ブルガリア共和国の国営企業 LB Bulgaricum社※1との乳酸菌に関する共同研究 3年に1度開催の国際学会「13th International Symposium on Lactic Acid Bacteria」にて発表 ブルガリアの生乳から乳酸菌を分離

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、LB Bulgaricum社とブルガリア共和国において生乳からの乳酸菌の分離・同定および特性解析を共同で実施し、その成果を8月23日から25日にオンラインで開催された国際学会「13th International Symposium on Lactic Acid Bacteria」にて発表しました。

当社のブルガリアヨーグルトは、2023年に発売から50周年を迎えます。この節目の年、さらに次の50年に向けて、ブルガリアブランドのライセンサーでもあるLB Bulgaricum社との共同研究を通じて、さらに両社の関係を深化させるとともに、ブルガリアブランドの価値向上につなげてまいります。

発表内容

演題名

「生乳中の乳酸菌叢におけるLactobacillus delbrueckii(ラクトバチルス デルブリュッキ)とStreptococcus thermophilus(ストレプトコッカス サーモフィラス)の存在について」

(英語名:Presence of Lactobacillus delbrueckii and Streptococcus thermophilus in the thermophilic lactic acid bacteria microflora of raw milk)

概要

LB Bulgaricum社と当社は、2018年より本共同研究を開始しております。2018年~2020年にかけて、ブルガリアにおいて、LB Bulgaricum社の研究員と当社の研究員が共同で、現地の生乳からの乳酸菌の分離・同定、収集した菌株の特性解析を実施しました。

ブルガリア国内の複数の地域から27の生乳サンプルを収集し、51株の乳酸桿菌※2と27株の乳酸球菌※3を分離しました。分離した乳酸球菌のうち25株が、ブルガリアの伝統的なヨーグルト発酵に用いられるStreptococcus thermophilusであり、乳の発酵性に優れた株も存在しました。また、分離した乳酸桿菌のうち31株が、日本の生乳からも多数分離されているLactobacillus delbrueckiiでした。

ブルガリアと日本で分離したLactobacillus delbrueckiiの地理的な特性を把握するため、Multilocus sequence analysis※4を用いて遺伝的な差異を解析しました。その結果、一部のブルガリア由来株が、地理的に離れた日本の生乳やすんき漬けから分離された株と近縁であることを確認いたしました。

本結果は、乳酸菌の地理的分布や生育環境に関して新しい知見である可能性が高く、学術的な意義があると考えられます。引き続き、収集した乳酸菌の特性解析を進めるとともに、商品への活用も視野に入れて検討を進めてまいります。

  • ※1LB Bulgaricum社について
    ブルガリア共和国の国営企業で、ブルガリア国内で発酵食品の製造・販売、国外へ乳酸菌スターターの販売をしています。また、当社へブルガリアブランドのライセンスを付与するとともに、本研究以前からも共同研究の取り組みなどを通じて、長年にわたり当社と良好なパートナーシップを築いています。

  • ※2乳酸桿菌について
    棒状の形態をした乳酸菌

  • ※3乳酸球菌について
    球状の形態をした乳酸菌

  • ※4Multilocus sequence analysis
    複数の遺伝子のDNA塩基配列を連結して分子系統解析を行う方法で、病原菌の疫学研究においてよく用いられる解析手法です。同一菌種の株同士を高精度に識別することができます。

図. ブルガリアの生乳から分離した乳酸菌(全78株の内訳)