からだにいいこと

チョコレートの成分は体に良い?効果や1日の摂取量の目安を紹介

2022/11/04

チョコレートの成分は体に良い?効果や1日の摂取量の目安を紹介

チョコレートが健康づくりに役立つと広く知られるようになったのと同時に、含まれる成分に注目が集まってきました。この記事では、とくに高カカオチョコレートに多く含まれる「カカオポリフェノール」をはじめ、チョコレートのさまざまな成分について解説。さらに、チョコレートは1日にどれくらい食べるとよいのか、また体に良い成分を効果的に摂る方法もご紹介します。

【カカオポリフェノール】さまざまな健康効果が期待される注目成分

カカオポリフェノールは、チョコレートの色素や苦味、渋みなどの元です。カカオが光合成を行う際に自らを守るためにつくり出す成分で、ヒトの体内に入ると抗酸化物質として作用することがわかっています(※1)。具体的にどのような効果が期待できるのかをみていきましょう。

(※1)夏目みどり「カカオポリフェノールの包括的研究 カカオは神様の食べ物?」化学と生物.2018年 56巻7号 490-495.

ストレス軽減に期待が

ストレスを受けると、副腎という腎臓の上にあるホルモンを分泌する臓器から「コルチゾール」というストレスホルモンが急激に分泌されます。これは、ストレスから身を守ろうとして起こる現象なのですが、ホルモンの分泌が続くと病気への抵抗力が下がると言われています。ある試験で、カカオ分75%の高カカオチョコレートを不安感の強い人に1日40g、2週間食べ続けてもらったところ、「コルチゾール」の排泄量が減少、ストレス関連のエネルギー代謝の改善が確認されました(※1)。

(※1) FPJ. Martin et al. J Proteome Res. 2009, 8(12): 5568-79
Metabolic effects of dark chocolate consumption on energy, gut microbiota, and stress-related metabolism in free-living subjects.

アレルギー反応への期待

アレルギーは、体に接触したり侵入してくるウイルスやダニ、花粉などの異物から体を守る免疫が過剰に反応してしまい、鼻水やくしゃみなどの症状を引き起こす状態です。アレルギーは①原因物質(アレルゲン)に接すると特殊な抗体がつくられる、②アレルゲンに触れるとその抗体が反応することで炎症に関与する物質(ヒスタミン)が放出される、③好酸球という物質が症状を悪化させる、という段階をたどります。カカオポリフェノールは、それぞれのプロセスに作用する可能性があるとも言われています。(※1)

(※1) 鈴木登「チョコレート摂取のヒト免疫能に対する影響」第4回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム、1998

動脈硬化の対策に

動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなったり内部が狭くなったりして血液が流れにくくなっている状態で、進行すると血管の重大な病気につながります。原因の一つが、血管内に溜まって酸化した悪玉(LDL)コレステロール。カカオポリフェノールが一定のレベルに保つように働くことが確認されています(※1)。
また、血流を良くする可能性も示されています。健康な男女11名を対象に、チョコレート25g(カカオポリフェノール500mg含有)を食べる前と食べて1.5時間後の血流量を調べたところ、食べた後の血流が早くなる(血液流動の時間が短くなる)ことが、確認されたのです(※2)。

(※1)Natsume M. Effects of dark chocolate Intake on Physical Functions in Japanese Subjects. Adv Clin Transl Res.2.100012.2018
(※2)西堀すき江ら, 日本ヘモレオロジー学会誌 5, 75-78, (2002).

抗酸化作用を持つカカオポリフェノール

活性酸素が細胞や細胞のDNAを傷つけることがあり、老化が進んだり、細胞のがん化が起こる原因となることがあります(※1)。そこで期待されているのが、抗酸化作用を持つカカオポリフェノールです。カカオポリフェノールには、酸化ストレスを低減する可能性があることが確認されています(※2)。ただ現時点で詳細はわかっておらず、今後の研究に期待が寄せられています。

(※1) 冨永洋平、中別府雄作「活性酸素による核酸の酸化損傷とその防御機能」科学と生物Vol.39,No.4,2001
(※2)Natsume M. Effects of dark chocolate Intake on Physical Functions in Japanese Subjects. Adv Clin Transl Res.2.100012.2018

