アミノ酸などを含むゼリー飲料による「元気の実感」を感性計測により確認~26th International Symposium on Artificial Life and Robotics(AROB)2021で発表~

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)と青山学院大学理工学部電気電子工学科の野澤昭雄教授は、「アミノ酸などを含むゼリー飲料」を摂取する前と摂取した後で、集中を要する模擬課題を遂行した際の、感性計測(パフォーマンスや、ストレスに対する生理的な反応、心理状態の変化を解析するための計測)を行いました。解析の結果、「アミノ酸などを含むゼリー飲料」の摂取により、以下のことが明らかになりました。①時間経過に伴う課題の成績の低下を抑制しました。②課題に対する取り組み方が能動的になりました。③心理状態(快適感、覚醒感、活力感、リフレッシュ感)が向上しました。

この研究成果は、2021年1月21日~23日に開催された国際会議 26th International Symposium on Artificial Life and Robotics(AROB)2021にて発表されました。

発表内容

演題

The effects of the jellied nutritional supplement intake on physiological and psychological states and behavior: An exploratory study
(ゼリー飲料摂取が生理状態・心理状態・行動に与える影響の探索的検討)

概要

21歳から26歳の男子学生24名に対して画面上の標的をポインタで追いかける集中を要するトラッキング課題を課しました。課題実施に合わせて「アミノ酸などを含むゼリー飲料」の摂取による影響を比較するため摂取時と非摂取時に分け、以下の計測を行い、結果を解析しました。

計測内容

  1. パフォーマンスを測定するため、画面上の標的とポインタの乖離をエラーとして、その悪化率を計測しました。
  2. ストレスに対する生理的な反応を測定するため、血行動態指標(平均血圧、心拍出量、全末梢血管抵抗)におけるパターン変化や鼻部表面の温度変化を計測しました。
  3. 心理状態の変化を明らかにするために、参加者の主観的な感覚量についてVAS※1を用いて計測しました。

※1VASとは、Visual Analog Scaleの略称で主観的な感覚量を評価する一手法です。

計測結果

  1. パフォーマンスの測定は、課題成績の優劣を時間経過に伴う総エラー量の悪化率で比較しました。その結果、摂取時の悪化率は、非摂取時と比較して低い結果となり、課題成績の低下が有意に抑制されることを確認しました(図1)。
(図1)課題成績の低下抑制(総エラー量の悪化率を比較)
  1. ストレスに対する生理的な反応を確認するため、血行動態指標(平均血圧、心拍出量、全末梢血管抵抗)と鼻部表面温度の変化を測定しました。

まず、血行動態指標である平均血圧、心拍出量、全末梢血管抵抗を計測し、ストレス対処パターンに基づいて課題に対する取り組み方を分析しました。人のストレス対処パターンには、能動的な対処と受動的な対処があります。能動的な対処とは、全身に血液を巡らせて課題に前向きに取り組もうとしている状態です。一方の受動的な対処とは、最小限の力でなんとか対処しようとする受け身の状態です。課題遂行中の計測結果を分析したところ、摂取時は非摂取時と比較して、課題への取り組み始めは受動的な対処だったものが、能動的な対処へ変化したと考えられます(図2)。

(図2)摂取時と非摂取時における平均血圧・心拍出量・全末梢血管抵抗の変化

また、鼻部表面の温度変化を計測し、交感神経系の活動を評価しました。その結果、摂取時は非摂取時と比較して、課題遂行時に鼻部表面の温度が有意に低下したことを確認しました。交感神経系の活動が優位※2になったと考えられます(図3)。

※2交感神経系の活動が優位な状態は、心身が活動的な状態であるといわれています。

規格化した鼻部皮膚温度の時系列変動 課題実施を通じて、接種時は非接種時と比べて、交感神経系の活動が活発になったと考えられます。
(図3)鼻部表面温度の変化
  1. 気分や感情の変化を明らかにするため、心理指標として参加者の主観的な感覚量を、VASを用いて計測しました。その結果、摂取時は非摂取時と比較して、課題実施を通じて「快適感・覚醒感・活力感・リフレッシュ感」が有意に向上したことを確認しました(図4)。
(図4)心理指標(VASを用いた評価:「快適感」「覚醒感」「活力感」「リフレッシュ感」)の比較摂取時と非摂取時の課題終了後

結果

「アミノ酸などを含むゼリー飲料」の摂取により、以下のことが明らかになりました。①時間経過に伴う課題の成績の低下を有意に抑制しました。②課題に対する能動的な取り組みを促しました。③心理状態(快適感、覚醒感、活力感、リフレッシュ感)が有意に向上しました。