からだにいいこと
『カカオの美容成分に関するメディアラウンドテーブル』を開催!
― 世界初! 明治が素材化に成功した2大美容成分(カカオフラバノール、カカオセラミド)を専門家と共に解説 ―
2025/02/06

2024年12月20日、「カカオの美容成分に関するメディアラウンドテーブル」を開催しました。 明治では「ひらけ、カカオ。」をスローガンに、カカオの新たな価値を探るサステナブルな取り組みを通し、2024年1月には世界で初めてカカオ由来の保湿成分「カカオセラミド」を素材化し、それを用いた商品を発表。カカオはチョコレートの原料のみならず、美容領域での無限の可能性を秘めています。 本ラウンドテーブルでは、皮膚科専門医の慶田朋子先生、美容成分研究者・スキンケア成分ハンターの竹岡篤史さんをお迎えし、美容領域で期待されるカカオの知られざる力について詳しく語っていただきました。
目 次
商品開発の現場より ―カカオの驚くべき正体とは?

まずは商品開発を担当してきた渡部より、まだまだ知られていないカカオの驚くべき正体、長年の研究によって発見・開発された、カカオ由来の2つの素材について説明しました。
「カカオはフルーツだということをご存じでしょうか?」と問いかける渡部。
カカオは熱帯の果物で厚い殻を割ると白い果肉があらわれます。白い果肉は甘酸っぱいライチのような味をし、この部分を発酵させてチョコレートが作られます。そう、実はチョコレートは発酵食品なのです。カカオは学名を「テオブロマカカオ」と言い、これはギリシャ語で「神々の食べ物」を意味します。その歴史は5000年以上と長く、近年ではチョコレートの原料だけでなく体に良いスーパーフードという認知も高まっています。
明治では、カカオはフルーツであるということに改めて着目し、さまざまな新しい機能性のある素材を開発してきました。「今後は、新しいカカオの魅力を皆様にご提供すると共に、カカオ産地の方々にも還元できるシステムを作り、カカオに関わるすべての方の笑顔のための活動を続けてまいります」と締めくくりました。
<カカオ由来の美容成分「カカオフラバノール」「カカオセラミド」について>
カカオフラバノール
カカオは抗酸化成分であるカカオフラバノールを豊富に含みます。赤い色はカカオ由来のアントシアニンによるもの。カカオフラバノールはカカオポリフェノールの一種で、明治ではカカオポリフェノールについて長年研究し、専門家の方々と研究を続けてきました。

