関東大震災から今年で100年、全国の地方自治体に備蓄状況等の実態調査を実施 液体ミルクの備蓄率は47.5%に伸長 各自治体で妊産婦、母子への災害対策が進むも、ママ・プレママへの周知に課題

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、関東大震災から100年の節目に、被災時に負担の大きい妊産婦および乳児の防災についての実態を改めて把握し、災害への備えに意識を向けていただくことを目的とし、一般財団法人 日本気象協会(理事長:渡邊 一洋)が推進する「tenki.jp知る防災」プロジェクトと共同で、1,741の全国の地方自治体(以下、自治体)を対象に「災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する実態調査」(全国自治体備蓄状況調査)を行いました。

「被災地で衛生的な水や加熱器具がなくても、赤ちゃんに安心してミルクをあげることができる」として2019年に発売された乳児用液体ミルク(以下、「液体ミルク」)の備蓄状況については、2020年1月に行った前回調査(12.3%)から大きく伸長し47.5%になりました。流通備蓄や災害協定を民間企業などと締結している自治体を含めると、72.0%が災害時に支援物資として提供できる状況にあることがわかりました。

また、当社では今年7月に、乳幼児ママ・プレママ(第一子妊娠中、または末子年齢が2歳未満)464人を対象に、備蓄・防災に関する意識調査も実施しており、両調査の結果、自治体、各家庭ともに災害備蓄意識は高まっているものの、自治体の取り組みや母子避難所の場所、備蓄状況などに関して乳幼児ママ・プレママが十分に把握できておらず、不安を抱えており、情報の周知に課題があることがわかりました。

関東大震災から100年を迎え、さらに近年では、地震や大規模な台風以外にも、集中豪雨など気象に起因する災害が年間を通じて増えるなど、自然災害対策の重要性は年々高まっています。

当社は、調乳不要で災害時にも役立つ液体ミルクを、より利便性の高い商品として提供することで、自治体でのさらなる備蓄促進や、ご家庭での活用促進に貢献し、災害時の赤ちゃんの健康を守っていきたいと考えています。

また、これらの調査で明らかになった課題を踏まえ、今後も「tenki.jp知る防災」プロジェクトや「明治ほほえみ 防災プロジェクト」の取り組みを推進し、各自治体への協力体制の強化、および各家庭への啓発活動を通じて、妊産婦および乳児のいるご家族が安心して暮らせる社会づくりに貢献してまいります。

調査結果トピックス

液体ミルクについて

  1. 液体ミルクを購入して備蓄している自治体は前回調査の12.3%から47.5%に
    その他、乳幼児用品を災害用に備蓄している自治体が、前回調査時(2020年1月)と比較して大幅に増加しました。(図1)
  2. 自治体が防災備蓄として液体ミルクを導入していない理由として最も多かったのは「賞味期限が短く廃棄ロスの懸念」(75.2%)でしたが、その一方で、すでに導入している自治体の多くは賞味期限が間近になったものを「希望する施設・団体に配布する」「イベントなどの際に希望者に配布する」などして有効活用していることがわかりました。
  3. 家庭では、日頃から食べているものや、使っているものを少し多めに購入し、使用した分を補充しながら日常的に備蓄する方法(ローリングストック)で乳幼児用品を備蓄しており(図2)、液体ミルクについても「外出時の授乳」「普段の授乳時」などで日常使いもされていることがわかりました(図3)。

災害時の支援全体について

  1. 「災害時の授乳支援や母子に必要な物資の備蓄」について、63.1%の自治体が「すでに具体的に取り組んでいる」と回答。一方、乳幼児ママ・プレママの、自身が住む地域の自治体の取り組みに対する認知度は低く、多くが災害時の備蓄や避難所への避難に不安を抱えていることがわかりました(図4)。
  2. フェーズフリーに関する認知度について、ママ・プレママの約8割が「全く知らない」と回答しましたが、自治体の回答では「聞いたことはあったが意味まで理解していなかった」(26.8%)、「意味まで理解していた」(24.5%)を合わせると約半数の自治体で言葉自体の認知はされており(図5)、住民への啓発活動など、既に取り組みを進めている自治体もありました。

日常と非日常のフェーズを取り払い、災害などの非常時でも活躍する機能を備えた物品やサービスをいつもの生活で便利に活用していくことで、日常からの“備えない防災”という新しい概念。

図1

2023年6月時点での備蓄状況・備蓄方法(自治体)。2020年 n=475,2023年n=474 「災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する実態調査」より

図2

乳幼児用品の備蓄状況(ママ)。2020年 n=310,2023年 n=309,0~2歳未満の子どもがいる母親,SA 「乳幼児ママ・プレママの備蓄・防災に関する意識調査2023」より

図3

液体ミルクの活用場面(ママ)。 n=114, MA 「乳幼児ママ・プレママの備蓄・防災に関する意識調査2023」より

図4

災害時を想定した乳児用品の備蓄・使用についての安心度(ママ・プレママ)。 n=464  「乳幼児ママ・プレママの備蓄・防災に関する意識調査2023」より

図5

「フェーズフリー」の認知状況(自治体)。n=474, SA  「災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する実態調査」より

調査方法

災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する実態調査
(全国自治体備蓄状況調査)

  • 調査主体:
    株式会社 明治
    一般財団法人 日本気象協会「tenki.jp知る防災」プロジェクト
  • 調査期間:
    2023年6月28日〜7月14日
  • 調査方法:
    調査票を郵送し、WEB調査画面にて回答
  • 調査対象:
    全国1,741の地方自治体(市町村1,718、特別区23の合計)
  • 有効回答数:
    474件

乳幼児ママ・プレママの備蓄・防災に関する意識調査2023

  • 調査主体:
    株式会社 明治
  • 調査期間:
    2023年7月21日~2023年7月24日
  • 調査方法:
    インターネットアンケート調査
  • 調査対象者:
    日本全国在住の20歳~40歳女性のうち、第一子妊娠中の方155人、
    末子年齢が2歳未満のお子さまをお持ちの方309人、合計464人

本調査結果の概要は、明治ほほえみ 防災プロジェクト「ママと赤ちゃんの防災サイト」 (https://www.meiji.co.jp/baby/milk-stock/report/)をご覧ください。

また、内容を利用される場合は、「『明治ほほえみ 防災プロジェクト』および『tenki.jp知る防災』プロジェクト調べ」とご明記いただきますようお願いします。

「tenki.jp知る防災」プロジェクトについて

イラスト:「tenki.jp知る防災」プロジェクトロゴ画像。

「tenki.jp知る防災」プロジェクトは、防災において正しい「知識」を持ち、日頃の「備え」を行えるよう、日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」にて発信を行っています。防災に必要な商材をお持ちのお客さまとともに、コンテンツの拡充に努め、ひとりひとりが災害時に適切な行動をとり、減災に寄与することを目的としています。

「明治ほほえみ 防災プロジェクト」について

「明治ほほえみ 防災プロジェクト」は子育て世代の防災意識の向上を目的に当社が2019年に立ち上げたプロジェクトです。

特設WEBサイトおよび小冊子での啓発

イラスト:小冊子「赤ちゃんのための防災ブック」

「ママと赤ちゃんの防災サイト」を立ち上げ、災害備蓄の大切さやポイント、災害時の哺乳瓶を使わない授乳「カップフィーディング」の方法などを紹介しています。また、赤ちゃんがいる家庭に必要な災害時のための備えや、備蓄用品リストなどを小冊子「赤ちゃんのための防災ブック」にまとめ、自治体が主催する防災イベントなどで配布しています。

乳幼児の防災に関する調査活動