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高カカオチョコレートは健康と美容の味方!効果や選び方を紹介

2022/05/27

高カカオチョコレートは健康と美容の味方!効果や選び方を紹介

健康と美容のために、習慣的に食べている人も増えている高カカオチョコレート。具体的にどのような効果があるか、ご存じでしょうか?本記事では、高カカオチョコレートの効果に加えて正しい選び方、効果的な食べ方についてご紹介します。

高カカオチョコレートとは

近年「カカオ70%」「カカオ80%」など、カカオ分を打ち出しているチョコレートを見かけるようになりました。明確な定義はありませんが、チョコレートの主原料であるカカオ分を70%以上含んでいるものが高カカオチョコレートと呼ばれています。カカオ分にはカカオマスやココアバター、ココアパウダーなどが含まれますが、一般的な甘いチョコレートよりもカカオ固形分量が多いので、カカオ本来の香りや苦味、酸味などが強く感じられます。

高カカオチョコレートで期待できる効果

高カカオチョコレートが注目されている理由は、カカオポリフェノールやリグニンなどなどの食物繊維がたっぷり含まれているためです。カカオポリフェノールはカカオ豆が身を守るためにつくる抗酸化物質で、動脈硬化の対策として、また血圧をコントロールするなどの効果が期待されています。リグニンはカカオ豆に含まれる食物繊維の一種で、腸内環境を整える働きがあります。

動脈硬化の対策に

動脈硬化とは、動脈の血管が狭くなったり硬くなったりして血液がスムーズに流れなくなる状態。進行すると血管の重大な病気につながります。原因の一つが悪玉(LDL)コレステロールで、血管にたまって酸化されると動脈硬化を起こします。抗酸化作用のあるカカオポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートを食べると、一定の範囲で酸化を防ぐことがわかっています。また、カカオポリフェノールは、血液の流れをよくする可能性も示されています。健康な男女11名を対象に、チョコレート25g(カカオポリフェノール500mg含有)の摂取により血流に変化が見られるか調査が行われました。チョコレートを食べる前と食べて1.5時間後、それぞれの血流量を調べたところ、食べた後の方が血流の流れが早くなる(血液流動の時間が短縮される)ことが、対象者ほぼ全員に確認されています(※1)。

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(※1)西堀すき江ら, 日本ヘモレオロジー学会誌 5, 75-78, (2002).

血圧を下げるという研究結果も

血圧が上がる原因の一つに、血管の内側に炎症が起こり、内部が狭くなっていることがあげられます。カカオポリフェノールは血中に取り込まれてから血管の炎症を抑える働きをすると期待されています1)。また、カカオポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートを食べ続けることで、血圧が正常なレベルに収束するという研究結果があります(※1)。

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(※1)Natsume M, Ishikawa H, Kawabe Y, Watanabe T, Osawa T (2018) Effects of dark chocolate Intake on Physical Functions in Japanese Subjects. Adv Clin Transl Res 2(3): 100012.

アレルギーの症状を防ぐ可能性が

アレルギーとは、本来なら体を守るはずの免疫が過剰に反応して、鼻水やくしゃみ、かゆみなどの症状が引き起こされる状態を言います。花粉症やアトピー性皮膚炎は、代表的なアレルギー疾患です。アレルギーには一般的に、①原因物質(アレルゲン)が体の表面に接触したり体内に入って来たときに抗体がつくられて、その物質に過剰反応する状態になる、②アレルゲンに触れると炎症に関与するヒスタミンという物質が放出される、③好酸球が症状を悪化させる、というプロセスがあります。カカオポリフェノールは、アレルギーが起こるそれぞれのプロセスに作用する可能性が示されています(※1)。

(※1)鈴木登「チョコレート摂取のヒト免疫能に対する影響」第4回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム、1998

美肌づくりにも効果的!?

肌は紫外線によるダメージを受けやすく、シミやシワなどの原因になってしまいます。カカオポリフェノールの強い抗酸化力には、肌を紫外線によるダメージから守って健やかさを保つ働きがあることが報告されています(※1)

(※1)寺尾純二「カカオポリフェノールは紫外線障害から皮膚を保護する」第18回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム,2013

便通を良好に

20~30代の女性は約5〜6人に1人が「やせ傾向」にあり(※1)、ダイエットなどで食事量が少ないため便の量が少なく、便秘になりやすくなっていると考えられます。カカオに多く含まれる食物繊維のリグニンは小腸で消化・吸収されないまま大腸に届き、便のカサを増やすことで便性改善に役立つと言われています。また、食物繊維はさまざまな生活習慣病の発症率や死亡率に関連することが注目されており、厚生労働省も食物繊維を多く摂るよう推奨しています(※2)。

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(※1)厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
(※2)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

高カカオチョコレートの選び方

高カカオチョコレートのパッケージには「カカオ70%」「カカオ80%」といったように、カカオの含有量が表示されています。100%からカカオ分を引いた数字が、おおよそ砂糖の割合になります。甘さの程度やカカオの風味の好みで選ぶのもよいですが、健康効果を期待するならカカオ分以外にも確認したい表示があります。

カカオポリフェノール量の表記で選ぶ

実は、カカオ分が多いからと言って、カカオポリフェノールが多く含まれているとは限りません。カカオ分とは、さまざまなカカオ由来の原料※を合わせたもの。その一つであるココアバターには、カカオポリフェノールはほとんど含まれていません。つまり、同じカカオ分でも配合比により、カカオポリフェノールの量は異なってくるのです。さらに、カカオ豆の産地や品種によっても異なります(※1)。カカオポリフェノールを効率よく摂りたい方は、カカオポリフェノールの含有量を必ずチェックするようにしてください。

※カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキおよびココアパウダーの水分を除いた合計量をいう。

(※1)夏目みどり「カカオポリフェノールの包括的研究 カカオは神様の食べ物?」化学と生物.2018年 56巻7号 490-495.

高カカオチョコレートを摂取するときのポイント

体にとってさまざまな働きがある高カカオチョコレート。効果をより実感するための、上手な摂取方法をご紹介します。

毎日こまめに摂取する

カカオポリフェノールは、体内にとどめておくことができません。カカオポリフェノールの血中濃度は、摂取してから2時間後にピークに達しますが、どんどん体外へ排出されていき、24時間後にはほとんどなくなってしまいます。高カカオチョコレートは、毎日、数回にわけて食べることをおすすめします。

1日の「目安カロリー」を意識する

チョコレートには「高カロリー」「太る」などのデメリットがあると思っている人も多いですが、普通の食べ方をしていれば体重増加にも体脂肪の蓄積にもほとんど影響しないことが明らかになっています(※1)。とは言え、チョコレートはあくまでも嗜好品で、ほかの食品と同じように食べ過ぎは禁物です。厚生労働省や農林水産省の推奨する菓子・嗜好品の目安は1日200kcalとされているので(※2)、その範囲内で楽しむことをおすすめします。

(※1)木村秀一「チョコレート摂取が肥満に及ぼす影響」第2回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム、1996
(※2)厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」

おすすめの飲み方

飲み物にしてもおいしいチョコレート。ホットミルクにチョコレートをとかすチョコレートドリンクはよく飲まれていますが、豆乳やアーモンドミルク、またお湯などにとかすのもおすすめです。カカオポリフェノールが多く摂れる高カカオチョコレートでつくると、カカオの豊かな風味がより感じられるドリンクになります。

日々こまめに高カカオチョコレートを食べよう

おいしいだけではなく、体に嬉しいさまざまな効果を発揮する高カカオチョコレート。健康と美容のために、毎日数回、少しずつ食べる習慣をぜひ始めてみてください。