赤ワインやコーヒー、りんごなどポリフェノールが含まれた食べ物はいろいろありますが、その中でもカカオは抗酸化成分であるカカオポリフェノールが豊富で、カカオから作られるチョコレートには他の植物性食品より多くポリフェノールが含まれることがわかっています※。
ポリフェノールは、肌荒れやガン・動脈硬化などを引き起こす原因となる活性酸素の働きを抑える、“抗酸化作用”を持つ成分としても注目を集めており、さまざまな研究を通して多彩な機能が明らかにされています。カカオに含まれるカカオポリフェノールもその1つで、カカオポリフェノールを摂取できる商品なども多く販売されています。
※Scalbert, A.; Williamson, G., Dietary intake and bioavailability of polyphenols. J Nutr 2000, 130, 2073s-85s.
カカオポリフェノールの機能から、美容を意識する方にうれしい3つのポイントをピックアップ。高カカオドリンクの継続摂取によってどのような効果が見込まれたのか、研究と共にご紹介します。
1:肌のキメ・ハリが改善
乾燥した肌は、肌のキメが粗くなる、ハリを保てない、と言われていますが、高カカオドリンクの継続摂取で、肌のキメ・ハリが改善しました。
<研究1>
2016年に報告された黄色人種が対象の臨床試験では、顔のシワが目立つ64名(43-86歳)の女性を、高カカオドリンクを飲む群とプラセボドリンクを飲む群に振り分け、12週間後と24週間後のシワや皮膚の弾力性などを評価しました。
その結果、高カカオドリンクを飲んだ群は、12週間後には肌の弾性変化量が有意に大きく、お肌のハリがアップ。24週間後には、皮膚表面の粗さが有意に低く、ハリに加えてお肌のキメも向上しました※1。
※1 Cocoa Flavanol Supplementation Influences Skin Conditions of Photo-Aged Women: A 24-Week Double-Blind, Randomized, Controlled Trial. Yoon HS et al., J Nutr. 146(1):46-50.(2016)
<研究2>
24名(18-65歳)の女性に高カカオドリンク、もしくは低カカオドリンクを飲む群に分けて、12週間後に測定。
高カカオドリンクを飲んだ群は、超音波による検査で肌のキメが改善していることがわかりました※2。
※2 Long-Term Ingestion of High Flavanol Cocoa Provides Photoprotection against UV-Induced Erythema and Improves Skin Condition in Women. Heinrich U et al., J Nutr. 136(6):1565-9.(2006)
2:肌のうるおいアップ&血流改善
冬はいつも以上に保湿に気を配ったり、冷えによる血行不良が気になったりする季節。高カカオドリンクの継続摂取で、肌のうるおいがアップし、血流が改善しました。
<研究1>
24名(18-65歳)の女性に高カカオドリンク、もしくは低カカオドリンクを飲む群に分けて、12週間後に測定。高カカオドリンクを飲んだ群は、低カカオドリンクを飲んだ群よりも、肌の水分量がアップ。さらに、皮膚の血流が改善し、くま・くすみが改善していることがわかりました※。
※Long-Term Ingestion of High Flavanol Cocoa Provides Photoprotection against UV-Induced Erythema and Improves Skin Condition in Women. Heinrich U et al., J Nutr. 136(6):1565-9.(2006)
3:紫外線から皮膚を守る力がアップ
紫外線は365日降り注いでおり、冬でも対策は必要。冬の日焼けも肌のバリア機能を低下させ、さらに乾燥を引き起こしたり、くすみやハリ不足などの肌悩みの原因になったりすることも。高カカオチョコレートの継続摂取で、紫外線から皮膚を保護する作用が認められました。
<研究1>
30名の男女を高カカオチョコと低カカオチョコを食べる群にそれぞれ振り分け、午前中のおやつとして20gずつ食べてもらい、12週間後にバリア機能を表す最少紅斑紫外線量(紫外線によって肌に赤みが生じる最少の紫外線量で、数字が高いほど日焼けに強い)を測定。低カカオチョコを食べた群は変化がなかったのに対して、高カカオチョコを食べた群は最少紅斑紫外線量が2倍になるという結果が出ました※。
※Eating chocolate can significantly protect the skin from UV light. Williams S et al., J Cosmet Dermatol. 8(3):169-73.(2009)
カカオセラミド

そもそもセラミドとは、肌の表皮で最も外側の“角質層”に含まれる保湿因子です。肌のターンオーバーの過程で生成され、年齢により差はあるものの、誰の肌にも存在しています。
セラミドが角質層内の細胞同士をつなぐことで、表皮のさらに奥の真皮に含まれる“コラーゲン”や“ヒアルロン酸”が抱えている水分が蒸散しないようブロックし、肌のうるおいが保たれるという仕組みです。また、乾燥など外部刺激から肌を守るためのバリア機能にもセラミドが必須で、今の時期には特に欠かせない成分と言えます。
そして、カカオ豆の胚乳であるカカオニブや、皮のカカオハスクなど、カカオのさまざまな部位から抽出されたセラミドが「カカオセラミド」です。
明治は世界で初めてカカオからセラミドを抽出し、素材化しました。帝京大学の古賀先生との共同研究で、他の植物ではあまり見られないカカオハスク(カカオ豆の皮)にヒト型遊離セラミドが非常に多くあったことを発見しました。
ヒト型遊離セラミドは、主に化粧品として肌に塗ることでうるおいを与える成分で、植物由来のセラミドにはほとんど含まれていません。カカオハスクはカカオ全体の中でも積極的に活用されてこなかった部位であったことから、この発見でカカオ産業のみならず、美容業界での可能性を秘めた素材であることが明らかになりました。
皮膚科専門医のお立場より ―カカオの2大美容成分と肌づくり

