明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)による食事指数が生活習慣病のリスクとなる複数の指標と関連することを示唆~疫学研究で日本初の検討、国際学術誌“Frontiers in Nutrition”に論文掲載~

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(理事長:荒井 秀典)との共同研究により、明治栄養プロファイリングシステム※1(以下、Meiji NPS)のうち、成人向けに策定されたMeiji NPS(以下、成人NPS)による食事指数と生活習慣病のリスクとなる複数の指標との関連を明らかにしました。当研究結果は2024年7月3日に国際学術誌“Frontiers in Nutrition”に掲載されました(Yu, et al. Front. Nutr., 2024, doi: 10.3389/fnut.2024.1413980)。  

本成果は日本で初めて、栄養プロファイリングシステム(以下、NPS)と健康リスクとの関連性を報告した研究です。

今後もMeiji NPSに関する研究活動により、食品を通じて健康課題と向き合い、人々が健やかな毎日を過ごせる社会の実現に貢献してまいります。

研究成果の概要

Meiji NPSの妥当性検証の一環として、国立長寿医療研究センターで実施されている研究に参加した40~64歳の日本人男女1,272名を対象に、3日間の食事記録で得た平均的な食品摂取データを成人NPSで評価し、生活習慣病のリスクとなる指標との関連を確かめました。その結果、対象集団において成人NPSによる食事指数が良くなるほど、体脂肪率、拡張期血圧値、空腹時血糖値、中性脂肪値が低くなることが示されました。

研究成果の活用

生活習慣病予防などの公衆衛生栄養の観点から、成人NPSは成人集団で摂取される食品の栄養価値を評価するのに有用と考えられます。本研究の結果を補強するには、長期的な調査などのさらなる研究データの蓄積と多角的な検討が必要です。

研究の目的

海外では既存NPSと生活習慣病の指標との関連性を示す論文がいくつか報告されており、NPSの策定には予測的妥当性※2の検討が重要とされています。

本研究は成人NPSと生活習慣病の指標との関連を疫学的観点から検討することにより、成人NPSの予測的妥当性を確認することを目的としました。予測的妥当性を確認することはNPSの尺度としての信頼性を高め、対象年齢層における科学的な有効性を確保することにつながります。

論文内容

タイトル

  1. 成人NPSに基づく食事指数と生活習慣病の指標との関連
    1. 論文原題:
      The relationship between the dietary index based Meiji nutritional profiling system for adults and lifestyle-related diseases: a predictive validity study from the National Institute for Longevity Sciences -Longitudinal Study of Aging

方法

40~64歳の大府市、東浦町に居住する日本人男女1,272名を対象に、3日間の食事記録で調査された平均的な食品摂取量に基づいて、摂取された一つずつの食品を成人NPSで評価し、全ての食品の評価スコアを合計した食事指数を曝露因子としました。生活習慣病の指標は体格指数、体脂肪率、収縮期血圧値、拡張期血圧値、空腹時血糖値、ヘモグロビンA1c値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値として、曝露因子と生活習慣病のそれぞれの指標との関連を検討しました。

結果

  1. 1.
    成人集団において、成人NPSによる食事指数は体脂肪率、拡張期血圧値、空腹時血糖値、中性脂肪値とそれぞれ負の関連を示しました。(表1)
  2. 2.
    成人集団、かつ、体格指数が基準値内(18.5~24.9)の対象者に限った場合、成人NPSによる食事指数は体格指数、体脂肪率、収縮期血圧値、拡張期血圧値、空腹時血糖値、ヘモグロビンA1c値、中性脂肪値とそれぞれ負の関連を示しました。(表2)
  3. 3.
    成人NPSは日本の健康課題の解決への貢献を目指し、日本で初めて、生活習慣病に対する予測的妥当性が確認されました。

考察

NPSは策定のみならず、健康課題との関連を確かめることが重要です。本研究から成人NPSと生活習慣病のリスク低下との関連の可能性が示唆されました。また、公衆衛生栄養の観点において、成人NPSは成人集団で摂取される食品の栄養価値を評価するのに有用だと考えられます。本研究の結果を補強するには、縦断研究などを用いてさらなる多角的な検討が必要です。

表1:食事指数による生活習慣病の指標の変化

体格指数をアウトカムにした重回帰モデルは年齢、性別、経済状況、教育歴、婚姻状況、職業状況、喫煙状況、歩数、エネルギー摂取量、生活習慣病の数(肥満/過体重を含まず)を調整した。体脂肪率をアウトカムにした重回帰モデルは年齢、性別、体格指数、経済状況、教育歴、婚姻状況、職業状況、喫煙状況、歩数、エネルギー摂取量、生活習慣病の数(肥満/過体重を含まず)を調整した。そのほかの指標をアウトカムにした重回帰モデルは年齢、性別、経済状況、教育歴、婚姻状況、職業状況、喫煙状況、歩数、エネルギー摂取量を調整した。

表2:食事指数による生活習慣病の指標の変化
(体格指数が基準値内(18.5~24.9)の対象者に限った場合)

体格指数をアウトカムにした重回帰モデルは年齢、性別、経済状況、教育歴、婚姻状況、職業状況、喫煙状況、歩数、エネルギー摂取量、生活習慣病の数(肥満/過体重を含まず)を調整した。体脂肪率をアウトカムにした重回帰モデルは年齢、性別、体格指数、経済状況、教育歴、婚姻状況、職業状況、喫煙状況、歩数、エネルギー摂取量、生活習慣病の数(肥満/過体重を含まず)を調整した。そのほかの指標をアウトカムにした重回帰モデルは年齢、性別、経済状況、教育歴、婚姻状況、職業状況、喫煙状況、歩数、エネルギー摂取量を調整した。