インフルエンザの流行が気になる季節になってきましたね。今年はどんな型のインフルエンザが流行るのか、新型インフルエンザの流行はあるのか、といった話題に加え、毎年のように聞くのがインフルエンザの検査に関する質問です。
時々、インフルエンザの検査を受けた時、最初は陰性だったのに、翌日の再検査で陽性になったという話を聞くことがあります。
一体いつのタイミングで検査を受ければ、正確な結果が出る可能性が高いのか、代表的なインフルエンザの検査方法の種類の説明と共にお伝えします。
インフルエンザの検査、4つの種類
インフルエンザの検査として、主なものは4種類あります。
1. 迅速診断キットによる検査
一番一般的なのは、迅速診断キットによる検査です。これは、特に流行時期にはほとんどの内科などの医療機関にあり、受けられたことのある方も多いと思います。
細い綿棒のようなもので、のどの奥や鼻の奥をこすり、そこについた組織や分泌物を処理液に浸して検査キットに滴下することで、陽性か陰性かの判定を行うものです。
検査時間は10~15分と非常に短く、また、患者さんにとっては、のどの奥や鼻の奥をこするときの痛みがありますが、非常に簡便で行いやすい検査です。
しかし一方で、インフルエンザウイルスの量がある一定以上に達していないと陽性と判定されにくい、という欠点があります。
インフルエンザに感染後、インフルエンザウイルスが体内で増殖するまでには時間がかかります。つまり、12~24時間経過してこの検査を行わないと、陰性という結果が出てしまうことがほとんどです。
一度医療機関でインフルエンザの検査を受けた時には陰性といわれ、後日再検査で陽性といわれた、という方は、多くがこのタイプの検査を受けた方ではないかと思われます。
2. 血清抗体検査
次に血清抗体検査と呼ばれる、採血による検査があげられます。
インフルエンザが発症して1週間以内と、治ったころの計2回、採血を行い、インフルエンザウイルスに対する抗体ができているかどうか、検査を行うものです。検査結果が分かるまでには、約2週間かかることが多いようです。
現在、こちらの検査は、ほとんど行われておりません。
3. ウイルス分離検査
一部で行われているのが、ウイルス分離検査と呼ばれる方法です。
これは、発症してから約72時間以内を目安に、喉や鼻の奥などを拭った液からウイルスだけを分離して検査を行う方法です。
ウイルスの種類などが詳しく分かり、感度もとても高いのですが、高度な技術を要し、ごく限られた機関でしか行われていないので一般的には行われません。結果が出るまでには、1週間前後かかります。
4. PCRを用いた検査
最後にPCRを用いたインフルエンザの検査があります。これは、鼻やのどの奥からとった拭い液を検体として、インフルエンザの遺伝子を検出する方法です。遺伝子レベルでウイルスを検出するので、非常に正確で細かいウイルスの型や構造までわかり、たとえば新型ウイルスであるかどうかなどの判定まで行えます。
しかし、こちらも高度な技術を要するので、公的な検査機関などで行われることが多く、市中病院やクリニックなどで行われることはほとんどありません。
検査はいつ受ければいいの?
最も一般的に普及している、迅速診断キットによるインフルエンザの検査を受けるには、発症後12時間から48時間前後が最適と考えられています。
反対に、発症から3日以上経過してしまうと、ウイルス量が徐々に減少しはじめ、キットに反応しなくなってしまう可能性があります。
抗インフルエンザ薬は、インフルエンザに罹患後48時間以内に服用しないと効果が期待できません。インフルエンザウイルスに感染すると、急な発熱や、筋肉痛などの重い全身症状が出るため動き辛いかもしれませんが、医療機関は必ず早期に受診するようにしましょう。