愛知工場物流のケーススタディ:ドライバーと倉庫作業者の連携で保たれる品質

品質を確保するための5つの約束、「製品」「数量」「鮮度」「時刻」「態度」は具体的にどのように実践されているのでしょう。
そこには現場ならではのさまざまな苦労や工夫があります。 牛乳やヨーグルト、クリームなどのチルド製品やお菓子、粉ミルク等のドライ製品を扱っている愛知工場の例を見ていきます。

「製品」を維持する一番の鍵は温度管理

写真:温度管理された倉庫の様子
“5つの約束”の一つ目の「製品」は、製造されたままの状態で牛乳宅配店や問屋、量販店のセンターにお届けするという約束です。そのために最も気を使うのが、倉庫(冷蔵庫)や配送車内の温度管理。牛乳やヨーグルトなどは10℃以下、クリームは2~4℃で管理をしています。
倉庫は外の熱の流入を最小限に抑えるため、扉は高速シートシャッターを採用。また、冷風機の吹き出し口付近の製品には冷風が直接当たらないようにしています。広い庫内の各所に温度センサーを設置して、庫内温度を常時モニタリングし、もしも異常があれば直ちに対応します。
また、「明治ブルガリアヨーグルト」などは独特のつるりとした組織と食感を保つために、振動や衝撃は禁物です。輸送中の車の揺れで中身が崩れないように仕切りのクッションを挟むなどして、製品の保護には特別な対策をしています。

入出庫管理システムと作業者の連携で「数量」ミスを失くす

写真:入出庫管理の様子
愛知工場では約900種類の製品を、毎日約620カ所に配送しています。2つ目の約束はこの配送の受注した「数量」を確実に納品するという約束です。
チルド製品を扱っている全国の工場では、明治が独自に開発した入出庫管理システムを運用しています。入出庫管理システムは製品の受注・在庫データにもとづき、納入先ごとの品揃え指示を、作業者が携帯するハンディーターミナルに表示します。作業者はハンディーターミナルが示す順番通りに品種と数量を品揃えすることによってミスを防止しています。さらに製品を配送車に積み込むときには、ドライバーによるダブルチェックが行われます。
ダブルチェック結果のフィードバックや改善提案の検討等、コミュニケーションと業務連携を進めることで、物流品質のさらなる向上につなげています。

物流品質は「時間」との戦い

写真:商品ピッキングの様子
物流は、決められた時刻に確実に納入ですることを前提としながら、一方で高い効率が求められます。これらを達成するために物流における一つ一つの作業はすべて「時間」が決められています。
冷蔵庫から製品をピッキングする際は、入出庫管理システムに登録されている時刻を守り、配送車両の入場時刻や出発時刻もあらかじめ決められた時刻に従います。
また、広域輸送の時間管理は高速道路を使った幹線の輸送ネットワークを前提にしています。そのため、予期せぬ降雪などで道路事情が混乱した場合は、店頭での品切れといったトラブルを最小限にとどめるよう、即時の的確な判断も品質の一つと認識しています。

入出庫管理システムで徹底管理された「鮮度」

牛乳やヨーグルトなどチルド製品にとって「鮮度」を守ることは非常に重要です。お取引先の店舗では賞味期限をもとにした管理がなされており、配送や納入においてはこの管理を達成するシステムを構築し運用しています。例えば、入出庫管理システムには賞味期限の逆転防止機能が組み込まれており、前回納入時よりも古い日付のものを品揃えしようとするとエラーになり、先入れ先出しの原則が必ず守られる仕組みになっています。

最終工程だからこそ重要な配送者の「態度」

写真:商品配送トラック

製品を配送するドライバーの「態度」も大切な物流品質の一つです。
ドライバーは常に配送員作業標準に乗っ取って業務にあたっています。交通法規を守り事故防止に努めることはもちろん、急ブレーキ等で製品にダメージを与えないことや、周囲や環境に配慮した運転マナー、清潔な身なり、応対などの順守事項が記載されており、定期的に指導も行っています。
どんなに良い製品も、それを届ける物流が最終的に品質を左右するという意識で、その鍵となる“5つの約束”を守っていきます。

異なる温度管理が必要な製品も徹底した品質管理によりお客様へお届け

愛知工場には、製造する牛乳やヨーグルト等のチルド製品を保管する倉庫の他に、工場に隣接する敷地内にお菓子や粉ミルク等のドライ製品の倉庫があり、東海地区に出荷する製品のストック場所にもなっています。そのため、チルド・ドライ製品をお客様にお届けする配送車は、合わせて1日に250台程度出入りしています。
愛知工場では異なる温度管理が必要なチルド・ドライ製品であっても、用途別の配送車を準備するとともに、特別に作成した配送車内の間仕切りを活用する等、徹底した品質管理を実施し、無駄なく効率的に配送をしています。

物流のケーススタディ