乳たんぱく質と鉄強化食品を継続摂取した男子大学生長距離陸上選手の貧血指標改善と自己記録を更新した事例研究報告が2022年度日本スポーツ栄養学会奨励賞を受賞~アスリートへの栄養支援内容、改善過程の論文化に高い評価~
株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、男子大学生陸上長距離選手が乳たんぱく質と鉄強化食品を約1年間継続的に摂取した後の、貧血指標とパフォーマンスの変化を観察した事例研究報告が日本スポーツ栄養学会に評価され、2022年度の奨励賞を受賞しました。本研究成果は「日本スポーツ栄養研究誌 vol. 16 2023」に掲載され、2023年9月10日に日本スポーツ栄養学会第9回大会の受賞記念講演にて発表しました。
受賞のポイント
アスリートへの栄養支援内容や改善の過程が論文化されることは稀であり、今回、事例研究報告として論文化したことが高く評価されました。スポーツ栄養学領域の研究活動において、将来の発展が期待でき奨励に値すると認められ「奨励賞」を受賞しました。
今後の活用
本論文における栄養支援内容や改善の好事例を現場で広く活用いただくことにより、アスリートの健康とパフォーマンス向上をより広めることに貢献していきたいと考えています。また、スポーツ現場で実践活動を行う、管理栄養士・スポーツ栄養士、アスリートにとって、有用な知見となることが期待されます。
研究概要
- 1.
男子大学生陸上長距離選手を対象に、乳たんぱく質と鉄強化食品※を摂取していただき、貧血指標の改善と、選手の自己記録更新に好影響を与えた過程を数値化・文章化し、研究的視点から観察した事例研究報告として、学術論文化しました。
※常温保管ができ、日常に取り入れやすい食品
- 2.
陸上長距離選手は、鉄含有食品の摂取だけでなく、たんぱく質の摂取不足にも気を付けた上で、貧血に陥らないようケアすることが望ましいことが推察されました。
研究目的
当社は、数多くのトップアスリートの栄養サポート活動を通じ、選手の栄養面における課題を解決し、活躍に貢献してきた実績があります。その中でも、酸素運搬能力を低下させる貧血は運動パフォーマンスに悪影響を及ぼし、多くのアスリートや管理栄養士を悩ませる代表的な課題の一つです。アスリートの貧血の原因には、増加する運動量により鉄の必要量が増えることや、足への衝撃による赤血球の破壊などが挙げられますが、主な原因として考えられているのは、血液を造る材料となるたんぱく質および鉄の摂取不足です。そこで、当研究グループは、筑波大学 体育系 中田 由夫准教授の指導のもと、乳たんぱく質飲料と鉄強化食品の摂取が、貧血傾向にある男子大学生陸上長距離選手の貧血指標、コンディションおよびパフォーマンスに及ぼす影響を明らかにするために、研究的視点から長期的観察を実施しました。
発表内容
タイトル:男子大学生陸上長距離選手の貧血指標の改善およびパフォーマンス向上に向けた乳たんぱく質および鉄強化食品の摂取
活動内容
対象者4名に、乳たんぱく質飲料(たんぱく質15g/200mL)、鉄強化食品(7.5mg/1袋150g)を約1年間摂取してもらいました。期間中に4回、血液検査を実施し、ヘモグロビン、フェリチン、血清鉄を調査しました。また、食事調査を3回実施し、鉄の摂取量を含む栄養摂取状態も調査しました。観察期間中は、生活日誌を記録していただき、体調などを確認しました。
結果
対象者4名とも貧血指標であるヘモグロビン値が上昇しました。疲れやすさやふらつきなどの貧血自覚症状の緩和、筋肉痛の改善などのコンディションについては3名に好影響が見られました。また、対象者4名とも10,000mを46~54秒または5,000mを28~61秒自己記録を更新しました。