カカオポリフェノールの継続摂取が、閉経後女性における糖代謝改善の可能性と、血圧とコレステロールの低下を確認 1月17日 日本高血圧学会の学会誌に論文掲載
学校法人東京医科大学(理事長:矢﨑 義雄)と株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、2016年に実施した共同研究において、カカオポリフェノールの継続摂取が、閉経後の女性において、インスリン抵抗性※1を改善する可能性と、血圧と悪玉コレステロールの改善効果を確認しましたが、当研究成果が2019年1月17日に、日本高血圧学会の学会誌(欧文誌)であるHypertension Researchに掲載されました。
論文の内容は、以下の通りです。
【論文内容】
- タイトル:
Gender difference in the effects of cacao polyphenols on blood pressure and glucose/lipid metabolism in prediabetic subjects: a double-blinded, randomized, placebo-controlled crossover trial.
(境界型糖尿病(糖尿病予備軍)におけるカカオポリフェノールの血圧および糖・脂質代謝に対する影響の性差) - 目的・方法:
45歳以上69歳以下の男女22人をランダムに2グループに分け、1つの群には被験食品であるカカオポリフェノール抽出物を含むタブレット※2を、他方の群には対照食品としてカカオポリフェノール非配合のタブレットを、それぞれ毎日4週間継続摂取していただきました。さらに2週間の非摂取期間を空けた後、被験食品と対照食品を入れ替えて、同様に4週間継続摂取していただき、各試験食品摂取前後の血圧や糖・脂質代謝の指標の変化について検証しました。
- 研究主体:
学校法人東京医科大学、株式会社 明治
- 試験デザイン:
プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験
- 検査項目:
血圧、血液検査(空腹時血糖値・インスリン濃度、HOMA-IR、LDL-コレステロールなど)
- 試験期間:
2016年3月〜9月 各4週間 ウォッシュアウト:2週間
- 試験食品:
カカオポリフェノール抽出物を含むタブレットあるいはカカオポリフェノール非配合のタブレット
- 被験者:
22人(男性13人・女性9人)
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結果:
被験者全体では有意な差は認められなかったものの、閉経後の女性のみの層別解析で、被験食品摂取群では対照食品摂取群に対し、以下の変化が確認されました。
- 1.
血中のインスリン濃度と血糖値がともに高い場合は、インスリン抵抗性の発現が疑われます。今回の共同研究において、カカオポリフェノールの摂取前後で、空腹時インスリン濃度が低下する傾向が認められました。また、カカオポリフェノールの摂取前後で、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR※3が低下する傾向が認められました。これらの結果より、インスリン抵抗性が改善する可能性が示唆されました。
- 2.
カカオポリフェノールの摂取前後で、最高血圧・最低血圧が有意に低下しました。
- 3.
カカオポリフェノールの摂取前後で、悪玉コレステロールとされるLDL-コレステロールが有意に低下しました。
- 1.
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※1:インスリンの働きが低下し、糖の代謝が悪くなっている状態。
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※2:2014年に、愛知県蒲郡市、愛知学院大学、株式会社 明治の産官学共同で実施した「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」にて使用した、カカオ含有量72%の高カカオチョコレート25gと同等のカカオポリフェノールの主要成分を含んだタブレット。
項目 | 被験食品 | 対照食品 | |
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カカオポリフェノールの主要成分 | カテキン・エピカテキン プロシアニジンB2 プロシアニジンB5 プロシアニジンC1 シンナムタンニンA2 |
83mg | 非検出 |
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※3:空腹時の血中インスリン濃度と血糖値から算出される、インスリン抵抗性の簡便な指標。