凍結濃縮技術を活用し、北海道産生乳を使用した乳原料の価値向上に貢献 「氷点濃縮による濃縮乳の製造方法」が令和8年度北海道地方発明表彰 文部科学大臣賞を受賞 ~「明治おいしいミルクコーヒー」や「明治Dear Milk」などに活用~

株式会社 明治(代表取締役社長:八尾 文二郎)は、乳の濃縮においてこれまで実用化が難しかった凍結による濃縮を、世界で初めて※1実用化した「氷点濃縮による濃縮乳の製造方法」を発明し、公益社団法人 発明協会が実施する「令和8年度北海道地方発明表彰」において、「文部科学大臣賞」を受賞しました。

本発明は、加熱や減圧を行わないため、熱による成分変化や香気成分の損失を抑えながら、固形分の廃棄ロスなく濃縮乳を製造できることが特長です。当社では、北海道内で集荷された生乳を本製造方法により濃縮し、全国の工場へ輸送、商品の乳原料として使用しています。「明治おいしい低脂肪乳」や「明治おいしいミルクコーヒー」「明治おいしいミルク紅茶」、アイス「明治 Dear Milk」などの商品に活用し、北海道産生乳の良好な風味を生かした商品づくりに取り組んでいます。このような、北海道産生乳を使用した乳原料の高付加価値化などへの貢献が評価され、今回の受賞にいたりました。

表彰式の様子(2026年10月26日)
「氷点濃縮による濃縮乳の製造方法」による
北海道産生乳を使用した乳原料を活用した商品例

発明の概要

本発明は、従来乳の濃縮には用いられていなかった凍結による濃縮を、世界で初めて実用化したものです。濃縮乳の製造には、真空状態で加熱により水分を蒸発させて濃縮する蒸発濃縮が広く用いられています。この方法では、加熱臭の発生や香りの蒸散により、新鮮なミルクの風味が減少してしまいます。

本発明では、結晶生成タンクで攪拌しながら、氷点よりもわずかに低い温度になるように原料乳を冷却して氷結晶を析出させ、得られたスラリー(氷結晶と原料乳の混合物)を結晶分離カラムに移送します。そこで比重の違いにより氷結晶は上昇して原料乳と分離されます。氷結晶には乳成分が含まれていないため、氷結晶を取り除くことで原料乳は濃縮されます。こうして濃縮された原料乳は、新たな原料乳と混合し同工程を繰り返し行うことで、濃縮倍率を高めることができます。一方、氷結晶は融かされて分離水として排出されますが、濃縮乳は低温で高粘度となり、氷結晶間に多量に残存するため、氷結晶とともに排出され乳成分が失われてしまいます。本発明では、分離水の一部をカラムに戻すことで内部に濃度勾配を生じさせます。これにより、カラム上部の氷結晶間に残存する濃縮乳が水に置き換わり、氷結晶の排出に伴う乳成分の損失をほぼ0に抑えることができます。

新鮮なミルクの香りが多く含まれ、加熱臭が少ないことが乳原料のおいしさを高める重要なポイントです。氷点濃縮により得られた濃縮乳は、蒸発濃縮によるものと比較して、新鮮なミルクの香りの指標である、2-Butanoneが25倍含まれ、加熱臭の指標成分であるジメチルジスルフィド(DMDS)が50%以下になっています。

このように、本発明は乳成分の損失を抑えながら、新鮮なミルクの風味を生かした濃縮乳の製造を可能にし、乳原料の高付加価値化に貢献する技術です。

「氷点濃縮による濃縮乳の製造方法」の仕組み
氷点濃縮製法と蒸発濃縮製法による香りの比較

令和8年度北海道地方発明表彰 受賞概要

受賞発明

  1. 発明名称:
    氷点濃縮による濃縮乳の製造方法
  2. 対象特許:
    特許第6529131号

受賞者

文部科学大臣賞

  1. ・
    株式会社 明治
    研究本部 乳酸菌・発酵技術研究ユニット 発酵素材G G長 柏木 和典
    研究本部 乳酸菌・発酵技術研究ユニット 発酵技術G 市村 武文
    北海道根釧工場 製造課 課長 佐竹 由式
    元:研究本部 研究戦略部 神谷 哲(現:長瀬産業株式会社)
    執行役員 研究本部長 大森 敏弘
    調達本部 原料購買部 原料1G 松原 裕樹

実施功績賞

株式会社 明治 代表取締役社長 八尾 文二郎

地方発明表彰とは

地方発明表彰は、大正10年に創設された表彰制度で、実施されている優れた発明、考案または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するものです。全国を8地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分け、公益社団法人 発明協会が実施しています。

※1第三者機関調べ