食物繊維などの健康成分・栄養素も

チョコレートには、カカオポリフェノール以外にも体にうれしい働きのある成分や栄養素が含まれています。代表的なものをピックアップしてご紹介しましょう。

【食物繊維】腸の働きを活発にする

日本人に不足気味な食物繊維(※1)は、チョコレートでも補えます。カカオには「リグニン」という食物繊維が含まれていて、大腸で便のカサを増やす材料に。そして大腸の働きを活発化させて、スムーズなお通じを促すのです。ちなみにミルクチョコレート25g(板チョコレートおよそ2分の1枚)では、約0.98gの食物繊維を摂ることができます(※2)。

(※1)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
(※2)文部科学省「食品成分データベース」可食部100g当たりの数値より算出

【脂肪酸】摂取量が少ないと脳卒中のリスクが上昇

チョコレートの口溶けのよさは、カカオ豆に含まれる脂質「ココアバター」によるものです。脂質は、体にとって大切なエネルギー源ですが、摂り過ぎるとエネルギー摂取過剰となりやすく、体脂肪を増やしてしまいます。ですので、食べ過ぎには注意しましょう。ところで、ココアバターは飽和脂肪酸が多いのが特徴です。飽和脂肪酸は、一般的な植物由来の油脂にはほとんど含まれてなく、バターやラードなど動物由来の脂肪に多く含まれている脂肪酸です。脳卒中のリスクとなるといった体に良くない印象が持たれがちですが、日本人の場合は飽和脂肪酸の摂取量が少ないことで逆に脳卒中のリスクが高まっていることが最近わかってきています(※1)。

(※1)Muto M High Dietary Saturated Fat is Associated with a Low Risk of Intracerebral Hemorrhage and Ischemic Stroke in Japanese but not in Non-Japanese: A Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies.25. 375-392.2018

チョコレートの効果的な食べ方

さまざまな健康成分を含んでいることで、注目度が高まっているチョコレート。近年ではカカオポリフェノールが豊富な「高カカオチョコレート」も人気です。ここでは、チョコレートの健康効果をより実感するための食べ方についてご紹介しましょう。

毎日、少しずつ食べる

チョコレートを代表する成分のカカオポリフェノールは、体内にとどめておくことができません。チョコレートを食べてから約2時間後に、血中のポリフェノール濃度はピークに達しますが、その後はどんどん排出されていき、24時間後にはほとんどなくなります。毎日、数回にわけて食べることをおすすめします。

チョコレートの摂取目安量

チョコレートは嗜好品なので摂取目安量は定められていませんが、厚生労働省や農林水産省の推奨する菓子・嗜好品の目安は1日200kcal以下とされています(※1)。ミルクチョコレートの場合、100g当たりのエネルギーは551kcalなので、板チョコレートなら半分(およそ25g・138kcal)程度を目安にするとよさそうです。ちなみにカカオポリフェノールが豊富な高カカオチョコレートなら、ミルクチョコレートよりも糖質が少なく、ポリフェノールも効率よく摂ることができます。
日本チョコレート・ココア協会によると、チョコレートの健康効果に関するさまざまな調査や試験で、1日に高カカオチョコレートを少なくとも5~10g程度を食べ続けることで良い結果が得られたという報告があるそうです。たとえば、1日に7.5gの高カカオチョコレートを10年間食べ続けたところ、心臓の重大な病気にかかるリスクが低減した、また1日に4.18gのカカオ(高カカオチョコレートに換算すると約10g)を、5年間摂取したら、血圧をコントロールすることができたなど。決して食べ過ぎはよくありませんが、とくに高カカオチョコレートには毎日摂る価値があると言えます。

(※1)厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」

チョコレート成分を毎日健康的に取り入れよう

おいしいだけではなく、健康づくりにも一役買うチョコレート。カカオポリフェノールをはじめとするチョコレートの成分の健康効果は、まだ研究段階でわかっていないことが多いのですが、毎日意識して適量を食べ続けることでチカラを実感できるかもしれません。チョコレートの健康習慣、始めてみてはいかがでしょうか。