代謝異常などで母乳や市販の粉ミルクを飲めない乳幼児のための治療用ミルク「特殊ミルク」の製造に長年にわたり寄与、厚生労働大臣より感謝状が授与されました
株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、長年にわたり特殊ミルクを製造し、社会に提供し続けていることに対し、厚生労働大臣より感謝状を受領しました。当社は、乳幼児用ミルクのトップメーカーとして培ってきた知見を生かし、代謝の異常やアレルギーなどにより母乳や市販の粉ミルクを飲めない乳幼児のたしかな発育に貢献するため、1980年より特殊ミルクの生産を続け、現在、国内で供給される特殊ミルクの約7割を当社が生産しています。
当社はこれからもミルクを必要とするすべての乳幼児のたしかな発育に貢献してまいります。
なお、当感謝状は当社と同じく特殊ミルクの製造企業である、森永乳業株式会社、雪印メグミルク株式会社へも授与されています。
特殊ミルクとは
先天性代謝異常症やミルクアレルギーなどの乳幼児の栄養摂取のために、栄養成分を調整した治療用ミルクです。私たちは“代謝”という体内のしくみによって、食べもの(栄養素)をエネルギーなどにかえて生きていますが、赤ちゃんの中にはおよそ数万人に1人の割合で、この代謝に必要な酵素が生まれつき欠乏している赤ちゃんがいます。特殊ミルクは、このように栄養摂取にあたり特別な配慮や治療管理が必要な赤ちゃんにとっては、1日たりとも欠かせない非常に大切なミルクです。
当社が製造する特殊ミルクについて
- 品種数:
20種類(登録特殊ミルク11種/全20種、登録外特殊ミルク:5種/全10種、市販品:4種)
※2022年12月時点 - 供給量:
23.0トン/全体供給量33.4トン
※2021年度 特殊ミルク供給量(登録特殊ミルク+登録外特殊ミルク)
特殊ミルクには、国の助成事業として無償で先天性代謝異常症などの方に提供する「登録特殊ミルク」と、企業が無償で代謝異常や神経疾患などの方に提供する「登録外特殊ミルク」、企業がミルクアレルギーなどの方向けに販売する「市販品」、調剤薬局で代謝異常などの方向けに販売される「医薬品」があり、当社が最も多くの「登録特殊ミルク」、「登録外特殊ミルク」を製造し、提供しています。
特殊ミルクの取り組み経緯
当社は、1923年に日本で初めてビタミンB1を添加した乳児用ミルクを発売しました。それ以来、当社は「ミルクを必要とする赤ちゃんのたしかな発育」を目指して、乳幼児用粉ミルク事業に取り組んでいます。こうした長い歴史の中で培ってきた技術・ノウハウを基盤に、先天性代謝異常症の赤ちゃんに対し栄養という観点で、たしかな発育に貢献するという考えに基づき、1980年より「特殊ミルク」を供給し続けています。
特殊ミルクに対するコミットメント
当社は、2021年6月、2021年9月に米国ニューヨークで開催された「国連食料システムサミット2021(Food Systems Summit:FSS)」への支持を表明し、持続可能な食料システムの実現に貢献する取り組みについて、コミットメントを提出しています。そのコミットメントの具体的な取り組み・目標として特殊ミルクに関する内容を盛り込んでいます。
特殊ミルクの具体的な取り組みに関するコミットメント
「先天性代謝異常症の赤ちゃんのための『特殊ミルク』、高齢者の栄養ニーズに応える流動食・介護食などの商品の提供により食料安全保障に貢献します。」
参考:日本の「代謝異常児等特殊ミルク供給事業」について
- 1980年10月
厚生省事務次官通達
「昭和55年特殊ミルク共同安全開発事業助成費の国庫補助について」 - 1980年12月
特殊ミルク共同安全開発事業が発足
社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センターに「特殊ミルク事務局」が設置される
特殊ミルク供給事業は、国から助成金を受けた社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会の「特殊ミルク事務局」などが管理をしています。新生児マス・スクリーニングで発見される先天性代謝異常症の治療に必要な特殊ミルクを安定的に供給することを、最大の目的としています。
特殊ミルクの入手にあたっては、医療機関が特殊ミルク事務局へ申請し、審査・承認を経て、製造企業から医療機関へ発送し、医師から患者さんの手に渡ります。欠かすことができないことから、「特殊ミルク事務局」との連携や、綿密な生産計画、在庫管理、品質管理のもと事業を行っています。