カカオの木は6~7mに成長し、実が枝先だけでなく幹にもなるため、高いところから低いところまでひとつひとつを手作業で収穫しています。機械化は難しいのです。
カカオの実は、赤、緑、黄、などととてもカラフルです。熟し方で徐々に色が変わっていくのではなく、どの色の実もそれぞれ熟しているんです。
世界中でチョコレートの消費が増える一方で、原材料であるカカオ豆の生産には色々な課題が存在しています。
とれたてのカカオの実からは、チョコレートの香りはしません。割ったらトロピカルフルーツのような甘酸っぱい香りがするんですよ。
チョコレートづくりにおいて、Bean To Barは外せないキーワード。製造者がカカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)まで一貫して手掛けるスタイルです。明治はそれをさらに一歩進め、カカオに関わる人、みんなが幸せになるために、カカオ豆をつくる農場(Farm)を大事にするFarm To Barを掲げて、現地での農場サポート活動を始めています。
カカオの実を割ると白い果肉(パルプ)に包まれた豆がでてきます。このパルプが発酵過程で微生物により分解され、化学反応を起こすことで、チョコレート特有の香味の元が生まれます。
サステナブル、それはつまり、持続可能ということ。
量と品質が保たれることはもちろん、カカオ生産国の人たちの暮らしの持続性までも対象にして考えることがとても大切です。明治は、カカオ生産農家の抱える様々な課題を解決することで、農家のみなさんが安心してカカオ農業を続けていけるお手伝いをする「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」を2006年から続けてきています。
おいしいチョコレートは高品質なカカオ豆なくしてはできません。そして、そのカカオ豆は、お客さまにより豊かなおいしさをお届けするだけでなく、カカオ農家に安定した生活をもたらし続けるべきです。明治は、2026年までには、すべてのカカオ豆を農家支援を実施した地域で生産された「サステナブルカカオ豆」にすることを目標に活動を加速していきます。
カカオ豆はカカオベルトと呼ばれる北緯20度から南緯20度までの限られた地域の、気温・湿度や日照の条件を満たした環境でしか育ちません。しかも苗を植えてから収穫できるまでには3~4年以上の月日がかかります。そんな手間がかかるカカオだから、明治ではカカオ生産農家のみなさんがすこしでも多くのカカオ豆を収穫できるように、生産性の高いカカオの苗木を配布したり、肥料や農薬の使い方、剪定技術の実技説明を行う「ファーマー・トレーニング・スクール」を現地で開講しています。
また、収穫したあとに行う発酵作業は、そのやり方ひとつでチョコレートの味が左右される繊細な作業。明治はバナナの葉にくるんだり、かき混ぜる回数や発酵日数を変えてみたりと、農家と一緒に試行錯誤を繰り返しながら、独自の技術を練り上げていくことで、高価格で取引される高品質なカカオ豆の生産を実現し、生産農家の経済的な安定につなげていきます。
カカオ生産国の水道が整備されていない地域では、主に女性と子供たちが川への水汲みに時間と手間をとられていました。その水も衛生的とはいえず、病気が蔓延する原因にもなります。井戸を寄贈することは、現地の人々の負担や衛生環境を改善するだけではなく、できた時間で仕事をしたり、教育を受けることにつながります。明治では、フィルターでろ過された飲料水が出てくる最新式の井戸などを、2010年から計10基をカカオ豆購入地域に寄贈しています。それだけでなく、住民が主体的に管理できるように、委員会を設置することを促すなどコミュニティの活性化をお手伝いしています。
- 井戸寄贈のその後
井戸ができた村は移り住んでくる世帯も増え、活気に溢れていきます。実際に半年後に訪れると子供の数が何倍にも増えていて、子供に飲ませることができる安全な飲料水があることの意味を痛感しました。現地の方々からは「命が救われた。生活がつながった。乾季になったら、井戸の有り難さをもっと感じるだろう。」という声をいただいて、このプロジェクトの価値を再確認しました。