近年、新型インフルエンザについて話題になることが増えてきています。
「新型インフルエンザ」とはどのようなものでしょう?また、これだけインフルエンザワクチンが普及しているのに、毎年流行するのはどうしてなのでしょう?今回はインフルエンザの豆知識についてお話ししたいと思います。
新型インフルエンザって何?
新型インフルエンザとは何でしょうか。本当に冬になると「新型」と毎年のように騒がれるのに、その定義をはっきり答えられるかたは少ないのではないかと思います。
たくさんの種類があるインフルエンザウイルスのうち、新型インフルエンザとは、新たに人と人の間で伝染する能力を獲得したインフルエンザウイルスによる感染症を指します。インフルエンザウイルスは、毎年のように旧来のウイルスが組み合わさって新しい性質を獲得します。そして、人から人へ感染するようになったり、より症状が重篤になりやすい性質をもったりなど、好ましくない特徴を持ったウイルスが次から次へと現れるのです。
こういった新型のウイルスは、前年までのウイルスとは異なる構造を持ち、だれもがこのウイルスに免疫を持っていないことから、次から次へと感染し、大流行の感染源になるというわけです。
ワクチンがあるのにインフルエンザが毎年流行するワケ
またワクチンがあっても、インフルエンザが毎年流行してしまいます。なぜでしょうか?
インフルエンザウイルスにはいくつもの型がある中で、ワクチンはその年その年のインフルエンザの流行の型を「予測して作られるもの」だということがあります。
もちろん近年予測の精度も上がっており、予測が大きく外れるということは少ないですが、やはりそれでもぴったり当たる、という場合ばかりではありません。
インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐという役割はありません。しかしウイルスが増殖してから潜伏期を経て、インフルエンザ特有の症状、急な高熱や筋肉の痛み、のどの痛みを抑える働きはあると考えられています。
この段階で症状の悪化をブロックし、インフルエンザを重症化させず軽症で抑えられれば、死や後遺症につながるような感染症、インフルエンザ脳症や肺炎を防ぐ可能性が高まります。
やはりインフルエンザの予防接種を受ける意義は大きいのです。特にご家族にお子さんやお年寄り、基礎疾患をお持ちのかたがいる家庭では、特別な事情がない限り、インフルエンザワクチンを接種しておくことが望ましいでしょう。
なお、2015年は4種類のウイルス型に対応したワクチンの導入が決定しています。これまでのA型2種類、B型1種類に対応した3価ワクチンが製造されていましたが、2015年は新たにB型1種類を加えた4価ワクチンになります。これは近年の流行状況、海外の動向を踏まえて決定されたものです。
風邪とインフルエンザの違いって?
インフルエンザは、一般的な風邪に比べて発症が急激であり、症状も強いものです。高熱や全身倦怠感などで自宅にいても通常の日常生活が送れないほど調子を崩してしまう、というのも普通の風邪との違いといえるでしょう。
【インフルエンザの症状】
・強烈な悪寒、高温の発熱(38℃以上、場合により40℃まで)
・発熱が通常の風邪に比べて上がり方が急
・強いのどの痛みや咳
・筋肉痛や関節痛などの全身症状
症状の違いはあるものの、風邪もインフルエンザも基本的にウイルス感染によって引き起こされますので、予防するためには普段からの手荒い・うがいが大切です。
インフルエンザのタイプは毎年変化し、私たちを悩ませますが、同時に医学も日々進歩していますので、適切な時期にワクチンを接種したり、早期に検査、治療を開始したりすれば軽症で済むことも増えてきています。備えは怠りなくしておきたいですね。