人の咀嚼運動のシミュレーションにつながる研究結果 グミの物性に応じた咀嚼筋活動の程度をORAL-MAPS\オーラルマップス®で数値化できることを確認~5th Food Structure and Functionality Symposiumにて発表~

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、「かみごたえ」が異なる4種のグミを用いて、ORAL-MAPS\オーラルマップス®※1の咀嚼運動シミュレーションで得た測定値と、成人がグミを口に入れて飲み込むまでの咬筋(主要な咀嚼筋の一つ)筋電図から得られる咬筋仕事量※2を比較した結果、両者の大小関係は「かみごたえ」の序列と一致し、グミの物性に応じた咀嚼筋活動の程度をORAL-MAPS\オーラルマップス®で数値化できることを確認しました。本研究成果を、2022年9月18日~9月21日に開催された、「5th Food Structure and Functionality Symposium」にて発表しました。

当社は、2021年6月に「明治 栄養ステートメント」を策定し、当社が提供する栄養についての考え方を明文化しています。“栄養”を、栄養素だけではなく、提供する商品や情報、サービスの全てと捉え、さまざまな付加価値を持つ“栄養”を提供することで、お客さまの健康と生活充実への貢献を目指しています。ORAL-MAPS\オーラルマップス®での、咀嚼や摂食運動のシミュレーションも、この考えに基づいた研究の一つです。

今後も新規価値創造の基盤として、咀嚼運動に関する研究を進め、食べやすさだけでなく、咀嚼力を維持・増強できる食品物性の探索に寄与する研究に取り組んでまいります。

  • ※1学校法人日本医科大学の発明(特許第5062590号:発明者 小竹佐知子教授)のライセンス技術を使用しています。

  • ※2飲み込むまでの咬筋活動の程度を表します。

発表内容

演題名

グミをモデルとした汎用型咀嚼プロセスシミュレータ、ORAL-MAPS\オーラルマップス®の力学的特性について
(Mechanical properties of the mastication process simulator, ORAL-MAPS®, using gummy candy as a model)

方法

  1. ORAL-MAPS\オーラルマップス®でグミ4種(コーラアップ、コーラアップ・ザ・ハード、梅干しアップ、果汁グミ(ぶどう味))を咀嚼させ、所定の回数までの測定値を求めます。コーラアップの計測から得られる値を5として、各種グミの計測値を正規化しました。
  2. 20代から50代の健常成人10名を対象に、咬筋の位置する皮膚表面に電極を貼り付け、①と同じグミ4種をそれぞれ咀嚼させ、グミを口に入れてから飲み込むまでの咬筋仕事量を計測しました。各被験者のコーラアップの総仕事量を5として、各種グミの総仕事量を正規化しました。

結果および考察

各種グミのORAL-MAPS\オーラルマップス®から得られる測定値とヒトの咬筋仕事量の間に有意な差はないことが明らかになりました。ORAL-MAPS\オーラルマップス®から得られる測定値と、咬筋仕事量はかみごたえに依存し、その依存性が一致していることを確認しました。

ORAL-MAPS®から得られる測定値とヒトの咬筋(咀嚼筋)から得られる
咬筋仕事量を正規化した図