AI技術を活用し、食品業界初の分析技術を開発 機械学習により、見分けの難しい合成ゴム製部品から生じた“かけら”の材質の違いを識別し、“かけら”の発生源を効率的に特定できる可能性

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、奈良先端科学技術大学院大学 金谷 重彦教授と、食品工場で多用される合成ゴム製部品の“かけら”の識別において、AI技術を活用した識別の方法を開発しました。本方法は食品業界初の技術で、分析データと機械学習を組み合わせることで、熟練の分析者でも検知が難しい部品のわずかな成分差や使用に伴う軽微な成分変化を、より詳細かつ効率的にとらえ、識別が可能となりました。本研究成果は2023年10月12日に日本食品衛生学会第119回学術講演会で発表しました。

研究の目的

食品工場では、配管の接続部やバルブに合成ゴムを材質とする部品が多数使用されています。これら部品は定期交換による予防保全を行っていますが、まれに摩耗などにより生じた“かけら”が発見された場合には直ちに発生源を特定する必要があります。しかしながら、合成ゴムの識別は熟練の分析者でも難しいという課題がありました。そのため、分析者の技能の習熟度に頼らずに材質を識別する方法を検討しました。

研究成果の概要

合成ゴム製部品(エチレンプロピレンゴム(EPDM)やニトリルゴム(NBR)など)の“かけら”を2種の分析機器により分析し、得られたデータを統合し、さらに機械学習を適用することにより、材質の違いを識別する方法を開発しました。これにより、発生源となった部品を効率的に推定することが可能になると考えられます。

※赤外分光分析装置
※蛍光X線分析装置
消耗した“かけら” 対象部品を推定

研究成果の活用

合成ゴムのほか、さまざまな素材の識別などへの応用が期待されます。今後も機械学習などのAI技術を積極的に活用し、分析・検査の技術開発に取り組んでまいります。

発表内容

タイトル

食品への異物混入対策としてのパッキン識別法の開発

方法

合成ゴム製パッキン60個(未使用品25、使用済み品35)から各々の5片(2mm×2mm)を切り取り、赤外分光分析装置(FTIR)、および蛍光X線分析装置により分析しました。FTIRにより得られた波形を数値変換し、蛍光X線分析装置により得られた元素組成のデータと統合してデータセットを作成しました。このデータセットに対して、教師あり機械学習法の一つであるk最近傍(kNN)法を適用して、5片それぞれの識別結果を得ました。

結果

kNN法のk=1のとき、合成ゴムの材質別の識別結果は下表のとおりとなりました。

図:識別結果の表

考察

工場で最も多用されるEPDMおよびNBRについては、いずれも高い正識別率が得られました。

本方法は、食品工場における合成ゴム製部品の“かけら”の識別方法として有用であり、本方法を用いることにより、“かけら”発見時には、効率的に発生源となった部品を推定することが可能になると考えられます。