皮膚専門医の慶田朋子先生に、皮膚医療の見解からカカオポリフェノールの美容パワーや日々の肌との向き合い方などをご教授いただきました。
インナーケアは、バランスよく、という面白みのない話になってしまいますが、やはりこれがきちんとできていることが大切です。
肌の悩みには、もちろんスキンケアも大切ですが、食事や睡眠、運動習慣やストレスなどの生活習慣がお互いに影響し合ってあらわれます。特に食事は、腸内環境やメンタルにも影響し、肌の状態を左右します。肌を美しく保つことを意識したバランスの取れた食事は、結果的に肌だけでなく、腸内環境や健康寿命に良い影響を与えます。
なかでも、アミノ酸、タンパク質、糖質、野菜をバランスよく摂取することが重要です。若い方は「将来のため」と言われてもイメージしにくいかもしれませんが、肌を美しく保つという目的でインナーケアをすると、将来の健康にもつながります。
そして、インナーケアとセットでお伝えしているのが、アウターケアの重要性です。現在では、酸化ストレスが肌や体へのダメージを与えるという認識が一般的に広まっています。その酸化ストレスの最たるものが紫外線によるダメージです。カカオポリフェノールは、紫外線に対して防御力があり、1~2週間連続で摂取すると、その抗酸化効能がしばらく持続するという興味深い特長があります。
これには、ある程度のカカオ量を摂取する必要があり、ここで重要なのが素材の濃度、とのこと。例えば、チョコレートのカカオ含有量が高いものは薬のようなもの。カカオ含有量70~80%程度のチョコレートは何とか口にできますが、90%以上だと苦くて食べ続けられません。ストレスなく続けられるようメーカーで改良等がされており、食べ続けることで酸化ストレスを軽減できれば、皮膚だけでなく血管も守ることにつながります。
肌を守るのは皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質の3要素。細胞間脂質の50%を占めるセラミドは、人にとって大事なバリア成分であり、基本的に自ら作りだせる成分です。季節の変わり目や更年期以降に作る力が低下してしまうと、外側からも内側からも肌にセラミドを補う保湿が重要になってきます。
「スキンケアにおいてカカオセラミドは今後ますます注目される美容成分になるのではないでしょうか」と慶田先生。ただ、カカオハスクにヒト型遊離セラミドが多くあったことは発見されたばかりで、研究が進められている状態。しかし、すでにコメやこんにゃくで良い結果が出ているため、研究成果について期待が高まります。
スキンケア成分ハンターが描く、カカオセラミドの可能性

美容成分研究者、スキンケア成分ハンターとしてご活躍の竹岡篤史さんに、カカオセラミドの研究開発の現場やそれを取り巻く美容市場の現状、今後の展開などについてお話しいただきました。
セラミドは古くから研究が進んでいる分野であり、その市場は現在500億円。スキンヘルスの高まりから、向こう5~10年で2倍近く増大すると予測されています。世界的に見ても日本のセラミドの研究数は多く、他国より進んでいる状態です。セラミド研究は1980年代から始まり、研究が進むなかで動物由来セラミド、ヒト型遊離セラミドが着目され、2000年以降はフルーツ、植物由来セラミドの研究が増えてきました。
「そんななか注目すべきは、明治がカカオハスクにヒト型遊離セラミドが大量に含まれているのを発見したことです」と竹岡さん。
これは、化粧品として肌に塗るとうるおいを与える成分で、保湿以外にもさまざまな機能があると期待されています。天然由来のセラミドはエキスの中に1~5%程で、それ以外の有用成分がさまざま含まれていることがわかってきました。セラミド機能+植物由来の栄養成分を同時に摂れるのが天然由来セラミドの優れた点。本研究テーマは、【1.カカオセラミドのセラミド以外に肌のバリア機能を高める力。2.肌の細胞が持つ栄養を摂り込むのに影響を与える力。3.さらに肌の組織を再生する力】の方向で進められています。
竹岡さんは「今後は、角層のバリア機能だけでなく、表皮、真皮面においてもさまざまな機能性が期待できると考えられています。これらの美容機能の開発と商品化につきましても、ぜひご期待ください!」と締めくくりました。
試食でカカオの魅力を発見! 高まる新商品への期待
メディアの方々からの活発な質疑応答のあとは、カカオフラバノールやカカオセラミドを活用した見本の試食タイムへ。ドリンク、ゼリー、チョコレートと、カカオ素材を活かしたさまざまな食品が配られ、各テーブルからはおいしさや独自性について、好意的な感想が飛び交っていました。




慶田先生と竹岡さん、お二人の専門家の視点からそれぞれじっくり語っていただくことで、カカオが持つ美容領域での可能性について、より深く理解できたのではないでしょうか。
チョコレートの原料にとどまらず、美容成分としても注目されているカカオ。明治はこれからも、さまざまな取り組みを通じて、美容と健康に貢献できるような挑戦を続けます。今後の展開にもご期待ください!