月経に関連する不快感による日常生活への影響といった社会課題解決に貢献 乳タンパク質の一種であるα-ラクトアルブミンに月経中の身体的な不快感を緩和する機能があることを確認
株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、月経前や月経中に起こる心身のさまざまな不快感のある女性が、乳タンパク質の一種であるα-ラクトアルブミン(以下、α-LA)を継続摂取したとき、月経中の身体的な不快感が緩和されることを確認しました。
近年、女性の就業率の上昇、生涯出生数の減少に伴う月経回数の増加や初産年齢の上昇などにより、月経関連の不快感による女性の日常生活への影響については社会課題としても認識されるようになってきています。
当社は、今後も健康に関連する課題と向き合った研究を続け、さまざまな方が活躍する社会づくりに貢献し、人々が笑顔で健康な毎日を過ごせる未来の実現を目指してまいります。
研究概要
当社はこれまでに、牛乳中に含まれるタンパク質の一種であるα-LAに、炎症や痛みの抑制などのさまざまな生理活性があることを確認しています。今回、臨床試験(ヒト試験)にて月経前や月経中に生じる心身のさまざまな不快感の程度を評価し、α-LAに月経中の身体的な不快感を緩和する機能があることを明らかにしました。
なお、当研究成果はJapanese Pharmacology & Therapeutics(薬理と治療)に掲載されました。
発表内容
タイトル
Relieving Effects of Bovine Milk-derived Alpha-lactalbumin on Menstruation-related Symptoms in Healthy Women Volunteers: A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Crossover Study
(Jpn Pharmacol Ther vol.48 no.8 2020)
(日本語訳)健康な女性における牛乳由来成分α-ラクトアルブミンの月経に伴う心身の変化に対する緩和効果:無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験
方法
本試験では25歳以上40歳未満の健常成人女性60名を被験者としました。60名を2つのグループ(30名ずつ)に分け、1つのグループにはα-LA 180mg/粒を含有するカプセルを1日あたり5粒(α-LAとして900mg)、各被験者の月経周期として1周期分(約1カ月)摂取していただき、他方のグループにはα-LAを含まないカプセル(プラセボ)を同様に摂取していただきました。
摂取期間中は、心身の変化や医薬品の服用状況などを電子日誌アプリ上の生活日誌で回答していただきました。月経が来た初日には、3日前から月経前日までに自覚した月経に伴う心身のさまざまな不快感を思い出し、電子日誌アプリ上の月経に伴う心身の不快感の評価に関する調査票にて回答(代表的な不快感35項目に関して4段階で判定)し、月経4日目には、月経初日から月経3日目までの状況を同様に回答していただきました。その後、月経周期1周期分の休止期間を経た後、α-LAを摂取したグループはプラセボを、プラセボを摂取したグループはα-LAを摂取していただき、同様の評価を実施しました(図1)。
結果
被験者60名中、55名が有効性解析対象者となりました。その結果、月経中の身体的不快感に関する合計スコアにおいて、α-LAの摂取によって有意な緩和効果を認めました(図2左)。項目別では、月経中の倦怠感、疲れ(図2右)と筋肉(首や肩など)のコリ、月経前の倦怠感、疲れにおいて有意な緩和効果が認められました。このような効果には、主として炎症や痛みの抑制などさまざまな生理活性があるα-LAの、鎮痛作用が寄与していると考えられます。