ホイップクリームなどの「口どけ」「なめらかさ」といった食感の定量的な評価が可能となる センサー感度2倍の最新型オーラルマップス®を明治アプリケーションセンターに導入 ~BtoB商品を活用したレシピ・メニュー提案強化を図る~
株式会社 明治(代表取締役社長:八尾 文二郎)は、食感の評価ができる咀嚼プロセスシミュレータ「ORAL-MAPS/オーラルマップス®(以下、オーラルマップス®)」の最新型機を明治アプリケーションセンター(以下、APC)に2025年10月に導入したことをお知らせします。
APCとは、BtoB商品を活用したレシピ・メニュー提案を行う施設です。APCでは、この食感評価技術を活用することで、お客さまの課題解決や新市場の開拓に向けた提案に取り組んでまいります。
当社は今後も、お客さまにとってのおいしさ・楽しさの世界をひろげるため、食感を定量的に評価するための技術開発を進めてまいります。
導入の目的
当社ではこれまでオーラルマップス®を用いて咀嚼や食感の研究に取り組んできました。このたび、最新型のオーラルマップス®をAPCに導入することで、幅広い食品カテゴリーの食感を物理的指標で数値化する技術をBtoB事業向けに活用します。本装置の導入によりAPCでは、これまで感覚的、主観的に表現されていた「口どけ」や「なめらかさ」といった食感の定量的、客観的な評価が可能になります。お客さまのニーズにあわせた商品評価、レシピ・メニュー提案など、迅速かつ緻密に応えるソリューションの提供を目指します。
オーラルマップス®の基本的な機能
オーラルマップス®は、口の中で食品の状態が変化する主な要因である①歯・舌による圧縮、②体温、③唾液、の全てを制御可能な咀嚼プロセスシミュレータです。食品が口に入ってから飲み込まれるまでの一連の食感の特徴を分析、評価することができます。食品の性質に応じた専用部品を模擬咀嚼部に取り付けることで、チーズやホイップクリームなどの乳製品、チョコレートやグミなどの菓子類の他、畜肉製品やお惣菜などさまざまな食品の評価にも対応しています。
最新型の特長
APCに導入する最新型の装置は、力センサーの感度を2倍※1に高めており、特にホイップクリームなどのやわらかい食品の測定に最適です。またデータ分析のソフトウェアを更新し、測定から分析までを高速化しました。これらによって、お客さまの要望に応じた高精度かつ迅速な評価が可能となりました。
明治アプリケーションセンター(APC)について
明治アプリケーションセンターは、BtoB事業拡大のための拠点として、BtoB商品をご活用いただく製菓製パン・外食業態や食品加工メーカーなどのお客さまに、レシピ・メニュー開発とともに市場データ・評価データを合わせて提供・提案する施設です。2022年の開設以降、個別にご相談いただく件数は約1.5倍※2に増加しています。
開設時のリリース:https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2022/0609_01/index.html
オーラルマップス®を用いた最新の研究成果
2025年8月27日から29日にかけて開催された日本食品科学工学会第72回大会にて、オーラルマップス®を用いた最新の食感研究について発表を行いました。
タイトル
咀嚼プロセスシミュレータORAL-MAPS®を用いた“口どけ”評価法の開発
方法
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口どけが重視される食品としてホイップクリームを対象に試験を行いました。ホイップの条件を変えてかたさを調整した3水準のホイップクリームについて「口どけのよさ」を官能評価によって採点しました。
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同じホイップクリームのサンプルをオーラルマップス®で測定しました。オーラルマップス®の実験条件は、圧縮力100N、人工唾液添加流量2mL/min、模擬咀嚼部温度33.5±0.5℃としました。
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「口どけ」が口の中で食品がやわらかく変化する様子を表す言葉であることから、オーラルマップス®の測定結果から模擬咀嚼中のかたさの変化に関する5つの指標※3を算出しました。
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官能評価結果とオーラルマップス®から得られた指標との相関を分析しました。
結果
オーラルマップス®から得られた指標のうち、繰り返し圧縮時の最大荷重が10Nを下回るまでの時間、および同じく20Nを下回るまでの時間という2つの指標で官能評価結果との間に有意な相関が認められ、最も高い相関であった指標は最大荷重が10Nを下回るまでの時間でした。
考察
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オーラルマップス®を用いた検討により、人が感じるホイップクリームの口どけのよさと相関性が高い指標が特定され、オーラルマップス®の測定値からホイップクリームの口どけを予測できるようになりました。
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ホイップクリームの口どけは、口中での変化の中でも、特に一定のやわらかさに達するまでの時間によって判断されていると考えられます。
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※1研究所に既設のオーラルマップス®との比較
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※22024年度相談件数と2022年度相談件数との比較
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※3①最大荷重20Nを下回るまでの時間、②同10Nを下回るまでの時間、③最大荷重が1回目の1/2になるまでの時間、④試験開始後10秒までの最大荷重の傾き、⑤片対数軸における試験開始後10秒までの最大荷重の傾きの5つ