生労働省に報告するとともに、医療機関にも提供しています。

  • ※1特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなった細菌
  • ※2MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
薬剤耐性(AMR)対策に向けた新規β-ラクタマーゼ阻害剤

薬剤耐性(AMR)対策はいまや世界規模で取り組む重要課題であり2023年5月に開催されたG7広島サミットおよびG7長崎保健大臣会合でもあらためて討議されました。わが国では「AMR 対策アクションプラン」が策定され、薬剤耐性菌による感染症に対する新たな予防・診断・治療法などの研究開発が進められています。そうした中、Meiji Seika ファルマ(株)が開発した新規のβ-ラクタマーゼ阻害剤「OP0595」は、産学官連携による研究開発や創薬の革新を目的とした国家事業(医療研究開発革新基盤創成事業ーCiCLE)に採択され、開発が進められています。「OP0595」は、これまでのβ-ラクタマーゼ阻害剤にない特徴を持ち、多剤耐性菌に対しても有効な治療法を提供できる薬剤として期待されています。2023年4月から、日本と中国を含むアジア、欧州および中東(合計17カ国を予定)における国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施中です。

新規薬剤・ワクチンの研究・開発

医薬品事業においては、一日でも早く、患者さんに製品が届けられるよう、研究開発を進めています。また感染症領域に携わる企業として、感染予防や薬剤耐性菌対策に取り組みます。

新型コロナウイルス感染症に対する取り組み

国産の不活化ワクチンの開発

長年のワクチン開発を通じて培ってきた知見を活かし、国立の研究所※1と協業して2020年5月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する不活化ワクチン※2(KD-414)を開発しています。2022年4月には40歳以下の成人を対象とした第Ⅲ相臨床試験(国際共同)を、2023年1月には6カ月以上12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験をそれぞれ開始しました。また、同年12月には製造販売承認取得への最終段階となる変異株(XBB1.5)対応ワクチンの国内小児第Ⅲ相試験(6カ月以上13歳未満)を開始しました。

COVID-19と同様にパンデミックを起こす可能性がある新型インフルエンザウイルスについては、プロトタイプワクチン※3製造販売承認をすでに取得しており、新型インフルエンザ発生時には、迅速にワクチンを製造・供給できる体制を整備しています。今後、新たなウイルスによるパンデミックが起きることが考えられるため、現在開発を進めているCOVID-19に対する不活化ワクチンでも、プロトタイプワクチンとして製造販売承認申請が可能かを科学的に検討していきます。国産ワクチンを一日でも早く国内に供給できるよう開発を加速し、人々が安心して暮らせる社会の実現に努めていきます。

  • ※1国立感染症研究所、東京大学医科学研究所および医薬基盤・健康・栄養研究所
  • ※2大量に培養されたウイルスや細菌からウイルス粒子や細菌の菌体を集めて精製した後、薬剤等を用いて処理をし、感染力や毒力をなくした病原体やその成分で作ったワクチン
  • ※3模擬ワクチン。パンデミック時に必要に応じて製造株を変更することを前提として、パンデミック発生前にワクチン製造のモデルとなるウイルスを用いて、製造・開発されるワクチン
次世代型mRNAワクチン(レプリコン)※1「コスタイベ筋注用」の提供に向けて

「コスタイベ筋注用」は、COVID-19に対する次世代型のmRNAワクチン(レプリコンワクチン)であり、従来型のmRNAワクチンに比べ、少ない接種量で高い効果の持続性が期待されています。

2022年12月に日本国内での第Ⅲ相臨床試験を開始し、2023年11月にはレプリコンワクチンとして世界で初めて製造販売承認を取得しました。この追加免疫国内第Ⅲ相臨床試験の結果は学術専門誌「The Lancet Infectious Diseases」に掲載されています※2。2023年9月からはオミクロン変異株に対応するための国内第Ⅲ相臨床試験を開始しており、2024年の秋冬接種に向け早期の実用化を目指しています。

なお、日本国内での製造についてはARCALIS社と連携し、福島県南相馬市に建設中の製造施設にて原薬から製剤までの一貫製造を行う予定です。

次世代型イベルメクチン誘導体による画期的治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築

COVID-19では重症化の阻止も大きな課題となっており、安全で効果の高い治療薬の開発が望まれています。2021年5月からMeiji Seika ファルマ(株)は感染症研究の伝統と実績を有する学校法人北里研究所と、次世代型イベルメクチン誘導体による治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築を目的とした共同研究開発を実施しています。イベルメクチン誘導体は抗ウイルス作用に加えて、抗炎症作用や免疫調整作用もあり、治療と後遺症の両方に対応できる可能性をもっています。この研究開発を通して、さまざまなウイルス感染症に対する画期的な治療薬を創出することを目指します。

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業に採択されています

デングワクチンの開発

熱帯・亜熱帯地域を中心に世界的に流行しているデングウイルス感染症に対する新規ワクチン(開発コードKD-382)の開発に取り組んでいます。デングウイルスには4つの血清型(1型、2型、3型、および4型)が存在し、KD-382は、非臨床試験において1回の接種で4つの血清型全てに対して良好な免疫原性と防御効果を示すことが確認されました。また、フラビウイルス抗体陰性の健康成人を対象として海外で実施した第I相臨床試験において、KD-382は良好な忍容性と安全性を示し、さらに、1回の接種で4つの血清型全てに対して良好な中和抗体誘導能(100%陽転)を示しました。

unicef:United Nations International Children's Emergency Fund

2021年3月10日プレスリリース (534KB)